愛されるために、何かをしないでくれ。
頑張り過ぎて疲れている女の子に、立て続けに会った。表面的には明るく元気で華やかな世界を生きているように見える人も、内面には「誰にも話せない苦しみ」を抱えている。ストレスを感じた時、一緒に楽しむ友達はいる。美味しい料理も、お洒落なお店も、たくさん知っている。だけど、本当に話したいことを話せる友達はいない。楽しいはずの場面でも、無理をしている自分を感じる。常に気を張って生きていて、期待されているキャラクターを演じている。やがて、小さなことにもイライラするようになり、人に対して優しくなれなくなる。余裕を持ちたいと頭では思うのに、情緒が揺れて、感情が揺れる。顔も綺麗で、服も綺麗で、ちゃんとしているように見せることはできるのだけれど、一人になると虚しくなる。みんなからは毎日楽しそうでいいねと言われるけれど、人知れず、家に引きこもっている時期もある。
頑張り過ぎて疲れている女の子たちは、共通して「私なんか」と口にした。私なんかといてもつまらないだろうなとか、仕事ができない自分なんかいないほうがいいのだとか、そう思うことがあると言った。だから、彼女たちは頑張るのだろうなと思った。会話を盛り上げようと頑張り、誰かに喜んでもらうために頑張り、役に立たない人間だと思われることを恐れて、頑張る。できるだけ笑顔で、できるだけ人当たり良く、できるだけいい子でいる努力をする。明るく元気に生きているように見える人にも、華やかな世界で活躍をしている人にも、孤独はある。苦悩はある。引きこもる時期もあれば、消えてしまいたいと思う夜もある。明るいだけ、元気なだけ、華やかなだけ、彼女たちの影は人に見えない。あなたは綺麗だからいいよねとか、あなたは才能があるからいいよねとか、逆差別のような扱いを受けて、孤独になる。
楽しいと言われていることをすれば、一時的なストレス発散になる。酒を飲むことも友達と話すことも、お洒落な店に行くことも自分を着飾ることも、純粋な喜びとしてやれている間は、最高の時間になる。だが、ストレスは、必ずしも発散されることだけを望んでいない。ストレスの奥には、自分の本当の望みが眠っている。喜怒哀楽の喜びと楽しさだけを選び、怒りや哀しみをなかったことにする生き方は、必ず、反動が来る。ネガティブな感情を抱く瞬間は辛いが、あらゆる感情の奥には、光や、温かさや、詩のようなものが眠っている。寂しさを覚える時、寂しさを振り払うために酒を飲むのもいいが、なぜ、寂しさを感じるのか「言葉にする」ことができた時、寂しさは消える。言葉が与えれた感情は、輪郭を持ち、熱を抱き、体と心を温める。自分のストレスが、結晶化する。作品になり、物語になる。頑張り過ぎて疲れている女の子たちは、本当は、泣きたいのではないだろうか。楽しい時間を求める以上に、情けないものだとしても、かっこ悪いものだとしても、ありのままの自分を出せる時間を、空間を、求めているのではないだろうか。
頑張り過ぎて疲れている女の子へ。愛されるために、何かをしないでくれ。愛されたいと思う時、愛から離れる。愛から遠くなる。愛は、自分自身だ。私には、確信していることがある。勉強ができるから偉いとか、有名人だから偉いとか、お金があるから偉いとか、ない。それは人間の功績であって、人間の価値とは関係ない。価値と功績は別物だ。人間の功績は行動に宿る。人間の価値は存在に宿る。何が起きても、人間の価値は揺るがない。私たちの価値は、誰も奪えない。誰も壊せない。愛は、自分自身だ。自分自身である喜びが、愛だ。偉大なものになること、強いものになること、賢いものになることは、真の望みではない。真の望みは、ありのままの自分で愛されることではないだろうか。ありのままの自分で愛することではないだろうか。愛は、自分自身だ。自分自身である喜びが、愛だ。だから、愛されるために何かをしないでくれ。愛されるために、自分以外の誰かになろうとしないでくれ。永遠にそのままで行け。永遠に、永遠に、永遠に、そのままで行け。
人間は商品じゃない。作品だ。だから、簡単に自分を安売りしないでくれ。傷つかないための予防線で、自分自身をがんじがらめにしないでくれ。私なんかと思うのではなく「私の存在自体が愛なのだ」と、騙されたと思って信じてくれ。ハッタリも、かまし続けていればサマになる。下手なホラ吹き、数打ちゃ現実化する。傷つかないための予防線は、周囲の悪意や批判から自分を守ってくれることもある。だが、自分の中にある深い思いは、決して相手には届かないのだと言うあきらめを生み出してしまう。自分を守るほど、自分を傷つけている。関係ないが、クロアチアの時差でまったく眠れない。諸事情が爆発して、今世百八回目の無一文になった。光熱費4388円を払わないと家が真っ暗闇になる。バイクはあるので、誰か私にお仕事をください。体は疲れたと言う。心は怖いと言う。だが、もっと奥の部分では「わくわくする」と胸を震わせる、孫悟空みたいな男の子がいる。釈迦もキリストも孫悟空も無職だとか言いながら、また、飛び出してしまう。金もないのに。服もないのに。今夜、寝る場所もないのに。ありのままで愛されるためには、ありのままで生きるしかない。ありのままの自分を、愛するしかないのだ。
バッチ来い人類!うおおおおお〜!