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少年ジャンプ2024年9号感想

今週は普通に忙しかったので感想を書くのがだいぶ遅れてしまいました。前回音声入力で感想を書いたらむしろ長くなってしまったことを反省して、今回は短めにまとめています。

今週は各マンガに解説ページっぽいものがあったと思うんですが、これが作品の前のページに配置されているので電子版の目次でジャンプすると読み飛ばしてしまうのが結構もったいないなと思いました。目次で飛ばすときにこの特集ページに飛ばすようにはできないものなのか……。でもそれはそれでマンガの1P目に飛ばないから嫌って人もいそうですね。

2024/01/29発売
表紙:逃げ上手の若君
巻頭カラー:逃げ上手の若君
センターカラー:夜桜さんちの大作戦
センターカラー:アイシールド21(特別読み切り)
センターカラー:鵺の陰陽師


逃げ上手の若君

第142話 バグ1338

巻頭カラーのイラストは賑やかでいいですね。本編はコミカルに描いているとは言え戦のはなしなので、こういう年相応に平和にしているイラストを見られるとホッとします。

本編は先週から少し時間を遡って北畠顕家がなぜ壊滅的な被害を受けたか、という話。戦の記録から「もしかしたらあったかもしれない」ギリギリラインのエピソードを盛り込んでくるところがよかったです(こんなことある!?という感情も含む)。

恩人のところに駆けつける時行、というところで今週は〆。これで時行が間に合わなかったらトラウマになりそうなシチュエーションだったので、間に合って希望を見せてくれたのがうれしい。

ウィッチウォッチ

141 サンタクロース・ファンタジー 前編

先に本誌を読んだ友人から「扉が既におもしろい」という感想が送られてきたので何事かと思って読み始めたんですが、見た瞬間に「なるほどな……」となりました。

急に細かいことにツッコミを入れ始めるタイプの安定感はバンが増えたにも関わらず健在。安心して読める作品だな~と思いつつも、サンタクロースの習慣に対するミハルの見解は言われてみればそうだな~と妙に納得してしまいました。行事であれ習慣であれ「子どもを騙している」というのは事実なので、この習慣が根強く残っているというのも不思議な話だなとちょっともの思いに耽ってしまった。

この流れで音夢ちゃんとケイゴの……、というか、音夢ちゃんの立ち位置が一歩前進しそうな話に入るとは思っていなかったので俄に期待が高まります。そしてこのタイミングで次回表紙&巻頭カラーというのもますます盛り上がっていく感じがあってうれしい。

しかしまあ、季節感的にもっとガッツリずれていれば気にならなかったと思うんですが、リアルのクリスマスとあわせなかったんだな……、みたいな気持ちにもなる回でした。

ONE PIECE

第1105話 “愚の骨頂”

くまの回想シーンの展開の早さに慣れてしまっていたので、エッグヘッドに戻ってきてからは話の進み方がちょっと落ちついてきた感じがします(比較するからそう思うだけで、実際は結構なスピードだと思う)。

五老星の「空白の100年」の知られたくなさが本当にすごい。ほっぽど知られてはまずいことなんだな……。薄ぼんやり想像ができるような、まだ全然わからないような、この世界の真実が明かされる日が今から楽しみです。

こんな状況でもちゃんと役割分担をして逃げ出す準備を進めているこの手際の良さは流石。何度もバスターコールをされただけある(?)。これなら逃げおおせる!という希望を与えてから「くまの姿のパシフィスタが最愛の娘であるボニーを殺すかもしれない」という絶望で落としてくるのも絶好調過ぎる。更に、エッグヘッドに向かってくる何者かもちょい見せ。

これだけのことが起きているのに「今週はちょっと展開がゆっくりかも」と思わせる ONE PIECE の濃さは本当にすごい。そして本当に黄猿がつらそうで見ていてつらい。

夜桜さんちの大作戦

作戦211. ひふみと二

二たちの出自と、9代目の当主の心臓のありかが明かされた回。確かに二は敵かもしれないけれど、ひふみにとっての良い人であるというのが切ない。

有無を言わせぬ二刃の行動も、二刃にとってその心臓が母のものであると思うと納得。普段ならもう少し話を聞いてくれそうな印象がありますが、既にキレている+母の心臓が奪われそうになっている状況ではこうなるのもやむを得ない感じがします。

ここであのときの約束に繋がるのはアツいし、二刃もそれを無下にするのではなく「応援に足るか確かめる」という答えを出したのがいい叔母だなと思いました。あと狂一郎はそろそろ起きて、助けになってあげて欲しい

アオのハコ

#134 乗ってください

この絶望からどうやって持ち直すんだ、と思っていたらおもったよりも正攻法で話をまとめてきて、素直に上手いと思いました。スポーツ一本のマンガとは結構文法に違いを感じるので毎週新鮮な気持ちで読めていいですね。

先週「ここから恋愛方面に進んでIHの件がうやむやになるのも違う」みたいなことを書いたんですが、大喜は励ますのではなく、千夏先輩が自分の気持ちに素直になれる場所を用意してあげただけってバランスがよかった。河原というシチュエーションも青春らしくていい感じ。

僕のヒーローアカデミア

No.413 鉛の塊

ワン・フォー・オールを使えない形で死柄木に譲渡することで、死柄木の内側から対抗するというのはなるほど~、という感じ。それによってデクが「無個性に戻るかもしれない」、というのはこのマンガが初期から抱えていた問題ともがっつり噛み合ってくるところがすごいですね。

この提案、客観的に見れば(成功率に関する判断を除いて)実行しない理由はないように見えますが、だからといってすんなり「じゃあそうしよう!」とはならず、「デクにとってこの力がどれだけ大切な宝物であるか」というところに言及してくれた大人がいたことは1つの救いであると感じました。このデクの悲しみを無視して話が進んでしまったら、それこそ「じゃあ、ヒーローのことは誰が救ってくるの?」という話になってしまう。結果的に「やる」という判断になったとはいえ、こうして「宝物」のことを思ってくれた人がいるというのは大きいと思います。

そして、始まる「ヒーローには見えねぇ」デクと死柄木の決戦。

なんかもう、デクもかわいそうだし死柄木もかわいそうだし毎週見ていてつらくなってくる。よかったことが富士山がまだ原型を止めていたことくらいしかない(そんなに?)。

僕とロボコ

第170話 歌詞とロボコ

普通のあるあるネタで1話消化してるのすごいな。ちゃんとおもしろいところもすごい。基本的にロボコ1人で回しているのに話のテンションに緩急があるし、最終的に痛い目をみて終わるわけじゃないので後味の悪さが尾を引くわけでもないところがジャンプにちょうどいいというか……。

あんまりごたごた考えるような内容ではないはずなのに、なんか考え込んでしまった。

SAKAMOTO DAYS

DAYS 152 RTA

この掲載順位で「今週はちょっと後ろの方だな~」と思ってしまい、常日頃からこのマンガがどれだけ前の方に載っているかということを思い知らされました。いつもは大体5番目くらいにはいるイメージ。

透明な刃の材質は強化ガラスかセラミックっぽい?ということで、技術的に透明にしているわけではなく単に透明な素材を使っているってことみたいです。単体で役に立つ武器と言うよりは今回やったように相手の意識の隙を突くための武器なんだと思うんですが……、赤尾に「器用」と言われるだけあって本当に器用ですね。南雲の強さというのは用意周到さと戦闘を自分のペースに持って行く器用さで成り立っているんだろうなというのが感じられてよかったです。

致命傷を負ってから、覚醒したように強くなる楽と、やや押され気味の南雲。南雲にとっても楽にとってもお互いが相性の悪い相手っぽいのがそれぞれの口から明言されているのはおもしろいですね。にしても今回もアクションの構図が光っていました。

坂本の「あいつらは滅多なことじゃ負けない」というセリフから1Pで回収される大ダメージを負った南雲の姿、本当はショックを受けるべき場所だと思うんですが、「フラグ回収早すぎるだろ!!!」という気持ちの方が大きかったです。

そしてスラーの元に戻った楽のシーンで〆ですが……、南雲VS楽の決着が描かれていない点、透明な刃で致命傷を負ったにしては元気そうな楽(これはバトルマンガあるある)、南雲の特技が変装(しかも過去に他人を変奏させたことがある)となると、入れ替わりを疑ってしまうところです。

南雲が好きなので南雲のページでTシャツを作りたいんですが、もしかしたら本人じゃないかもしれない……、と思ってまだ我慢しています。

アイシールド21

BRAIN×BRAVE

今回は最終回後を描いた読み切り。連載「21」周年記念というのがアイシールド21とかかっていてかっこいいですね。ただ、私はアイシールド21を最後まで読んでいない状態だったため、なんとなく雰囲気で読んでしまったところがありました。それでも試合の熱さで見せてくれたところは流石だなと感じます。

セナとヒル魔の対戦に絡めてAIの在り方も要素として話に組み込んでくるあたり、アンテナの広い作家さんだな~~~という素直な尊敬の気持ちがあります。

また、どちらが良いという話ではないですが、以前のマッシュル-MASHLE-の読み切りのように本編を読んでいない人向けにするか、今回のアイシールド21のように本編を読んだ人向けにするか(本当にこのコンセプトで書かれているかはわかりませんが)、こういうところでも作品の傾向が色々あっておもしろいと思いました。

しかし、個人的にはうれしいですが、最近完結作品の特別読み切りが多いのは新作が不足してたりするんだろうか……、とちょっと不安にならなくもない。

あかね噺

第95席 久しぶり

板挟みになった泰全師匠がどうするのかというのが一番の気になりどころだったと思うんですが、ここががっつり「逃げ」に入ってしまったのはあかねにとってかなりキツいところ。ただし、少年マンガとしては大人のずるさ、弱さとどう向き合っていくかという熱さのある展開ですね。

そしてそれを打破する鍵になりそうなのが満を持して表舞台に登場したあかねの父、物語の始まりの人であるというのは激アツ。しかも会場には“人間国宝”までもが姿を現していて、作中・メタ、両方において物語の転換期を匂わせています。やっぱりここがあかね噺の『渋谷事変』なのかも……

キルアオ

page 38 女の戦い

このサブタイトルでスポーツ対決なのがなんかいいですね。扉絵は「もしもの放課後」ってアオリですが、本当になって欲しいところ。

塩を送った敵が強すぎる……だがそれが良い……!!!というのはスポーツマンがあるある。なんなら最近アオのハコで見た。この辺は黒バス辺りの文法を上手く活かしていていいなと思います。

大勝負に出たが水中に引き込まれてしまったノレンと、それを助けに向かった十三。ノレンの様子がおかしい……!?という引きですが、やっぱりミツオカ製薬になんか裏があって、ノレンはその被検体でもある、みたいな流れが来るのがベタな感じだと思いますが……、実際このマンガがどういう方向性に進むのかがわからないので待て次回!!!って感じですね。

鵺の陰陽師

第35話 四衲の怒り

幻妖の成り立ち~強さを描いて、現状がどれだけヤバいかということを教えてくれる親切構成。鵺はこの辺の設定をさらっと出してくれるので、設定が気になってしまいがちな人(私です)とは相性がいいマンガだなと思います。

先輩と代葉は上手く逃げられるかと思いきやとんでもない幻妖とのバトルが始まりそうな雰囲気。この幻妖のデザイン、ダークギャザリングを彷彿とさせる気味の悪さ。以前からそうですが、幻妖のデザインはバトルマンガよりもホラーマンガに寄っているような気がします。個人的には好きですが、怖いモンは怖い。

なんか勝手にもうしばらく会えないと思っていた狂骨が出てきてくれて私はうれしい。狂骨もなんかうれしそうでよかったです。

グリーングリーングリーンズ

第8話 「対価」

主人公が教えてもらうこと、その好意に甘えてしまったことをこういう形で反省するっていうのはなかなかめずらしい展開に感じました(私があまりスポーツものを読まないので知らないだけかもしれない)。このマンガだと特に競技とその立ち位置から「初心者に教えたがる」というのがあまり違和感がない人も多かったので、ここでそれに触れるんだなというのも意外。

オリバーの言う「君に教えるメリットはない」と言うのは正論だし、じゃあどうするんだ?と思わせてからの、現金。そう言えば主人公は1話でも現金の話、してた!!!

現金を価値観の基準にしている主人公、スポーツものだと異端って気がしますが、実際無視できない問題ではあることを思うとなかなかおもしろい着眼点でいいなと思いました。好き嫌いは分かれそうな気がするのが懸念と言えば懸念かも。

アンデッドアンラック

No.192 Survival of the Fittest

ループ後のトップくんの紹介回でしたね。今回で、否定能力発現時の悲劇の初動を封じても別の問題が起きることと、作者がハルカとトップのカップリングを推してるんだろうな……、ということもわかりました。後者は私の想像ですが、でも多分そうだと思う。

風子が言っている「どうして否定能力者に選ばれるのか」というのは物語の根幹にも繋がる話だと思うので、トップ編でこの辺りも明かされると良いな~~~。おそらく「器」の話とも関連があるんだろうなと思っています。

累々戦記

第7話 剥離師:凪斗終

先週登場した剥離師の名前めちゃくちゃかっこいいですね。イケメンの名前って感じ。ただ、他の方の感想を見ていて気付いたんですが、本編で出てないのはちょっとそれでいいのか?感があります。

なんとなく察していたとはいえ、今回で涅森が体内に累を持っている異端者であることが確定して、話の骨子がしっかりしてきた印象です。ただ、ここで急に挟まった回想が凪斗側のものだったのはびっくりしました。もうちょっとキャラクター掘り下げてからでもよかったんじゃない!?というのと、今はどっちかというと涅森をはじめとした主人公陣営の掘り下げの方が欲しいところなので……。

でもこう、バトル的には人型VS人型の方が絵的に映えることもあってよかったと思います。

魔々勇々

No.19 「豚のち牛のち晴れ」

めっちゃ強いパンネロさんのお茶目なところが暴露されたり、なんか緊張感のない会議(?)が行われていたりと相変わらず独特な空気感が癖になる。

林先生はままならない現実と優しい人々、というのを書くのが本当に上手いな~と思います。今回だと雨の中モニカの靴を拾いに行くエリシアや、自分の傘を忘れているコルレオあたりがそうなんですが、こういう何気ない動作でも優しさを表現できるのがすごい。

あと欄外で初めてこのマンガの推奨略称がままゆうであることを知りました。SAKAMOTO DAYSにも公式推奨略称ください!!!(サカデイなのかも)

カグラバチ

第18話 蠢く

先週勢い余って「双城編、完!」とか書きましたが普通にまだ完ではありませんでしたね。今週で「完!」でした。なんかあまりにも先週の決着がかっこよかったから……。

双城が最後まで妖刀のファン(語弊がある)だったのと、チヒロがそれを真っ向から斬り伏せたこの決着、静けさすら感じる不思議な戦いだったと思います。このマンガってこう、戦いは熱いんですが、チヒロのキャラクター性と画面構成から「静」を感じさせてくるところが独特だな~~~と思います。

今週もシャルがかわいくてよかった。ただ、チヒロの腕はシャルの力でも治癒が難しいとなると、こんな序盤で片腕を喪失ってなかなかハードモードで話がスタートしてしまった感があります。シャルの成長で戻るのか、義手みたいなテクノロジーがあるのか、その辺りに期待。

ここで上層部がガッツリ出てきて、大きな物語へと繋がっていく感じ……、いいですね。ただもう私は勢力図がわからなくなってきたので、来週もおまけコーナーでこの辺解説してもらえるとうれしいです。

あと最後にイケメンが出てきたので、イケメンが出てきた!!!ってなりました。

ツーオンアイス

第17話 召命

先週に引き続きキリスト教モチーフの単語がサブタイトル。先週のたっくんの様子も含めると、このマンガのモチーフ自体が創世記なのかもしれません。

隼馬が女子の景色を経験したことで視野が広がる……というのはわかりやすさも含めて良い表現だと思うんですが、それがどれだけすごいことなのかという点が伝わりきっていない感じがちょっと残念かも。

今回で言えば、女子の景色を見てみるって本当にみんなやってないことなのか?やっていないんだとすればなぜ?というあたりが競技をやっていない自分からするとわからないので、どうすごいのかというのがわかりづらい。これはラストのSBS3Aもそうで、こっちは事前にすごいことだと語られているので「すごい」というのはわかるんですが……、尺の都合もあるのか結構すんなり成功してしまっている感じがあって2人の喜びに乗り切れないのが少し寂しかったです

とはいえ、競技への尊敬や真面目さがしっかりあるマンガなので、読んでいて安心感があるのは相変わらず。不穏なモノローグから話がどう展開していくのか、来週が楽しみです。

暗号学園のいろは

第五十七号 「皇帝の辞書に暗号はない」

かなりがっつりまとめに入ってきた&「2年後」なので終わってしまいそうな感じがひしひしと……。ただ、まとめ方が上手すぎるので、もしこれで終わりだとしても寂しさはあっても悲しさはあんまりなさそうな気がします。

今まで欄外で行われていたワンポイントレッスンが先週凍が部屋を出たことで枠内へ、という流れから始まる今回。また、自己紹介と対になるそれぞれの入学事情は暗号の出題と回答に通じるものがありました。

また、「戦争を止め」ようとするいろはに対し、「悲劇は平時にも起こる」という絶望をぶつけてくるのはラスボスとしてあまりにも美しい文脈で、それが凍自身の絶望でもあることでいろはの最後の暗号が活きた回でした。

まだ終わっていないのにこんなことをいうと後悔しそうではありますが、なにからなにまで計算された(少なくともそう見える)、美しい構成の物語だったと感じます。ここから新章になるにしろ終わるにしろ、応援していたことを一切後悔しないいいマンガだった(まだ終わってない)。

アスミカケル

Round30 想定外

がっつりバトル回なのであまり語ることはないんですが、黒沼と二兎の真剣な勝負はやっぱり白熱するな……、と思います。お互い負けられない状況なのでそういう点で見ていてつらい気持ちになってしまうことを心配していたんですが、そんなことより「勝つ!!!」というお互いの気持ちの大きさがすごくて、試合に集中できる

ほんと試合の書き方が上手いな~。

少年ジャンプ2024年10号 予告

子どものニコが各マンガにコメントしてるのが新鮮でいいですね。

2024/02/05発売
表紙:ウィッチウォッチ
巻頭カラー:ウィッチウォッチ
センターカラー:キルアオ
センターカラー:カグラバチ
センターカラー:ハイキュー!!(特別読み切り)

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