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東京楽『夏の砂の上』に感謝を込めて〜初めての気づきを中心に〜

東京楽のこの日は、私にとっても楽。
世田パブへ向かう電車で深呼吸し、キャロットタワーへ行く道すがらあるポスターを見ては、今日でこのポスターも終わるんだ、と思ったら泣きそうになった。

キャロットタワー通路入口近辺より

今日は全身全霊、私の五感全てでこの舞台を浴びる覚悟できた。

センターブロック、前から2列目。
下手側端の2席が私と相方の席。
座席は前後で被らないように作られているから
私の前は空間になっていて、舞台始まりは本当に真正面に治さんがいた。
なんて贅沢なんだ!!

今回の気づきは、竹輪を食べるシーン。
ここで初めてフーフー冷ましてることに気づいた。
この場面から、私はちゃんと観た事ないながらも、落語を思い出した。
実際にはないうどん。
扇子で箸を表現し、手の形でお椀を表現し、吸い込む様でうどんを食している様子を表す。
治さんも、実際は温かくないであろう竹輪を、いかにも熱そうに、団扇だけではなく、フーフーして冷まして食べる。
表現の世界でもあるお芝居の細やかさに真正面でしっかり観られたことによる気づきだった。

次は教えてもらったところ。
阿佐子が訪ねてきて恵子がほか弁を片付けるシーン。
妹と姪を出迎えて部屋に戻ってきた治さん。
あれ?ほか弁は?という顔をする。

ここまで教えてもらい、その後注意深く観ていたら、なんだよー、片しちゃったのかよー、と、恨めしそうにほか弁をチラッと見ていた。
すごくその様が自然で。
役を生きる素晴らしさを目の当たりにした。

そして陣野の妻に責められるシーン。
ここで、治さんの膝あたりにあった手がどんどん太腿へと移動する。
責められていることに萎縮するように。
そして、妻に詰め寄られた時、治さんは手を口にし(この口にする手が可愛い)、上半身を斜めにする。そして足は踵を軸に左右違う角度を保ったまま。
寸部の狂いなく毎回同じポーズを取る。
全くぶれないその姿に圭くんとしての体幹の良さを感じつつ、いかに治さんが陣野の妻に責め込まれ、その剣幕に驚いているかを表している。
これもまた目の前で観られたことが嬉しかった。

そして実際家でやってみた。私もプランクは得意だ。飽きさえしなければかなりの時間できるだろう。でも、飽きるからね、これ。

実際やってみて意外と簡単ではあったが、一切ブレないところまではできなかった。
治さんを生きるにあたって、鍛えることを控えていても、元々の体幹の良さ(あな番でそれは証明されているが)のあらわれだな、と思った。

勘違いしていたことにも気づいた。
持田のお葬式に行くシーン。
前回のnoteで私は一度出て行った治さんが早歩きで歩いてきて恵子の鏡台を割ると書いた。
しかしここは、心にたまったマグマを抑えるかの如く、床を踏み締めゆっくりと治さんは引き返してきた。足早ではなかった。

そして恵子のいる部屋に入り、結婚当初持ち込んできた鏡台に怒りを露にした治さんは、前回も書いた通り、その2人のこれまでの歴史を壊すかのように割る。治さんの嫉妬というマグマが噴出した。
恵子に対する、恵子と陣野に対する嫉妬。

もう一つ。
私は前回最後の挨拶をしに来た恵子に対してシャットアウトするかのように背を向けて恵子の方を見ないと書いたが、今日真正面から観たら、恵子を所々見たり、目線だけを向けたりしていた。
このシーン、夫婦として最後の会話。
ポストトークで聞いたが、本当「元気で」ではなく博多あんぱんを勧めるところがいい。
その勧める時の治さんの表情もよかった。
「元気で」と言わないことで、治さんが夫婦の終わりを明確にするのではなく、昔の仲睦まじかった夫婦の時と変わらずに終わりを迎えるように平穏にその時を迎えたように感じたから。

気づきではないが、雨水を飲むシーン。
今日は盛大に雨水をこぼしていた。
元々こぼしていた優子もこぼしたとしても少なめな治さんも。
多分私が観た中で一番こぼしていた。

夏の熱い陽射しに照らされたアスファルトに打ち水をした水がすぐ蒸発するかのように、治さんも優子も渇いた心に一気にしみこませる―飲む―だけでは飽き足らず、体もが水を欲しているかのように浴びていた。そして最大の笑みを浮かべる二人の幸せの絶頂でもあった。
その数週間後に別れが来るから。

その別れのシーン。
真正面から観るクライマックス。
優子から麦わら帽子をかぶせられた治さんの表情は見えなかった。
そして最後の陽射しを失くした指で遮るシーン。
真正面から観るより、これまで観てきた上手席で観る方が包帯の白が際立っていた。

ここで今日、不思議に思ったことがあった。
治さんは指を器具と平行にして骨を送っていた。
このままであれば、失くした指は親指であるはずだ。
しかし実際失くした指は人差し指、中指、薬指。
治さんと阿佐子には両親はもういなそうだ。
こじつけのようだが、母を亡くし、旅立つ妹はもう会えないかもしれない。となると、兄と妹という関係も無くし、今ここにいるのは、父である治さんと明雄―の位牌―ということを示しているように思えた。これは前回のnoteにも似たようなことは書いているが、今日改めてこの違いに気づき、今日はこう感じた。
深い。
本当にこの戯曲は行間がある分深い。

カテコは初回4回だったものが通常3回へ。
そして今日は3回ではもちろん鳴りやまず、4回目へ。
え、4回目あるの?的に出てくる演者たち。
そしてまだまだ鳴り止まぬ拍手。
私も腕が痛くなるほど拍手した。
圭くんも、まだあるの?というように笑いながら出てきて、いつもの深いお辞儀。ありがとうございます、という口元(これは何回目だったかな?)。
そして、もう行こうぜ!って言うように、笑いながら腕を回して演者たちを促していた。
とても楽しいカテコ。
途中杏奈ちゃんだけをセンターに行かせて、右奥で圭くんも拍手する姿も、座長として杏奈ちゃんへの敬意と気遣いを感じてとてもよかった。

私の楽であった今日。
やっぱり千秋楽に観劇できるのは良いともしも命の時同様、改めて思った。演技はもちろん、この特別感あるカテコがいつも素晴らしいから。


最後はやっぱりこれでしょw
タナカーコーナーwww

今日のおパンツシーンは、前に聞いていたクルクルと2回転し、2回目の登場もまたおパンツ。
最後にして観ることができたクルクルに感動!
え?感動?www

あと、まつ毛!!
少し反対側の目のまつ毛が鼻の付け根越しに見えて可愛っ!ってなった!

最後のカテコかな?
センターブロック最前列上手の方に気づいて、あ、って顔した圭くん。
昔からの応援してる方なのかな?
私の方もみてーって言いたくなったwww

今日も脇○は健在!キャッ💕
肉眼でも完璧見えた!w

あとこれ有名だったらしいね。私的にハイライトだったのにwww
タンクトップ越しに形浮き上がるち○び。
いやん💕
ダルダルバージョンとピッタリバージョンがあるタンクトップ。今日はダルダルだった!
あと、前回好きな方とツイした足の裏のホクロかと思ったゴミ!
のり弁の海苔じゃ?という話でまとまったが、今日は突然足の裏、親指の付け根あたりに2つあらわれた!その後は消えてた!やはりゴミ、もしくは海苔だったw

番外編。
棚の中身を初めてみられた!
中には茶筒、虎の置物、こけしなどがちゃんと飾られていた。これは下手からかしか見られない光景だ。

以上で私の『夏の砂の上』の長い旅は終わる。
11月を待ちわびたが、終わってみればあっという間。
寂しいが、5回の観劇でいろんな気づきや治さんの人生を観ることができた。
ひと夏の出来事とは思えないくらい、濃厚な、それでもどこかにあってもおかしくない日常の一コマを書いた戯曲。
行間たっぷりの戯曲。
それを圭くんは目の動き、背中、でしっかり語っていた。特に私は目の動きと背中で語るお芝居が大好きだ。
いや、全てにおいて好きだから、私の好きなお芝居の仕方の一つと言った方が正しい。
ここに焦点をあててくださった栗山氏には感謝しかない。

今後地方公演が待っている。
東京からのバトンは地方公演へと渡る。
どうか無事にゴールできますように、と願うばかりだ。

ありがとう、田中圭。
ありがとう、栗山民也。
ありがとう、世田パブ。
全てのこの舞台に関わる皆様に感謝を。

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