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Cohanaというブランドの成り立ち-第2回

全国の地域産業の素材や技術をかけあわせる

第1回で、Cohanaは日本の地域産業とコラボレーションするブランドだと書きました。1つの地域から生まれる商品もありますが、多くの場合は、2つ以上の地域産業の素材や技術が組み合わさって成立しています。

例えば、「庄三郎 伊賀のくみひもの糸切ばさみ」という商品は、はさみは、江戸時代から続く刀の製造技術をもつ東京の庄三郎という会社で作り、持ち手部分は三重県伊賀市の松島組紐店で組ひもを巻いて、当社でギフトボックスに入れて製品化しています。

伝統工芸などの産業は、同じ地域でまとまってしまう傾向があります。様々な地域産業の素材や技術をかけあわせることが、プロデューサーである当社の役割であり、Cohanaの大きな特徴だと考えています。

Cohanaの競争優位性

様々な地域産業の素材・技術をかけあわせることで新たな価値が生まれ、顧客に評価されています。結果的に、生産面において他企業との競争優位を築くことに繋がったと感じています。

一つの会社や職人に仕事を依頼して生産をしてもらうなら、難しくないのですが、2つや3つ以上に依頼するとなると、工程が複数の生産者にまたがるため、半製品の移動が頻繁に発生したり、生産者の状況次第で、発注タイミングや在庫コントロールが変化して生産が複雑化します。この生産の複雑性を解決するソルーションこそがノウハウであり、他社が真似できないCohanaの競争優位となっています。

他社との違いをつくるということ

私は、一橋大学大学院の楠木建先生の著作「ストーリーとしての競争戦略」が好きで、7年くらい前に初めて読んでから、今でも何度か読み返しています。そこで述べられている「戦略」という言葉についての説明が一番私に響きました。

戦略とは他社との違いを作ることである。違いには「程度の違い」と「種類の違い」の2種類あり、他社との「種類の違い」を作ることこそが戦略である。

「程度の違い」は、「長さ」や「高さ」など、その違いを示す尺度がある違いで、「種類の違い」は、「性別」、「趣味」などのようにそれを示す物差しがない違いのことをいいます。価格の高い低いは「程度の違い」で、「種類の違い」ではないため、戦略にはなりません。他社よりBetterなことをするのではなく、他社とDifferentなことをしなければいけないということです。

Cohanaにおいては、地域産業の素材と技術をかけあわせることで、これまで存在しなかった形や素材の道具が生まれました。それが他社(他ブランド)との「種類の違い」ということでしょうか。楠木先生に聞いてみたいところです。

最後に、前回のポジショニングの話と今回の戦略の話をまとめてみました。

私たちが提供する商品は他社商品と徹底的な差別化がされていなければいけない。差別化とは、価格や品質の高低(程度の違い)ではなく、種類の違いをつくることである。種類の違いをつくることがポジショニングであり、顧客がその違いを明確にイメージできることが大切である。これが会社の戦略というものである。

今日はここまでです。次回が最終回です。


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