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家族とポジティブに絶縁する。

母親から不在着信があった。電話が来ることは滅多にない。家族の誰かが倒れたのだろうか。それとも、何か問題が起きたのだろうか。不信に思いながら電話をすると、母親が出た。母親は「お父さんが…」と言った。父が倒れたのだろうか。高齢の父だ。いつ、何があってもおかしくない。母親は続けた。お父さんがね、けいご(私)のアカウントでAmazonプライムを見まくっているんだけど、有料チャンネルに登録しちゃったみたいでお金がかかるのかって慌てている。だから電話をした、と。私は「そんなことかよ」と思った。別に金なんかいくらでもかかっていいから好きなだけ見てくれと言ったら、母親は「お父さんに代わるね」と言った。

電話に出た父親が「おう、けいご」と言った。そして「金かかるのか」と言った。私は「金なんかいくらでもかかっていいから好きなだけ見てくれ」と、同じ事を言った。呑気な両親だ。父親は「お母さんに代わるぞ」と言った。会話は十秒で終わった。電話を代わった母親は「私はこれから麻雀教室に行く」と、聞いてもいないのに宣言した。先週は、ボーリング大会に出たらしい。母親から「四十八人参加者がいたのだが、けいごよ、私は何位だったと思う?」と問題を出された。問題にするくらいだから「三位くらいにはなったの?」と聞いたら、母親は胸を張って「二十九位だよ」と言った。そんな微妙な順位なのに、誇ってくるなよと思った。

私は家族を愛している。だが、親孝行をしようなんて思ったことは一度もない。むしろ、家族とは絶縁状態にある。私が家族に会いたいと思うのは、家族だからではなく、彼らを「生き物として面白い」と思うからだ。二十歳を迎えた時、親は、私を捨てた。私も、親を捨てた。親離れと子離れの儀式を済ませ、私たちは完全に他者となった。他の家のことは知らないが、私は「親だからこれくらいのことをしてくれて当然」と思うことがない。なぜならば、彼らは完全に他者だからだ。完全に他者なのに、彼らは時折ご飯を作ってくれたり、寝床を提供してくれたりする。私は「ありがとうございます」と思う。何かをしてもらってばかりも悪いから、自分も、自分にできることがあれば何かをやりたいと思う。だが、家族のために自分を犠牲にするような真似はしない。なぜならば、彼らは完全に他者であり、自分と関係がないからだ。

不幸の元凶は家族にある。家族のしがらみに苦しめられたり、実家に帰ると孫の顔が見たい的なことを言われるのが嫌で疎遠になったり、自分の親は毒親だ的な話を頻繁に聞く。私は、家族とポジティブに絶縁することを勧める。メディアの影響で「幸せな共同体を築くことこそが幸せ」みたいに思い込まされているが、私は異論を唱えたい。幸せな共同体を築くことより、まずは自分が幸せな個体になること。自分が幸せな個体になり、時折、自分とは別の幸せな個体と同じ空間を共にして、再び幸せな個体に戻る。私が家族を愛しているのは、家族だからではなく、彼らが幸せな個体として存在しているからだ。幸せな個体は、他者に干渉をしない。幸せな個体を目指すより、幸せな共同体を目指す人々は、善意の仮面をかぶって他者の自立を阻害する。要するに「おせっかい」をするのだが、おせっかいは殺人と同じくらい罪が深い。

電話に出ないと怒る人がいるが、彼らは親離れができていない。当たり前なんてないんだよ。電話に出て欲しければ、電話に出たいと思えるくらいに魅力的な人間になれ。問題はお前だ。まずはお前が自立しろ。この世の問題は全部、親離れと子離れができていないことに原因がある。自立をしていない人間は、愛と情を履き違える。情は、愛ではない。愛についたゴミである。情で何かをするのは、大変に失礼なことである。お互いの自立を阻害する。家族は幸せの象徴として語られることが多いが、死ぬまで家族に苦しめられたり、家族を殺す事件も多発している。私は「家族とポジティブに絶縁する」ことを勧めたい。幸せな共同体を目指すのではなく、幸せな個体を目指すことを勧めたい。家族のために自分を犠牲にするのではなく、家という規制や条件を取っ払い、それでもなお「生き物として面白い」と思う人と一緒にいることを勧めたい。家族という枠を一旦脇に置き、ニュートラルな視点で周囲の面々を見つめ直した途端、面白い生き物に見えてくるかもしれないよ。面白ければ残り、面白くなければ離れる。人間関係は、それだけでいいのだと思う。一切の言い訳を自分に許さず、自己責任で、楽しく生きる。それが、幸せの掟【自立】だと思う。

坂爪圭吾様

先日は○○までお越しいただき、ありがとうございました!職場で面白い生態をもつ鳥のことを教わったのでお手紙しました。それは北米のノドジロシトドという鳥です。この鳥には2つのタイプがいます。1つは、歌は下手だけど、一途で熱心にヒナのえさを運ぶタイプ、もう1つはろくにえさをとってこないけれど、歌がうまくて多数の異性と交尾しようとするタイプです。なぜかオス・メスを問わず違うタイプ間でしかうまくいかないため、結果として常に一夫多妻または一妻多夫になるそうです。

これを聞いて、「こういうもめ事が絶えなそうな鳥には、絶対生まれたくない」と眉をひそめる同僚もいました。「ハーレムずるい不公平⇨もめる」と考える人間は多いみたいですが、私はなぜか逆もまた真だと感じました。もし、歌の上手な鳥が、「心を入れ替えて1羽だけに愛を誓う」などと言い出したら、私はどんな立場であれ、殺意を込めて言うと思います。

「歌うしかないお前は相手を選べる立場にない。全員愛したまま歌い続けて、全員愛したまま死ね」

鳥さんの生き様を心に刻みましょう。次は私も女性として抱き合ってほしいです!夏になったら!ぜひご検討ください♪

おおまかな予定

5月10日(金)京都府京都市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com

SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z

バッチ来い人類!うおおおおお〜!