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はだのいろ

「君みたいな、”白い”肌になりたい」

「みて。僕の肌の色は、この木の色みたいに、黒くて汚い」

ジンバブエの首都ハラレで、出会った小学生の男の子の言葉。


「見て、国家を謳える。大統領の名前を、ちゃんと言えるよ」

ノートを広げて、学校で習ったことを、ひとつひとつ、わたしに見せた。


ふと、わたしの手をとり、優しくなでて、冒頭の言葉を、わたしに呟いた。

彼は、木の幹を手でこすって、この色と同じなんだと、私に見せた。


アパルトヘイトは、歴史的には終わったかもしれない。

でも、生活のなかに、まだその傷は残っている。


小学生の女の子が持つクリアファイル。白人モデルの、スクラップが挟んであった。


2013年 ジンバブエのはなし


余談だが、その数年後、インターンした先の上司(ジャマイカ人)にこの話をしたことがあった。教育の意味とは何なのか...みたいな話を交えてしていたら、

「僕も黒人なんだけど」

と言われ、はっとふいを疲れ、思わず「ごめん」と言い、肌の色を意識して話したことなかった、と言ったら、彼は面白がったのか、それとも苦笑いだったのかと分からないけど、なぜかしばらく笑っていた。

いつか、フィールドで彼と再会できたら、もしくは会いに行けたら、ジンバブエの思い出話をしつつ、また話してみたい。

(写真は、2014年 ジンバブエのテンゲネンゲにて)

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