事業計画書のスマートな作り方、7つのポイント

こんにちは、正田圭(@keimasada222)です。

年始に事業計画を作ろうとしている人、意外と多いような気がします。作り直そうとしてる人も多いことでしょう。
そういう自分も、年始に事業計画を作っている一人です。年始に事業計画を作っているみなさんに、いくつか事業計画を作る上でのコツみたいなものをTIGALAの例を交えながらお伝えできればと思います。
※今後資金調達を行う上での事業計画書の書き方になります。**

ポイント1.誰に向けて何の目的で作るかを決める

資金調達のための事業計画書になると思うので、投資家には決まってると思うのですが、投資家にも色んな種類があります。大きくは、エンジェルなのか、VCなのか、事業会社なのかの3パターンに分かれると思いますが、誰をターゲットとしているかによってアピールポイントも変わってきます

調達も株を売るという行為なのでペルソナ設計をしっかりとしましょう
誰かしらの不特定多数に向けてぼんやり書くと誰にも伝わらないものです。元コルク柿内さんに習ったことではありますが、誰か一人の胸ぐらを掴んで、そこにぶち当てるくらいの勢いで書かないと本の内容はなかなか伝わらないものだとのことです。本の執筆と同じく、事業計画書も同じだと思います。

これは資金調達の極意とも言えるかもしれませんが、調達はたった一人を口説き落とせればよいのです
一人のキーマン(リードになってくれる人やVC)が決まれば、フォロワーは勝手に付いてきます。なので、多くの人に計画が賛同される必要は全くありません

一人の著名エンジェルを口説ければ、残りは「この人が入れてるのなら俺も俺も、」と続いてきます。VCも同じです。リードさえ決まれば、あとは調達したい金額までザラザラっと声かければ流れてきます(そこまでザラザラっとではないかもしれませんが)

すごい元も子もない話をすれば、資金調達が超上手い会社は、事業計画が光ってるのではありません。株主名簿が光っているのです。
なので、光ってる株主の合意が得られればよいのです。

(どこから調達すべきかという質問は非常によく聞かれるのですが、これはまた別記事で書きます)

あと、今回は断られたけれど、次のラウンドで入ってくれる投資家も多いと思いますので、断られても態度悪くせず、引き続き情報提供は続けるようにしましょう。

「自分の事業を理解できないようなアホには金輪際関わってたまるものか」という気持ちはわかるのですが、次ラウンドで手のひらを返したようにすり寄ってくる投資家は多いものです。
そのぶんその投資家はハイバリュエーションで入れるわけなので、暖かい目で受け入れましょう。**


ポイント2.代表者プロフィールやチームの説明は盛れるだけ盛れ

当たり前ですが、嘘はダメです。絶対ダメ。
後からバレます。でも、代表者プロフィールの説明はどう見せるかはとにかく考え抜いてください。

「初めて起業するのにそんなたいそうな実績もなんもないよ」という人にオススメなのは、誰の発言に影響を受けたとか、どのミートアップイベントに参加して起業しようと思ったとか、そういう事を書くとよいかもしれません。

資料に、その人のツイッターのキャプチャとか、そのイベントのロゴとか載せとくだけでも多少見栄えが良くなります。

よく、学生時代の部活動の実績とか書いてくる人いますが、あまりビジネスに関係ないことを書かれても僕はあまり刺さりません(僕だけかもしれませんが)。
※サッカー選手になろうとしてたとか、最近多過ぎな気がします。

これまでの経緯や試みなど色々書きたくなるきもしれませんが、そこらへんは後半に「参考資料」という部分を作ってそこに回してしまったほうがすっきりします。


ポイント3.どの「領域」で戦うかを決める

事業とかビジネスモデルをどんどん書きたくなる気持ちはわかるのですが、まず「領域」をきちんと定めてください。

なぜなら、いきなりビジネスモデルや収益モデルの説明に入ってしまうと、投資家達の感性と異なった場合、ここで試合終了になってしまうからです。事業計画書を、よく、一方的なプレゼンの場と勘違いしてる人いますが、そうではありません。

なんかしらアポを投資家と取り付けて、ヨーイドンでプレゼンして、一方的に喋りまくった後に、投資家に「yesですか?noですか?」と聞いても、99パーセントnoです

事業計画書は、プレゼン資料ではなく、ディスカッションシートなのです。出来上がったもののyes or noを突きつけるよりも、一緒に相談しながら作っていったり、作る上でのディスカッションをしたりしたほうが投資家もyesと言いやすいです。投資家を自分の事業に巻き込むためのディスカッションシートが事業計画書なのです。

事業計画書を題材に投資家達と議論しながら、より良いものに事業計画書を練り上げていくくらいの心の余裕が資金調達には必要です。

そのためには「領域」をまずきちんと示してください。ビジネスモデルだけだとそこで話が終わってしまいますし、領域すら決まらずに話をしても投資家も何も話を進められません。

逆に、領域部分で投資家と意気投合できれば、ビジネスモデルは何度でもブラッシュアップできますし、ピボットだって柔軟にできます

ちなみに、TIGALAの領域は投資銀行×テクノロジーです。 一歩踏み込んで、この領域のこんな課題を解決するとか、この領域に対してこんな付加価値を提供するとか、そこまで書ければなお良しです。

例、SNSの動画領域において、気軽に投稿できる付加価値を提供する→スナップチャットやスノウ

例、投資銀行×テクノロジー領域で、利益相反性が高く、配荷率が低い投資銀行業界の課題を解決する→TIGALA


ポイント4.資料の基本的なアウトラインをおさえる

基本的な事業計画の目次の流れは

会社概要(簡単な沿革)
代表者プロフィール
チームメンバー
領域(これがいわゆるサマリー)
ビジネスモデルないし収益モデル
市場分析
競合分析
成長戦略(短期戦略、中長期戦略)
オペレーション(必要に応じて)
人事
財務(資本政策)
資金使途
アペンタイザー(これまでの取り組みとか、今走ってるプロジェクトとか)

になります。別紙として売り上げ、利益部分、資本政策はエクセルで作るのが一般的です。

パワポとかで作るとだいたいのページ数でいえば40〜60ページくらいが一般的な気がします。
最近の傾向としては、パワポで作るページ数は昔よりも多くなってきてます。

自分が起業した時(16年前)とかは、15ページくらいで完結にまとめるのが良しとされていましたが、今は長めが流行りです。

理由としては、紙で説明するのではなく、プロジェクターなどを使ってスライドでサクサクと進めていくため、1ページあたりの説明時間が短くなってきたことがあげられます。
スライドでサクサク説明する場合1ページあたりの理想の説明時間は6秒と言われており、50ページのスライドだったら5分で説明し終わる感じになります。

ページ数はあまり本質的な話ではありませんが、説明に10分かかったらかけ過ぎな感じがします。

繰り返しになりますが、事業計画書のプレゼンが主なのではなく、その後のディスカッションがメインなので、サクサク5分程度で終わらせましょう。


ポイント5. 資本政策はきちんとエクセルで作る

事業計画を作る際には、資本政策をきちんとエクセルで作っておきましょう。
事業計画は今後色々作り直す機会があると思いますが、資本政策のシートは、意外と頻繁に人に見せる機会があります

創業からの細かい資本政策(例えばTIGALAだったら、増資したとか、嫁に株を譲渡したとか、子供に贈与したとか、SO発行したとか)は、数年会社経営するとマジで思い出せなくなってくるので、ちゃんとまとめて、議事録などもちゃんとあるかどうか確認しときましょう
議事録の紛失、意外とあるあるです。
(登記に使ってそのままになっちゃってる場合が多いです。登記用と保存用、同じものを2つ作っておくのがオススメ)

SOの考え方とか、株の比率、バリュエーションの考え方など色々あるのですが、長くなりそうなので、これはこれでまた今度まとめます。

資本政策のフォーマットとかは探せばWEBに落っこちてると思います。(生株と潜在株を分けて書くフォーマットです)

これだけ決めとけば比較的作りやすい要点だけまとめておきます。

・SOを最終的に何パーセント出すか
(10パーセントを超えないのが一般的。日本企業の平均は7.5パーセント程度。M&Aでエグジットする前提なら生株を渡すのではなく退職金で調整するのがオススメ)
TIGALAでは、全役員、従業員に配布。監査役は最初の1回のみ。総発行予定は5パーセントくらい。

・従業員持株会を作るか否か
最近は作らない人の方が多い。
TIGALAは人が少ない会社なので作りません。

・資産管理会社を作るか否か
作っても上手くワークしないことの方が多いため作らない方がオススメ。それよりも、子供に生株を今のうちに100万円ぶんとか贈与しといた方が良いかもしれません。
TIGALA(というか正田家)は元々資産管理会社とか作って複雑にしてましたが、最近単体に戻しました。(あくまでも僕個人の相続や家庭に関する考え方が資産管理会社をやめただけなので、一概に資産管理会社が悪いという話ではありません。)

・IPO時点の吸収、売り出しのバランス
類似企業事例をきちんと調べた人は意外と少ないはず。おそらくみんなが思ってるよりも両方とも少ないはずです。一度きちんとこれを機に調べてみてください。
TIGALAでは、IPO時の想定は、5パーセントちょいくらい公募して、売り出しは0の予定です。マザーズで売り出すメリットが最近あまり無いので。。**

とかまあ、このくらい決めておけば、割とスムーズに作れるかと思います。
ビジネスモデルや収益構造は図は必ず使ってください。あなたが思うほどあなたのビジネスモデルに対してみな理解はありません。それと、市場環境は必ず数字を引っ張ってきましょう。

今説明してる事業計画書は、かなりIPOを意識した作りになってますが、実はIPOを意識した計画にしておくと、M&Aでエグジットを狙うにしてもかなり融通がききます

そのため、実際にIPOを狙うかどうかはともかくとして、IPOまでのスケジュールを一度立てておくことをオススメします。(バリュエーションの交渉が楽です)
※当たり前の話ですが、目指しても無いのに、投資家にIPOを目指してると言ってはいけません。とはいえ、IPOを死んでもしない人はあまりいないと思うので、「IPOマストなわけではないのですが、一応IPOを意識するとこのような計画になります」くらいの表現は許されるのではないでしょうか?

IPO意識すると、会計とか内部統制とかの知識も手に入るので、勉強にもなります。
起業家は、暇なときにでも規程とか業務フローチャートとか、一通り自分で作ってみるとよいかも(自分はまる2か月かかりました)しれません。
これもまた詳細は別記事にて。
(僕の仲良い社長に、産能大方式で何も見ずに書ける社長いますが、かなりのレアスキルです)


ポイント6.資金調達金額と資金使途は明確に記す

資金調達希望金額と資金使途は必ず書かなきゃいけません。これがないのは、営業商材不在の営業資料みたいなものです。

よくある間違った相談事として、「いくらくらい調達できそうですか?」と聞かれることがありますが、この質問は間違った質問です。

あるべき質問は、「○億円調達したいのですが、うちはどのくらいのバリュエーションになりそうですか?」です。

調達希望金額が先に存在しないと、話が進みません。必ず調達希望金額及び資金使途を明確にしてください。
結果として思うようなバリュエーションがつかなかったら、資金使途を二段階にわけて調達するとか、そうやって調整してください。

低いバリュエーションで調達して希薄化するのも起業家としては嫌だと思いますが、高いバリュエーションで調達し過ぎると、それはそれで次のラウンドの足枷になります
エンジェルや事業会社から調達すると、VCよりもだいぶハイバリュエーションで調達できてしまうこともありますが、次の調達がマジでしんどくなります。
(こういうことを防ぐためにも、数年スパンでのIPOスケジュールを立てることをオススメしてます。なぜなら、IPOスケジュールってだいたい3〜5年になると思いますが、その間に何度か調達する前提で計画を立てるからです。)

ハイバリュエーションですでに調達してしまい困っている方も中にはいると思います。
こういう時が組織再編の出番なのですが、組織再編に詳しい人は多くありません。(自分は起業家の中で最も組織再編が詳しいと思います)

これも長くなるので、ハイバリュエーションが足枷になってしまった会社の組織再編事例をまた別記事で書きます。

あと、これは、自分が出資する際の個人的な意見になるのですが、資金使途にオフィス移転費用は入れないでほしいです

資金使途に採用費用が入るのも少し寒いなと思うのですが(「そんなん金かけずにSNSでゴリゴリやれよ、イケてるジラフ見習え」とか、「採用下手くそなダサいTIGALAみたいに、自社の利益からヘッドハンティング会社にでも頼めよ」って思ってしまいます。僕個人の見解なので他の投資家がどう思うかは知りません)、オフィス移転費用は銀行から借りるか自己資金でまかないなさいって思ってしまいます。

オフィスに金かけるのは採用戦略的にもアリとか、コンサル会社は家賃に金かけて信用を取るべきだとか言う理屈も一理あるので、そこを否定はしませんが、投資家の金でやるなよと思ってしまいます。
(世間一般的には調達した資金でオフィス移転するのはよくある話だと思います。あくまで僕の好き嫌いの話です)

ちなみに、TIGALAで資金調達するときの資金使途はシステム開発費用と広告費用です。

ポイント7.本番に使う前に多くの壁打ちをこなす

いよいよ最後になりますが、事業計画を作るコツは、短期間でガーッと作らないことです
なるべくダラダラと、時間をかけて作ってください。

理由は2つです。

まず1つは、今の自分が作ったものは1か月後の自分が見ると浅はかだなと思えてくることが往々にしてあるからです。
寝かしては作り、寝かしてはまた作り、が良い事業計画を作るコツです。
TIGALAも、事業計画作りに着手したのは5月からです。そこから作っては寝かし、作っては寝かしを繰り返して、1月にようやく完成させます。

そして2つ目の理由ですが、事業計画は一度作ったらしばらく使いますが、世の中はそんなあなたの都合は関係なくどんどん変化するからです。

人間、自分に関係ないことは見えにくくなってるものです。一度事業計画作って調達に走ってる最中に、「あ、この業界でこんなことやってたんだ」とか、「この見せ方よいな」と気付くものです。

そんなわけで、事業計画はゆったりと作ってください。今から起業する人も、お金かけずにプロトタイプでも作りながら、資金がカツカツの中でも慌てずに事業計画作ってみてください

そのくらいの器がないとそもそもベンチャー起業の経営なんてできません。
半年調達が遅れても、その半年で1億バリュエーションが上がればそれで良くないですか?
そんなことは全然よくある話だと思います。内容によっては数億変わることだってあると思います

で、ゆったり作っている最中にとにかく壁打ちをたくさんしてください。調達候補先でも、会計士でも、仲の良い起業家でも誰でも構いません。なるべくレベルの高い人達を選んで壁打ちをすれば、自分の視野も広がります。間違っても自分よりスキルの乏しい人とはしないでください。新たな気づきがありません。

多少仲の良い人で、壁打ちさせてくれって言って嫌がる人はあまりいないのではないかと思います。
いきなり初対面の人にツイッターとかで「壁打ちさせてもらってもよいですか?」って声かけたら嫌がられるかもしれませんが。。

少なくとも自分は時間ある時だったら壁打ちされるの別に嫌ではないタイプです。なので、初対面の人でも1月15日(2018年)くらいまでは割と空けてあるので、マックスで5人くらいまでなら壁打ち付き合います。DMやメッセンジャーからでも気軽に連絡ください。無料です。
(事業計画書は古いものでもラフでもなんでも構わないので一応存在する前提にしてください。あと、場所は南青山のTIGALAにて、60分程度でお願いします)

「ペラいち」みたいな感じで事業計画作れるツールあれば便利だと思うのですが、そういうツール知らないので、もしあるのでしたら誰か教えてください。無ければTIGALAで作ります。

全然話変わりますが、何年か前、梅木さんに事業計画の壁打ち有料でお願いしたらボロクソ言われてネットに晒された英語教育アプリの人いたと思いますが、その後その英語アプリってどうなったのですかね?
ふとそんな出来事を思い出しました。

正田圭

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