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【血統考察】フェアエールング

こんにちは。以前ゴールドシップ産駒の研究をしていましたが、体調不良と本業が多忙になったため、しばらく血統から離れていました。
旧知の方はお久しぶりです。

またイチから血統の勉強をし直しており、まだまだ間違いも多いと思いますが、簡単に書いていきたいと思います。

5代血統表を見ただけではわからない、血統の面白さと奥深さを伝えていければと思います。

はじめに

さて、フェアエールングですが、非常に面白い血統をしています。

母マイネポリーヌがマルゼンスキーの3×2の強烈なクロスを持っています。
マルゼンスキーは大競走馬で大種牡馬であるニジンスキーの最高傑作とも言われ、ニジンスキー×バックパサー×プリンスキロという、アメリカ的なパワーを備えながら欧州的な伸びのある馬体を形作ります。

このマルゼンスキーはもしかするとゴルシにとって最重要血統になるかもしれませんが、ひとまずは父ニジンスキーとゴルシの相性の良さを解説していきます。

ニジンスキーと相似インブリード

単純な話をしても、2022年7月現在のゴルシ産駒獲得賞金トップ10の内、半分の5頭がニジンスキーを持っています。

ウインマイティー
エドノフェリーチェ
ヴェローチェオロ
ジュニパーベリー
シュアーヴアリア

TOP10 ニジンスキー持ち

これにはいくつか想定される答えがありますが、一番わかりやすいものとしてはコチラをご覧ください。

相似インブリード

ゴルシとニジンスキー牝馬を配合すると、ザミンストレルと相似インブリードをします。

*相似インブリードの説明が不要な方は次の「フレーミングページ
≒バックパサーの2×2」までお進みください

相似インブリードを簡単に説明すると、
「まったく同じ血統でなくても、ほぼ同じ血統構成をしていたらインブリードと見なす」
と言うふうに考えて頂くとわかりやすいと思います。

ザミンストレル(ゴールドシップの母母父父)
父ノーザンダンサー
母母フレーミングページ

ニジンスキー
父ノーザンダンサー
母フレーミングページ

つまり、ザミンストレルとニジンスキーの二頭は、父が同じで伯父甥の関係になります。つまり、3/4の血統構成が同じになります。

また、両馬ともエプソムダービーを制しているため、競走馬としても概ね同じ様な特性を持つと考えて良いでしょう。

このような相似インブリードは、一般的なインブリードより、より強い影響を与えると言われます。
その理由は、もちろん「血統構成が似ているのであれば同じ様な効果をもたらす」と言って良いと思いますが
『種牡馬になり血統表に名を残すレベルの馬を複数産んだ活力のある名牝の血を違うルートで継承する為』
と言われることもあります。

ニジンスキーを持つ牝馬にゴルシを配合した場合、ザミンストレルとの相似インブリードを強く出すため、2400mのエプソムダービーを勝つようなスタミナと、特にゴルシに足りない欧州の重い芝でも走れる古いアメリカ血統由来のパワーを継承するものと考えられます。


更に、表にあるようにゴルシの父母母父であるノーザンテーストも、ザミンストレルと相似しています。

シュアーヴアリアのように母方にノーザンテーストもニジンスキーも持っている場合は

ザミンストレル≒ノーザンテースト
ザミンストレル≒ニジンスキー


という2つの相似インブリードを持ち、更にゴルシ自身にノーザンテーストを持っているためノーザンテースト同士のインブリードも発生するため、短距離でも押し切れる強力なパワーを生み出します。
https://db.sp.netkeiba.com/horse/ped/2018100756/

このように、ニジンスキーの影響が強い母であれば、ザミンストレルとインブリードすることで不足しがちなパワーを引き出します。
また、ノーザンテーストも同様に強い影響力を持ちます。

話をフェアエールングに戻すと、マルゼンスキー4・3ではありますが
ザミンストレル≒ニジンスキーの5×5・4
と表現したくなります。

フレーミングページ≒バックパサーの2×2

マルゼンスキーについて、もうひとつ着目したいポイントがあります。

実は、マルゼンスキーの父母フレーミングページと母父バックパサー(つまり、マルゼンスキーから見た父方祖母と母方祖父)は血統構成が非常に相似しています。

バックパサーとフレーミングページの血統図

実にMenow, Bull Dog(Tedy), Man o' War, Blue Larkspourもの馬たちが相似しています。

フレーミングページとは
カナダ生産馬で、カナダのダービークイーンズプレートを制し、アメリカ遠征でケンタッキーオークスでも2着に入った女傑。母としてニジンスキーを産む。

バックパサーとは
アメリカ生産馬。怪我で米国三冠には出られなかったものの、年間13連勝を果たすなど、年度代表馬に選ばれた名馬。
母の父として絶大な影響を与え、マルゼンスキーをはじめ、イージーゴア、シーキングザゴールド、エルグランセニョールなどを輩出。

2頭は血統の大部分で同じような構成をしており、北米の大レースで活躍しました。
現代ではアメリカ血統=スピードですが、この頃のアメリカ血統はパワーに秀でており、フレーミングページ≒バックパサーの2×2を持っているマルゼンスキーは「アメリカ的パワーあふれるニジンスキー」と言えます。

また、フレーミングページとバックパサーの血統が相似しているという事は、ノーザンダンサーとバックパサー両方を持つ馬実質的にニジンスキー的な血統を持つことになります。

ゴルシ産駒の中でニジンスキーフリーかつ、ノーザンダンサーとバックパサーの両方を持つのが目黒記念を勝ったウインキートスです。

さすがに少しこじつけがましい部分もありますが、ノーザンダンサー×フレーミングページ≒バックパサーを持つ馬がこれだけ活躍するのは、少なくともニックスと呼んでも問題はないかと思います。

(さらにいえば、当然ですが、ザミンストレルの母母がフレーミングページなので、バックパサー単独でも相似インブリードしてます)

フェアエールングの血統的視点

さて、蛇足が多かったものの、結論に入ります。
上述の通りマルゼンスキーは【父ニジンスキーかつフレーミングページ≒バックパサー2×2】を持っており、ゴールドシップと配合すると以下のようになります。

フェアエールング血統表

サンデーサイレンス 3×3
マルゼンスキー 3・4

ザミンストレル≒ノーザンテースト 5・5
ザミンストレル≒ニジンスキー 5×5・4
フレーミングページ≒バックパサー 7×6・6・5・5

マルゼンスキー自体がニジンスキーを強く受け継いでおり、そこにフレーミングページ≒バックパサーのアメリカ的な血量を多く持っているため、スタミナを含みつつ強力なアメリカンパワーに富んだ形質を持ちます。

まさに、今回の新馬で見せた、開催週後半の重馬場を最内から逃げ切るといったスタミナ×パワーを見せてくれました。

まとめ

ゴールドシップ産駒はステイゴールドよろしく、緩すぎる場合が多く、特にゴルシ由来の関節の柔らかさも相乗してしまいます。更にテスコボーイ由来の前足優位な形質になりやすく、どうしても後肢が疎かになりやすいため
・スタートで踏ん張れない
・ダッシュが効かない
・押しても進まない
となりがちです。

そこに補填をするようにパワー型のアメリカ的な血を注入すると好成績を上げるのは、ロージズインメイとの好相性を見ていただければわかりやすいと思います。

また、ニジンスキーはすらっとしたバランスの良い気品ある馬体をしています。好馬体から放たれる伸びやかなストライドは美しいの一言です。
フェアエールングも、ゴールドシップらしい頭を上げた走法でしたが、ゴール前で気合を入れられてからは過去にほかの産駒では見たことのない大きなストライドかつ力強い踏み込みでした。

ストライドの大きさだけでいえばリーゼントジャンボなどがいますが、フェアエールングに関しては(ゴルシ産駒比で)絶句するほどの力感を備えた大きなストライドでした。

フェアエールングはニジンスキー的な好馬体に、アメリカを増幅したマルゼンスキー(フレーミングページ×バックパサー)を体現しており、柔らかな四肢と力強い踏み込みは、まさに血統通りの結果が現れたものだと思います。

高速馬場の末脚勝負では難しいと思いますが、急坂の中山も苦にせず、オールラウンドな活躍を見せてくれると思います。

また、順調にいけば(3歳牝馬にとって過酷な条件である)オークスも面白いと思います。

今後はネアルコだけでなく、ニジンスキー(マルゼンスキー)に注目です。

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