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「JAMPの視線」No.218(2024年3月3日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2024年3月3日

 昨日は次男の4歳の誕生日でした。我が家は2月中旬から3月上旬にかけて長男と次男、妻の誕生日が集中していますので、最近はほぼ毎週末に誕生日のお祝いをしているように感じます。つい最近に生まれたばかりのように思いますが、子供が年を重ねるのは本当に早いと感じます。その分だけ自分自身も年を取っているということですので、身体のあちこちにガタが少しずつ出てきているように感じるのもあながち気のせいではないのかもしれません。健康には気をつけなきゃなとお祝いをしながらしみじみ感じていました。
 さて、新NISAのスタートや足もとの株式市場の上昇、インフレ進行等もあり、日本の家計金融資産の偏りである「岩盤預金」が少しずつ動き出すことへの期待感が高まっているように感じます。ただ、この「岩盤預金」とは何ぞやを考えたとき、果たしていま日本の金融機関の多くはその「岩盤預金」にしっかりとアプローチすることができているのだろうかということが気になっています。
 例えば、新NISAがスタートしてからオンライン証券会社等で投資信託の毎月積み立ての買い付け注文が巨額になっていることがニュースとして注目されていますが、果たしてこれは「岩盤預金」が崩れ始めていることを意味するのでしょうか。もちろんシニア層の「岩盤預金」から毎月積み立てを行っている動きも含まれているとは思いますが、私はこの巨額の買い付け注文の大部分は20代から50代の現役世代の毎月の給与キャッシュフローからの買い付けであり、必ずしも「岩盤預金」が崩れ始めているということではないのではないかと考えています。
 金融機関側の営業アプローチの動きを見ていても、オンライン証券会社は上記のような現役世代の給与キャッシュフローの取り込みを主戦場としているように見受けられる一方、野村證券等の大手対面証券会社はシニアの富裕層への営業アプローチにより明確に集中しているように思われます。ただ、シニアの富裕層の金融資産の大部分は現預金というよりも自社株を含む有価証券等であり、オンライン証券も大手対面証券会社もその営業アプローチの先に「岩盤預金」があるようには思えません。
 「岩盤預金」の保有者の多くは家計金融資産額でいうと数千万円から数億円前半程度のシニアのアフルエント層からアッパーアフルエント層であり、実はこのような家計に対して金融機関は適切なアプローチができておらず、結果として「岩盤預金」はまだ「岩盤預金」として放置されてしまっているのではないかというのが私の問題意識です。
 これからさらにインフレが進行する可能性が高いと予想される環境において、生活者の「岩盤預金」に対して適切なアドバイスやサービスを提供せず、放置をしたままにしておくと、時間とともにその資産価値が目減りをすることが避けられません。約600兆円の「岩盤預金」を自行庫の預金口座にお預かりしている地域銀行や信用金庫に求められるミッションの観点でも、その事業優位性を活かすべきというビジネスの観点でも、地域銀行や信用金庫こそが適切なアドバイスやサービスを提供し、この「岩盤預金」へのアプローチを主導すべきではないでしょうか。オンライン証券会社のように現役世代に非対面チャネルでアプローチをすることや、大手対面証券会社や信託銀行等のようにシニア富裕層にアプローチをすることに地域銀行や信用金庫の優位性があるとは思えません。
 各金融機関で新年度以降の預かり資産事業の戦略の検討が行われている時期かと思いますが、新NISA口座の獲得が最優先事項だった今年度とは異なり、新年度は自らがどこのカテゴリーをターゲットとし、どのようなチャネルやサービスでアプローチをすべきなのか等、改めて検討をすべきだと考えます。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

【投信協と顧問業協、金融庁主導で合併検討 - 日本経済新聞】
大原のコメント→
 資産運用立国の実現に向けて資産運用業界に係る各ステークホルダーが従来の慣行にとらわれない取組みを進めるのであれば、資産運用会社等の民間企業のみならず、資産運用業界を規制する側の当局や業界団体の側も変革する必要があるのではないかという考えを持っています。
 投資顧問業協会と投資信託協会は、確かに同じ資産運用業といってもスキームが投資助言・投資一任か投資信託かが異なっており、実務的な諸規則等も分かれているのも事実ではあるものの、投資助言・代理業や投資運用業といった金商業登録をしている会社としては重複しているところが大きいですし、資産運用業界とひとくくりにし、業界の発展を支援したり、そのための諸企画を推進したり、諸外国の同様の団体と交流したりといった場合、分断されたままでは効率的でないように感じます。昨年2023年には2回にわたって両協会が共催する形で「資産運用業大会」が開催されたりと、両協会の距離感も縮まってきているように感じられ、今回の統合検討を最後のチャンスとし、実現することを強く祈念します。
 また、同様の文脈で資産運用業界の規制当局である金融庁の組織のあり方についてもこの機会に見直しが必要ではないかという問題意識も持っています。金融庁の組織のあり方については、金融機関を監督する監督局には銀行第一課・第二課、保険課、証券課という銀証保の3業態を監督する課は設置されているものの、資産運用業界を監督する部署は、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

【金融庁、外貨保険是正促す 多い短期解約 高い手数料】
長澤のコメント→
 以前、大手信託銀行が「目標到達型」外貨建て保険の販売を停止するという記事がありました。この保険は、例えば円安が進み、解約手数料控除後の解約返戻金が当初設定した目標額に達すると円建て保険に変わり、為替リスクのない安定運用になるのですが、円建てでは利回りが低いため一旦利益確定させる人が多く、金融庁ではこれを短期解約が多いとして問題視したのではないかと思われます。
 記事では、「保障や長期の資産運用を強調する商品性との乖離を問題視」とありますが、本来長期契約を意図した保険契約が短・中期的な運用商品のように扱われ、再度契約すると回転売買のようになりかねず、金融庁は以前のレポートでも「目標到達後に解約して再加入する場合、・・・(続きを読む)

お知らせ・ニュースリリース

■弊社執行体制の変更について
 弊社は、執行体制の強化を目的として、執行役員の異動について、以下の通り決議しましたので、お知らせいたします。

■代表の大原がUCDA主催のセミナーに登壇します
 代表の大原が一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)主催のセミナー『資産運用立国における「わかりやすい情報提供」とは』に登壇します。

インフォメーション

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