見出し画像

少年ジャンプ2024年19号感想

前号:少年ジャンプ2024年18号
次号:少年ジャンプ2024年20号

2024年04月08日 発売
表紙:僕のヒーローアカデミア
巻頭カラー:僕のヒーローアカデミア
センターカラー:あかね噺
センターカラー:【読切】サダオがいる家
センターカラー:超巡!超条先輩
読み切り:【読切】サダオがいる家(笠屋忍)

表紙は僕のヒーローアカデミア。誰がどう見ても最終決戦!!!って感じの重厚さで、普段よりもジャンプが重そうに見えました。「1億部突破!!!」の文字もとても景気がよくて、いい表紙だな~、と思います。


僕のヒーローアカデミア

巻頭カラー

こうやってバーンとでっかい絵を見せられるとあまりの上手さに慄いてしまいますね。ONE PIECEやSAKAMOTO DAYSとはタイプの違う上手さ。細かくて丁寧なこの書き込みを見ていると「週刊連載しながらこれを描いているなんて、人間業とは思えない……」と思います。体には気をつけて頑張って欲しいです。

人気投票結果

X(Twitter)を見ていたら数え間違いがあったとかでちょっと騒ぎになっていました。こういうのはお祭りとして楽しめればいいな~と思っている方なんですが、自分の好きなキャラクターに対する情熱を知ってもらいたい気持ちもわかるのでなかなか難しいところですね。(「○○位以内に入ったら○○!」みたいな企画が一緒になっているとなおさら)。

爆豪、出久、焦凍で1、2、3はきれいにハマった感じでいいですね。色々な想いがあるとは思いますが、こういうのは純粋にみていておもしろい。それにしても過去最高10万票超えって本当にすごい。

No.419 DESIGN

死柄木の「個性」を与えた、それどころか死柄木の人生をコントロールしていたのがAFOだとわかってからのこのサブタイトルは皮肉が効きすぎでしょ。人の人生をなんだと思ってるんだってところがAFOらしいですが、死柄木からしてみれば最悪以外に言えることがない。悪役のデザインとしてはかなり秀逸だと感じます。ただ、死柄木をここまで憐れに描くと戦いの後ちょっと後味が悪くなりそうなのでこの辺りの収拾をどうつけるのかが気になるところ。

デクの両手欠損はシチュエーション的にも絵的にもかなりショックでした。ここまでこの作品が「手」というものを通して人間と人間の繋がりを描いてきたことを抜きにしても、ただこの一枚のイラストでとんでもない絶望感を与えてくる。ヒロアカはずっと高い画力でその表現を見せてくれていたマンガですが、ここ最終決戦に置いてその画力の高さが作品の表現したいことに見事にハマっていると感じます。

正直ここからデク VS AFO戦を見せられるのはちょっと退屈かもしれないと思っていたところで、クラスメート、そして先生の登場。先生はかなり痛々しい姿ではありますが、「生徒のピンチに駆けつける教師」というのはいつ見ても最高

この勝ち筋はしっかり見えている戦いをどうまとめていくのかという点で目が離せなくなってきたのと同時に、終わりが近付いてきているのを感じて切なさも感じています。

SAKAMOTO DAYS

DAYS 161 サメ

神々廻と周の会話、確かに父を殺された息子と、殺し屋としてそれをしなければならなかった部下の会話として来るものはあるんですが……。

四ツ村さん生きてるんだよなあ!!!なあ南雲!!!みたいな気持ちになってしまう。だからといってこの会話に全く意味がないわけではなく、周は殺し屋というものを父の死と神々廻の覚悟を通して知ることができたし、神々廻はあのときの四ツ村の考えていたことに寄り添うことができた、そのことに意味はあると思います。周もここで「それでも父の仇!」みたいにはならなかったのは偉い。

先週書いた通り、この戦いで死ぬ可能性がある以上、話せるタイミングはここしかなかったとはいえ……、ここで神々廻が大怪我をしてしまうと、読者感情的には「こんなときに話すから!!!」にはなってしまうので難しいところ。神々廻がダウンするほどの怪我となると結構心配ではありますが、キャロライナ・リーパーの武器って「切りながら焼く」とか言っていたので死にはしないんじゃないかな……、と希望を持っています(ただその代わり死ぬほど痛いみたいなことも言ってた気がする)。

大佛の登場シーン、怖すぎる。キャロライナ・リーパー、死んだ?

丸ノコの形状と登場の仕方をサブタイトルである「サメ」にしたのはわかるんですが、そこからバラバラ死体が噴き出したり、のそ……と黒髪の女が登場したらそれはもうホラー映画の世界なんだよ。と言うか、この大佛に関しては多分リングを意識しているような気がします。

この展開で周にヘイトが集まるのもちょっとな……と思うので、大佛が周に対して怒っている理由は「下手人を勘違いしている」であって欲しいところですが、どうだろう。ここで「あなたを守ったせいで神々廻さんが怪我をした」という話になってくると、そこに違う文脈が乗ってきてしまう。ここの大佛と神々廻のシーンは、戦闘前の熊埜御と楽のシーンにちょっと寄せてる感じがしますね。というか、やっぱ鈴木先生って男女バディが結構好きなのかなという印象。絵的に結構映えるし、いいのかも。

そしてここでシーンは地下へと切り替わり、南雲と心臓を刺されたはずの有月。それと麻樹会長(もしかしたら案内の人もいるかも)。

予想通り、赤尾の人格が発現し、南雲を「つまんねー男」と一刀両断。ここの「揃いも揃って間抜け面…」はスラーのことも言ってるんだろうな。

予想外だったのは南雲がすぐにこの有月を「赤尾」と判断したこと(次のシーンで「そんなはずない」になる可能性はありますが)。坂本は赤尾は死んだ、有り得ないという考え方だったのでちょっと意外でした。変装が得意だから赤尾も有月に変装してるんだと思ってたらおもしろいですがこの流れでそれはないだろうし、何か別の情報を掴んでいるというのはありそう。

ちなみに赤尾in有月の顔の火傷跡ってどこから出てきた?と思ったけどタイの倉庫でこの怪我してるんだな……、ここまで何かで隠してたのが刺された拍子で出ただけかもしれないけど(それはそれで何?だが)、有月時と赤尾時でダメージごと切り替わるような謎状態だったりする?みたいになってきて今すごい考え込んでる。

なんにせよ坂本が到着するまで膠着状態かな……。

呪術廻戦

第256話 人外魔境新宿決戦㉘

「教えて!五条先生!!」にて黒閃についてのおさらいからスタート。ちょうど先週「黒閃のこと忘れちゃったな……」とか思っていたところだったので、おさらい+付加情報を教えてくれてありがたい。

説明してくれた内容は正直あんまりよくわからなくても(もうしわけないんですが、何度考えても③がわからない)、とても繊細なバランスで成り立っているものであり、五条ですら意識して出せるようなものではない、ということがわかればよいというのも親切。

ミゲルとラルゥの存在が味方陣営にあまり伝わってないのは笑ってしまった。こういう情報伝達の仕方って戦場によっては死に直結するミスだと思うんですが、今回は対宿儺戦なので基本「宿儺と裏梅以外は敵の敵」くらいの認識でなんとかなるため、出来た作戦でしょう。

単純近接戦闘の面子が残ったため、戦闘シーンそのものの見応えがすごい。その中で黒閃を打ちまくる宿儺……、冒頭で五条が黒閃の説明してるんだから虎杖が打つんだと思うじゃん!!!なにしてくれてんだ!!!と言うところでラルゥの術式。呪術廻戦の術式は大体概念バトルなので、何かを「掴む」術式なら心も「掴む」ことができると言うのはなるほど。ちょうどミネルヴァ(魔々勇々)の紋章術の逆の使い方ができるわけです。

そこからの虎杖の黒閃と「覚醒」のモノローグの熱さは最高でしたね。このためにここまで読者のフラストレーションを溜めたんだ!!!と一目でわかるデッカ黒閃コマも最高。

穿血から始まった即興連携ですが、バトルマンガと言えばこれ!!!感が強く、流石の貫禄を感じました。ヒロアカ同様こちらも終わりに近付いているはずですが、こっちはまだボルテージが上がり続けている感じですね。

あかね噺

カラー

2週連続カラー、お疲れさまです!!!そして、あかねのポーズとアオリ文はドラゴンボールのオマージュ。さりげなく描かれているところがよかったです。

第105席 あの日の約束

あかねに推薦を出すことを決める泰全と、それを阻止しようとする全生。全生にしっかり「あなたは無関係だ」と言えるあかねの強さと、加勢にきた志ぐまのかっこよさ。全生にいいところが全然ないような気がするんですが、そこをそういう性格だからこそ出来る落語がある、という形でキャラクターにしているところが上手いと感じます。

ブチギレる全生師匠を「こわ……」と思う間もなく、もっと怖い絡み方をしてくるまいける。これがバトルマンガだったら全生の命はない演出ですが、落語マンガなのでセーフ。しかしこれを別件で弱味を握ってどうこうという形ではなく「俺の真打昇進試験が決まりました」と自陣に誘い込んで戦おうとする強キャラ仕草があまりにもよすぎる。最終ページが完全にバトルマンガ。

アオのハコ

#144 上書きしよっか

針生先輩との部活ターンを終えて、千夏先輩との恋愛ターンへ。相変わらずシーンの切り替わりがきっちりしているマンガだな~という印象。

千夏と大喜の交際のことって針生先輩は知ってたんだっけ!?となりましたが、流石にこの人の立ち位置ならそれくらいは普通にわかりそう(実際どっちだったかな……)。ここで千夏先輩がごちゃごちゃ言わないのは針生先輩に対する友人としての信頼もあるからなんだろうな……、と人間関係の広がりを感じられてよかったです。

インターハイ出場おめでとう、からのミサンガのおまじないの上書きシーンはなんかもう本当に「恋愛ってすごい!!!」なんですが、そのミサンガにかけたおまじないの真面目さこそがアオのハコの真骨頂って感じでした。

このマンガを好きな自分を好きになれるタイプのストーリーを描いてくれるので、アオのハコには精神デトックス効果があると言っても過言ではない(過言)。

針生先輩もダブルスの方でIHには行く!って聞いて「なんだ~」ではなく、心底「よかった……」と思えたのもこのマンガがIHに向けての展開をていねいに描いてくれていたからだと思います。本当によかったし、IH編も楽しみ。

引き的に大喜と千夏先輩の交際が発覚する!?というのが今後の大きな要素の1つになりそうな気配はあるんですが、あまりにも清いおつき合いすぎるせいで「別にバレても問題なくない?」になってしまう。

アンデッドアンラック

No.202 雲蒸竜変

また知らない四字熟語が出てきたのでちゃんと調べました。

雲蒸竜変

うんじょう-りょうへん
英雄や豪傑などのすぐれた人物が、時運に乗じて出現し活躍すること。雲がわき起こり竜りゅうが勢いを増して、変幻自在に活動する意から。▽天に昇る竜は雲を呼び起こし、その勢いをさらに増すという。「雲蒸」は雲がわき起こること。「竜」は「りゅう」とも読む。

goo辞書より

これは今回のラストまで読んでから見ると「そういうこと!?」すぎるサブタイトルでしたね。というか、ここ最近サブタイトルが四字熟語だったのもこの展開を示唆してたってこと!?

前半の「どうやったらこのルールで勝てるのか?」という振りから、絶対このルールで勝つ気がなさそうなファンが召喚されたこの展開は流石におもしろすぎる。もしかしたら中国語を使えるというアドバンテージでなんとかするのかもしれませんが、個人的には暴力でめちゃくちゃにして欲しい気持ちが強いです。

風子とイチコが普通に会話してるのは、「言語」を封じられても魂での意思疎通はできるとかそういうことなんでしょうか。そもそもどういう原理でこの通信が出来ているのか忘れてしまったので、ツッコミどころがこっちでいいのかも謎。

キルアオ

page 48 VS JARDIN Round2

このまま平和に終わるのは状況的に難しくない?というところから想像以上にとんでもないことになってしまった回。

二代目の存在を引っ張らずにここで登場させてからのサービスエリア大炎上。この規模だと一般人も巻き込まれてるような気がするんですが(少なくとも車が爆発した人はいそう)、こういう規模の戦闘が起きるマンガだと思っていなかったので油断していました。なんか普通にすごくびっくりした。

十三に宛がわれた刺客の女性も例のゾンビ風手術痕があるので、JARDINはそういうことやってる組織なんだろうな……、という感じ……。しかも竜胆兄弟の言い分を見るからには同意なしでやってそうなところが闇ですね。

ここで一旦体勢を立て直してから改めて対決の流れになるのかと思っていたんですが、間髪入れずに大人の姿に戻り、刺客をまいて追いついてきているところは流石。実際、ストーリーとしてもここで一旦落ちつかせるよりもここまま追いかけた方が勢いづくだろうなと思うと、そういうペース配分の上手さを感じます。

にしても大人の姿が久しぶりすぎて、一瞬「誰?」ってなった自分に驚きました。

【読切】サダオがいる家

笠屋忍

悪霊「サダオ」が住み着いている家に三姉妹がやってきて……、というストーリーの読切。タイトル的には「リング」の貞子のパロディで、作中にも「テレビから出てくる怪異」としてその要素が使われていました。ただ、個人的には名前をもじって使うのであれば貞子の本領である「呪いのビデオ」方面もパロディして欲しかった気持ちがあります。

ただ、もしかして今って「サダコ」という固有名詞は「リング」という作品の怪異と言うよりも、「テレビから出てくる怪異」として「ホラー」の一種のシンボルになっているのかもしれない……、とも思いました。そういう意味で言えば「サダコ」の名前をパロディすることで「この話にはホラー要素がありますよ」というわかりやすさを意識したタイトルなのかもしれません(ここまで書いておいて貞子のもじりじゃなかったらどうしようという気持ちはあります)。

悪霊がマイペースな三姉妹のお色気によって癒される感じの話かな……、と思って読み進めて行くと、いい意味で裏切られる本作。キャラクター性をメインに組み立てられたすっきりしたストーリーが読みやすく、作品の印象をオチで裏切らない優しい読後感がよかったです。ホラーだと最後に裏切ってきてすごい読後感にしてくる作品もあるんですが(それはそれで良さがある)、この作品はあくまで「サダオ」に主軸を置き、その救済が目的、という芯がブレなかったところに魅力がありました。

ちなみに一番怖かったのは民家に普通に侵入してきた謎の配信者たち。廃墟探索に来て、人が住んでる気配があったら普通は気付かれる前に引き返しそうなものなのに、そこで「女だ!襲おう!」って、人生をコースアウトするのが早すぎる。このシーンで鍵を壊す様子もなく普通に玄関から入ってきたのがいまいち飲み込めなくて(普通は鍵をかけると思うので)、細かいところを気にしてすみません……という気持ちに。

ちなみに後ほど感想を話した友人に「そういうの(鍵のかけ忘れ)も含めて不幸を呼び寄せているってことじゃない?」って言われて「なるほど!」と思いました。

しかし、同じ号でSAKAMOTO DAYSの大佛とこの作品のサダオのポーズが丸かぶり(元ネタが同じなのでそれはそうなんですが)という事故が起きているのもおもしろい。夏に怪談シチュエーションがかぶるならともかく、ただただ偶然かぶったというのもポイントが高いです。

夜桜さんちの大作戦

作戦221.あるふぁの開花

嫌五の能力=変装のイメージが強すぎて、開花の能力のことをすっかり忘れていました。あるふぁに対してあまりに適切すぎる能力だったので、この保険があったからこそ多少の無茶に踏み切ったのもあるんだろうなと納得。

ここぞと言うときに来てくれるのが父、という文法が美しく、この登場を悟られにくくするための長男とひふみだったのかもしれないと思うのと同時にあの2人は素でもこれくらいやるから別にそう言うのではないかも……とも思いました。マジで長男とひふみの存在感が強すぎる。

あるふぁの開花についてはここで伏せない方がいいと思うんですが、ちょっとショックが大きそうなこと、あとはメタ的にここで伏せて後々一悶着ある方が話の山場を作れるというのもわかるので……、ただこれは嫌五の「判断」というよりは「あるふぁが隠そうとしたものを皆の前でさらさない」ための優しさなんだと思います。そう考えると嫌五がそういう動きになるのは理解できるんですよね。

ラストは急にポーズを決めてきたのでちょっとおもしろかったんですが、こういうのはマンガあるあるなので素直に絵的なかっこよさを堪能しておきました。

僕のヒーローアカデミアと呪術廻戦の連載終了時期ばかりに気を取られていましたが、夜桜さんちの大作戦もしっかり最終決戦目前まで来てるんですよね。ここからの盛り上がりに一層期待が高まってきました。

カグラバチ

第28話 突破口

カグラバチは現在進行形で進む現在軸と、そうなった経緯について説明する過去軸を上手く混ぜ込んでストーリーを展開していくのが上手い。先に過去を説明してから進めようと思うとどうしても現在軸の方が停滞してしてしまうので、それを避けるための手法なのかもしれません。個人的には好きな構成です。

話を慎重に進めているからなのか、単にそういう描き方なのかはわかりませんが、カグラバチは味方陣営が結構こじんまりしている印象。満を持して(?)やってきたハクリもチヒロと柴さんの作戦会議には基本加わらず、要所要所だけ呼び出されている形。シャルとヒナオの非戦闘員に混じっているのは微笑ましいですね。

先週「刳雲!?なんで!?」と思った件には「折れているが能力だけは使える(回数制限あり)」と回答がありました。暗闇での戦闘シーンは相変わらずかっこいいに全振りされていてよかったです。やっぱカグラバチでみたいものといえばこれ!!!緋雪も合流してますます盛り上がりそうな予感。個人的には緋雪とは共闘路線で進んで欲しい。

細かいところですが、地下の扉を示すシーンのコマ割がよかったです。

ウィッチウォッチ

151 PANCTUAL MAN

カンシメインのギャグ回にハズレなしの法則は健在。いつもおもしろい本作ですが、カンシ回はコメディ的な笑いよりもギャグ的な笑いが強いことが多く、本当にめちゃくちゃ笑ってしまう。今回も死ぬほど笑ってしまった。読み返しても笑える。

「さ」と「ち」のデッドオアアライブ、カンシの必死さには心を打たれましたが、本人の真剣さに反比例するように笑いがこみ上げてきて、本当にごめん!!!カンシ!!!みたいなテンションで読みました。

結局「ち」だった場合でも篠原先生なら上手くギャグにしてくれたと思うので、そのバージョンも見たかったです。無茶を言うな。

逃げ上手の若君

第152話 雫1338

戦からの撤退と、雫の正体についての回。公家の軍があまりにもヘイトタンクでしたが、親王殿下だけは北畠顕家への礼をきっちり通していたので安心しました。

前回御左口神をあまりよく知らない……、と書きましたが、作中でも「日本古来の民俗宗教であり、詳細は失われている」とあったのでなるほど~、になりました。諏訪大社との結びつきから生まれた設定だと思うんですが(太平記にある設定だったらすみません)、うまいことストーリーに組み込んだものだな~、という感じ。存在として「神力そのものが一時形を成しただけ」というのもわかりやすいし、これなら歴史に名を残していないことにも納得できます。

そのままだと強すぎる……、と思っていたら時行の「人の君の力こそが必要」という要請でその力はセーブされることに。これはもうメタ的にもこうするしかないのもわかりますが、これで最後にこれを破ることになるフラグが立ってしまったのでは?とちょっと不安に。

超巡!超条先輩

第9話 コンビニ巡査長

カラーもこなれた風にこなし(マジで連載9話目とは思えない)、今回はまだ一桁話数なのに交番を離れてコンビニ勤務に。もうなんでもありだな。このまま突き進んで欲しいです。

コンビニで働くことになるくだりですが、普段の様子から「嫌だ!」とならずに「めちゃくちゃやりたい!」になるところはいい意味で期待を裏切られてよかったです。また、コンビニ業務への理解度が高く、その辺りも好感度が高い(身内がコンビニで働いていたことがあるため)。このタイプの導入からコンビニでめちゃくちゃ楽しそうに働くとは思っていなかったので最後まで「なんかヤなどんでん返しあるのかな……」ってハラハラしてしまいました(なかった)。

最後のオチもコンビニがだ~いすきオチで、「好き」をギャグにしているのがよかったです。

鵺の陰陽師

第45話 めっちゃ成長させて下さい

ここで修行下位を挟んでくるってことは結構余裕あるのかな~という感じはするんですが、この作品は結構掲載順位が乱高下する方なのでまだ油断できない状態が続いているという認識でいた方がいいのかもしれません。

冒頭にレベル4幻妖の会合風景はあるものの、基本的には「敵を出し抜いてめっちゃ強くなろう!!!もう1人なら修行つけられるけど誰がやる?」という内容で1話書き切っているのがなかなかおもしろい。鵺さんの絶対優位性が揺るがないところも好きです。

結局はヒロイン3人とも「自分がやる!」と奮起させられる流れですが、ここで学郎がどうこうではなく、それぞれがそれぞれの理由で「強さ」の為に修行を志願したのがよかったです。

オチはまあ、それならそれで先に言ってもよかったんじゃない!?感はありましたね。

僕とロボコ

第180話 MCとロボコ

ラップのことがあんまりよくわからないので雰囲気で読んでしまいましたが、ラップをやっていてもいつも通りのロボコで安心しました。いつもと違うのは凡人がツッコミだけではなく、しっかり引導を渡していたところかもしれません。

戦う相手へのラップを事前に作って覚えておくのは全然正々堂々とは言えないじゃん!!!というところにまっすぐ突っ込みを入れているところ、この「ラップを作って覚えておく」というところにロボの強みを盛り込んでいるところにそれらしさがあってよかったです。

グリーングリーングリーンズ

第18話 「変わっていく」

打ち上げ回をコメディ回として消費せず、ライバルとの関係性を深めたり、主人公のゴルフへの向き合い方を表現したり、という感じにしていたのがこのマンガらしい回でした(コメディ回に徹するのが悪いわけではなく、マンガそれぞれにカラーがあるなあという意味です)。

みんなのスコアを聞くことで「本来これくらい」というスコアのアベレージを知れるようにしたり、ゴルフあるある話を盛り込んだりして、読者を「ゴルフ」という競技に近づけてくれているのもていねいな進め方だなと感じます。次の目標もしっかり示されていて迷いがなく、とても読みやすい。

Dear Anemone

第8話 狼少女

前回の引きから「スッポンポンやないかい……」のリフレインで始まるところはなんかシュールでよかったです。掴みとして強い。そこからの死の記憶、首に残る傷跡、首のない「自分の体」、と不穏な要素がじわじわとにじり寄ってくるような描写も見事でした。

元々「適合者」がやってきていた、というのは想像していましたが、その生い立ちが正に「狼少年」的であり、そもそもこの島出身というところまでは想像できていませんでした。話の内容的に、主人公とは違った目的を持って送り込まれた存在っぽい感じがあり、政府のきな臭さが増して来る中……、そういえば今回主人公が登場してませんでしたね。

植物、昆虫、は虫類、ほ乳類と「適合」する動物がどんどん増えていて、この分なら少し前に離脱した女の子も「適合」するんじゃないかな~と期待しています。

ツーオンアイス

第27話 創世:第0日

スポーツものとして、参加が2組の大会を描くって言うのは結構変則的だと思うので、そういう意味でも興味深い大会でした。

空天雪と隼馬の邂逅シーンはややハラハラしましたが、よくよく考えてみれば空天雪の異常な感情は明らかに女性へと向けられているものなので、ここは意外と大丈夫そうでした。というか普通に空天雪の言葉を遮って自分の質問を押し通す隼馬の方が強いまである。

おそらく空天雪は隼馬の言う通り「自分のために」ペアに転向しているものの、それは隼馬のような感情ではなく、もっとマイナスな部分から生まれてきた感情なんだろうなと思います。心の奥底には純粋にペアを愛する気持ちがあることを読者は知っているものの、現在の空天雪はそれを「復讐」のために使ってしまっている自覚があるからこその「ごめんね」だと感じました。そもそも、全部話そうとすると本人のトラウマにぶち当たるので難しいところですね。

隼馬に取っては空天雪が「自分はわがままで、ペアの相手を傷つけていることも理解している」のは意味不明だと思いますが、こればっかりはもう経験に基づく話になってくるので仕方がない、という確かな断絶があるのが残酷でした。もっと早く出会えていれば……、という気持ち。

また、傷つけられた方の女性の強さも見事でした。確かに空天雪は被害者ではあるものの、それで関係ない人間を巻き込んで傷つけていい道理はないのでこれでいいと思います。是非いつかクズ男をぶっ倒して欲しい。

そしてそれぞれのペアの思惑が交錯する中、テレビ局を巻き込んだクリスマスへ……。ということでだいぶ巻いてきた印象ですが、ここからあと1~2話で終わる!?というのも正直なところ。来週の展開が気になります。

累々戦記

第17話 戦いの記録

先週から始まった総力戦、大規模戦闘ということで絵的な派手さがいい感じ。剥離師の使っている武器もそれぞれおもしろそうなギミックがあり、デザインと合わせてセンスの良さが光っていました。個人的には折り紙っぽい乗り物が好き。

勝たなきゃならないところなので、味方陣営が快進撃を続けていく中、対禅戦は押され気味に。そこに主人公と相棒が到着!というのは様式美的なものも含まれますが、やはり美しさを感じます。応神後の蒼葉のビジュアルも良く、決戦が楽しみになりました。

ただ、戸神ちゃんのはいてるはいてないの話はここでやらなくてもよかったんじゃないかな~、というのが引っかかりました。個人的にあまり好きではないネタってこともあるんですが、そもそもはいてないことにメリットがあるわけではないところでそういうお色気要素を入れられても……、という感じ。サービスだったとしても、巻末コメントで触れたくらいで十分だったと思います(個人的に)。

魔々勇々

No.29 CLOSER

生まれてこなければよかったと悲観するエンドに対し、自分はエンドの力によってしか得られなかったものがあるから、そんなことはないのだと諭すコルレオ。最後まで「対話」を通して相手とわかり合おうとする姿勢は立派でした。自分が恵まれていたことを自覚しながら、だからこそ「エンドのせいで不幸になんかなっていない」と告げるところはコルレオ自身が望んだ「勇者」らしさの集大成と言った感じでよかったです。

エンドがエヴァンにあえたのかどうかはわかりませんが、最後に「持って行った」ことは示唆されていたので、それでエンドが少しでも安らかに逝けたことを願っています。

奇跡的に生きていた、という終わりでもよさそうなところにちゃんと「理」を通して最後の戦いに繋げるところ、エンドを取り込んだグリシャに対する勇者と魔王の軍勢こそが「魔々勇々」であるところもとても良くて……とても良く……、これで最終回でさえなければ……、という気持ちがすごい。予想はしていましたが、やっぱり寂しいですね。

とはいえ、出来る応援は出来る範囲でした作品なので、応援していたことに後悔はありません。単行本の書き下ろしを楽しみにしていようと思います。

WEEKLY週ちゃん

VOL.0244

渋谷特集だったので結構興味深く読めました。以前京都特集もありましたが、知名度的な問題か立地的な問題か、創作物に良く出てくる場所というのはそれなりにあり、東京で言えば渋谷はその最たるもののひとつだな~と思います。個人的には街 運命の交差点と428が好きなんですが、これはジャンプとはあまり関係ない話ですね。

作者コメント

末永裕樹先生が読んでいる「成瀬は信じた道をいく」は2024年の本屋大賞を受賞した「成瀬は天下を取りにいく」シリーズの続刊ですね。気になっていた本なので、私も早く読みたいな……、という気持ちが高まりました。前にも映画を見た報告をされてましたが、こういう風に作品名を出してもらえると色々な作品に興味を持てるのでうれしいです。

笠屋忍先生は沼駿先生のアシスタントをしているとのこと。同時に掲載されることあるんだ。

外薗健先生が厄払いに行っていて、お疲れ様です!という気持ちに。あれって結構面倒でお金がかかる上、やらなかったらやらなかったで気になっちゃうんだろうな……、という制度(?)なのでなかなか厄介。とはいえお祓いで気休めになるなら安いものなのかもしれません。

ウィッチウォッチの子どものニコが書く文字や絵はやたらそれっぽいな~と思っていたんですが、実際に篠原先生の子どもたちが書いているとのことだったので納得。

林快彦先生、魔々勇々の連載お疲れ様でした。最終回のアオリ文にもありましたが、単行本に続く構成になっているとのことだったので、単行本の発売を心待ちにしたいと思います。

少年ジャンプ2024年20号 予告

今回で魔々勇々の連載が終了し、来週号から始まる新連載3作品の紹介がありました。

1つ目は東京卍リベンジャーズの和久井健先生の「願いのアストロ」。2つ目が那波歩才先生の「極東ネクロマンス」で、3つ目が小林おむすけ先生の「さいくるびより」。極東ネクロマンスが21号から、サイクルびよりが24号からとのことなので、この間に合併号が入るっぽいですね。

どの作品も楽しみですが、やっぱり気になるのは和久井健先生の願いのアストロ。東京卍リベンジャーズのヒットからそう時間が経っていないのに、もう新連載って……、早すぎるのでは(悪い意味ではなく、すごすぎるという意味で)。アウトロー系なのは想像がつきますが、そこに「異能」がついてくると一気にジャンプっぽさが増しますね。

センターカラーが今回も2作品しか紹介されていませんが、今回しれっと読み切り作品がセンターカラーだったように、しれっともう1作品センターカラーがあるのかもしれません。アンデッドアンラックは人気投票の発表もあるようなので楽しみです。

2024年04月15日発売
表紙:願いのアストロ
巻頭カラー:願いのアストロ
センターカラー:鵺の陰陽師
センターカラー:アンデッドアンラック

アンケート

ジャンプ感想記事についてのアンケートを作りました(Googleフォーム)。気が向いたら気楽に回答してみてもらえると助かります。


この記事が参加している募集

マンガ感想文

いただいたサポートは大切に使わせていただきます!