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「JAMPの視線」No.211(2024年1月14日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2024年1月14日

 少し前になりますが、経済・資産運用評論家として活躍されていた山崎元さんがお正月にお亡くなりになりました。資産運用サービス等について個人投資家の皆さまにご説明をされる際の歯に衣着せぬ語り口調は人気があり、資産運用サービスの普及に大きく貢献されたことは疑いようはありません。同じ金融・資産運用業界で生きる人間として業界の大きな損失であるという気持ちを感じていることに加え、私は個人的にご厚誼を賜っていたこともあり、個人的にもとても残念に悲しく感じています。
 最初に山崎さんのご指導に接したのは、ご著作を通じてのことでした。2003年に新卒で入社した研究所から資産運用ビジネスの現場への転職を考え始め、自分のキャリアに思い悩んでいたころ、山崎さんの「僕はこうやって11回転職に成功した」という本を繰り返し読んだことを今でも覚えています。山崎さんご自身も新卒入社の三菱商事を退職し、資産運用会社に転職し、資産運用業界でキャリアを積まれた方ですが、その過程でどのようなことを悩み、考えたのか、赤裸々に描かれており、そのご経験の振り返りの記述を通じ、資産運用業界で働くとはどういうことかを追体験することができました。転職前も転職後も本当にどれだけ繰り返し読んだかわかりません。「資産運用というサービスは単に投資運用をするだけではなく、それをどうお客様に説明するかというところまで含めてのサービスである」という私の考えの原点はこの著作で書かれていた山崎さんの信念にあるように思います。
 私自身も資産運用業界でキャリアを積み始めてから、直接に山崎さんのご厚誼を賜るようになったのは私が起業を志し、マネックス・セゾン・バンガード投資顧問を立ち上げる前あたりでした。現在の日本資産運用基盤とは異なり、当時は個人のお客様向けに直接にサービスを提供するモデルを考えていたこともあり、既に個人投資家向けの情報発信で大きな存在感を示していた山崎さんにご相談に押しかけたのがきっかけです。SNSで突然ご連絡を差し上げたにも関わらず、丁寧に私の事業アイデアをお聞き頂き、的確な助言を多く頂きました。そして最後に「私にお手伝いできることが何かありますか?」とお言葉をおかけくださいました。
 私がその後に個人のお客様向けにゴールベースアプローチ型の投資一任サービスの開発・提供に注力するような形で取組みの方向性が具体化していくと、ファンドラップやゴールベースアプローチという考え方(というよりもマーケティング手法/山崎さんも決してゴールベースアプローチの考え方自体には否定的ではなく、それを表層的な謳い文句にする金融機関のマーケティング手法に否定的であったように思います)に否定的だった山崎さんとは意見が衝突することが多くなってきました。ただ、たまにお酒をご一緒すると、ゴールベースアプローチ型投資一任サービスにシニカルな意見を私にぶつけつつも、初めてお会いした時と同様に「私にお手伝いできることは何かありますか?」とお言葉をかけて下さるのもまた山崎さんでした。
 山崎さんの資産運用サービスに対する考え方や真摯なご姿勢等には本当に多くのことを学ばせて頂きました。山崎さんの後進のひとりとして私も資産運用業界の発展に貢献できるように努めてまいります。ご冥福を心からお祈り申し上げます。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2024年1月8日
【2024年、キャリアのシェア争いは「経済圏」に--d、Ponta、楽天、旧Tポイント等の違いを表で確認】
大原のコメント→
 証券・資産運用ビジネスの観点から「経済圏」論争を捉えると、これまで付加価値とされてきた証券・資産運用関連の金融機能がコモディティ化し、それら従来金融機能提供のみではもはや継続的な事業収益の確保が困難になるなか、他のサービス付加価値との「合わせ技」で独自の付加価値提供と事業収益の両立を模索しようとする動きと解釈できると考えます。
 ただ、個人的には証券・資産運用ビジネスの全てがこのように展開していくとは考えていません。経済環境のインフレ化や金利のある世界の再来、新NISA制度の開始に伴う節税のあり方の検討等、従来とは異なるサービス利用環境への移行に伴い、・・・(続きを読む)

2024年1月11日
【ビットコイン投資に弾み、米SECが現物ETF承認-司法判断も転機】
大原のコメント→
 ビットコインETFの実現は足もと想像されている以上のインパクトを現行金融業界に及ぼすことを予想しています。
 ビットコインをはじめとする暗号資産は金融機能でいうところの「資金移転(決済・送金)」や「資産運用」の手段として用いられていますが、とはいえこれまでは暗号資産を購買の決済手段としたり、投資手段としたりするユースケースも一部で見られたものの、生活者の金融機能利用シーンで大きな広がりがあったとまでは言えないと思います。換言すると、従来型金融領域と暗号資産領域はこれまではまだ十分に融合していませんでした。
 このような状況に対し、ビットコインETFの実現は、ETFや投信等の従来型金融領域での投資・資産運用手段とビットコインという暗号資産が投信という「ハコ」がゲートウェイになる形で直結することになり、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2024年1月11日
【金融庁が「外貨建て保険」の販売に疑惑の目、販売停止相次ぐ銀行窓販の地殻変動】
長澤のコメント→
 仕組み債の場合は、一般生活者の投資対象としては商品性そのものに問題があると思っていますが、外貨建て保険は、売り方に問題があると思っています。
 例えば、外貨建ての販売比率が極端に高いのであれば、その要因を探り、業績評価体系に問題があれば是正し、真にニーズがある顧客に対して販売すればいいのであって、販売を自粛、抑制してコントロールするというのは販売会社目線から抜け切れていないように思われます。
 当初、ターゲット型は目標額に達したら円建て保険として安定運用するという商品性をアピールしていたかと思いますが、目標設定額を低く設定し、到達したら解約するのであれば運用目的であり、そうであれば、・・・(続きを読む)

2024年1月11日
【「顧客本位」阻むジレンマ(上) もぐら叩きに〝終止符〟】
長澤のコメント→
 こうした記事を読むと、「顧客本位の業務運営に関する原則」が公表された直後の2017年4月に日本証券アナリスト協会で行われた森金融庁長官の講演(下記)を思い出します。ジレンマが生じるようなビジネスモデルであれば、ビジネスモデルそのものの見直しが必要ではないかと思われます。それが難しいようであれば、昨年の金融庁レポートにあったように、「リテールビジネスから撤退し、他の分野に経営資源を集約することも選択肢の一つ」なのかもしれません。
 (一部抜粋)「こうした話をすると、お客様が正しいことを知れば、現在作っている商品が売れなくなり、ビジネスモデルが成り立たなくなると心配される金融機関の方がおられるかもしれません。しかし、皆さん、考えてみてください。正しい金融知識を持った顧客には売りづらい商品を作って一般顧客に売るビジネス、手数料獲得が優先され顧客の利益が軽視される結果、・・・(続きを読む)

2024年1月12日
【「顧客本位」阻むジレンマ(下) 改正法施行が転機に】
長澤のコメント→
 金融機関も営利企業であり、また記事にあるように、上場企業であれば市場からの収益要請もあるので、預り資産ビジネスで収益を上げなくてはいけないのは自明の理ですが、昨日も書きましたが金融庁が問題視しているのはその儲け方です。足下の金利上昇により貸出業務が好転し余裕が出てきた時にこそ、目先の収益を我慢してでも顧客とのWin-Winの関係を築き、顧客からの信頼という財産を次の世代に繋げていく必要があるのではないかと思います。
 顧客の最善の利益の義務化については、金融庁では、今後関連する政令・内閣府令の整備を行うとし、また、顧客の最善の利益が確保されるようモニタリングのあり方について検討を行うとしており、何をすべきか、何が法令違反となるのか、今後の動向に注目していく必要があろうかと思いますが、・・・(続きを読む)

メディア掲載情報

■メディア掲載:ニッキンOnlineでの連載コラムの掲載
「ニッキンONLINE」で転換期の有価証券運用をテーマにした連載の最終回が公開されました。

「転換期の有価証券運用 最終回 外部専門家の活用法」

インフォメーション

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