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行政書士試験の攻略法と感想 -超短期&独学合格のメソッド-


1.はじめに

①注意事項

資格試験の最適な攻略法はご自身の認知特性によって大幅に異なります。
この記事の内容はあくまで私にとって最適化された方法であり、読者の皆様は決して内容を鵜呑みにせず、細部はご自身にとって効率の良いスタイルを確立されることをお勧めします
また、できるだけ再現性の高い事項を書いていますが、真似をすれば良いというものではありません。
どちらかと言えば記載した内容の逆をやると失敗するんだな、という視点で読んでいただくと参考になるかもしれません。
なお、この勉強法は中の中~上の下くらいまでの難易度の資格向けの内容です。司法試験、公認会計士、税理士、司法書士、不動産鑑定士レベルの超高難度の資格については私も受けたことがないので通用するか不明です。


②筆者のプロフィール

HN:きら
年齢:30歳
学歴:早稲田(文)卒
資格試験の戦績:
2014年 簿記2級〇 
2015年 宅建✕ 
2016年 簿記1級✕
2018年 測量士補〇
2019年 危険物乙4〇
2020年 FP2級〇
2021年 宅建〇
2023年 中小企業診断士〇、基本情報技術者〇
2024年 行政書士〇
以上全て独学


③超短期&独学での合格を実現する学習法の要点


今回私は行政書士試験に勉強時間50時間程度、かつ予備校を使わずに合格できました。
勉強時間については正確に計測していませんが、学習期間88日間のうち、勉強した日は1日平均1時間、疲れて無勉の日が毎週2日程度、転職に伴う引継ぎで忙殺され無勉だった期間が2週間程度ありました。
よって、正味稼働は50日程度で1時間×50日=50時間と見積もっています。
Xで30~50時間と書きましたが、30時間は流石に盛ってました。
先に結論から言うと、超短期合格と独学合格の要点はそれぞれ別にあります。

  • 超短期合格の要点

まず超短期合格のポイントは以下の通りです。

  1. 現状とゴールの差を把握する

  2. テキストを周回しない

  3. 投下時間の配賦を計画的に行う

1.については資格試験に臨む方は絶対に守ってほしいポイントです。
なぜならば、1.は自分の勉強のスタート地点がどこなのかを知り、ゴールまでの距離を測るための非常に重要な作業だからです。
ですので、短期で合格したければまず自分のスタート地点を把握するために「全くの無勉状態で過去問を1年分解く」を実施してください。
無勉とはいってもどんな試験でも常識や経験で解ける問題が数問入っています。
よって、①自分が今取れる点数からあと何点くらい上乗せすればいいか、②全く分からない分野あるいはこれまでの経験が活かせる分野、を明らかにできます。
この作業を通じて、まずは自分がゴールに達するための大まかな道筋を立ててください。

次に、2.については、皆様のなかでも資格の勉強を始めようとしたときにまずテキストの通読をしている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
小学校から教科書を通読することが当たり前だと刷り込まれているのでそれが当たり前だと思われる方も多いと思います。しかし、資格試験は学校の定期テストとは目的も評価も全く異なります。
定期テストでは期間内に学習した限られた内容が理解できているかを確認しており、かつ、100点に近いほど評価される仕組みです。
一方、資格試験は相応に広い試験範囲から出題され、かつ、合格最低点に達すれば合格者はみな等しい存在です。

つまり、テキストを隅から隅まで読み記憶することはどうしても高得点で合格したいのでなければ無意味であり効率の悪い勉強法となります。
なお、高得点でマウント取れるのはせいぜい合格発表から1週間くらいです(職業に直結する司法試験除く)。
したがって、資格試験においてテキストは教科書ではなく辞書として使用してください。そして、問題を解き解説を読むことをメインの勉強法としてください。

最後に3.ですが、1.で大まかな道筋が立てられたら、試験までに使える時間を見積って勉強時間を苦手分野から順に割り振ってください。
なぜ苦手分野から割り振るのかと言うと、試験においては得意分野を伸ばすよりも苦手分野を克服する方が得点の伸びが良いからです。
一般的に、どんな試験でも基本的に分野別にABCランクの問題が設定されていて、
Aランク…ほとんどの人が解けるor非常によく出る問題 3割
Bランク…半分くらいの人が解けるor出たり出なかったりする問題 5割 
Cランク…ほとんどの人が解けないorめったに出ない問題 2割 
くらいの配分です。
極端に言うと、得意な分野についてCランクまで大体解けるような状態だとすれば、その分野でいくら勉強しても伸びしろが少ないうえに出る可能性が低い論点を延々と勉強することになります。
反対に、苦手な分野でAランクもままならない状態であれば、平易・頻出な論点を覚えるだけで簡単に点数を稼げます。

そんなことは分かっているという方でも、優先順位をつけられていない場合が散見されます

このような問題構成を踏まえて、苦手論点と頻出論点を徹底的にカバーしていくことが点数の底上げになります。
個性や長所を伸ばすことが人生においてはハッピーですが、こと資格試験においては欠点を補うことが最重要だと覚えておいてください。

  • 独学合格の要点

独学合格の要点は、独学のデメリットをいかに解消できるかの1点に尽きますが、幸いなことに現代技術によってそれはほぼ解消できます。
独学のデメリットとしては、①質問がしづらい、②モチベーションの維持が難しい、③効率よく勉強できない、などが良く挙げられます。しかし、これらは予備校のポジショントークだと考えます。
①については情報があふれている現代で講師に聞かなければどうしても分からないことはほぼありません。もしかするとChatGPTの方が懇切丁寧に教えてくれるかもしれません。
②については短期合格の要点にも通じますが、独学でモチベーションが維持できない方は、ゴールまでの道筋が描けていないからモチベーションに繋がっていないと言えます。一方、予備校のカリキュラムに乗っかればゴールまでの道筋をある程度示してくれるので、その点に資金を投下する意義を感じられれば予備校を活用するのもありだと思います。
③についても短期合格の要点と重なりますが、効率の悪い勉強とは、出ない論点や伸びしろが少ない論点に注力することです。
事前に自分の弱点と試験の傾向を把握していれば、予備校に頼らずとも自分が今何を勉強するべきかは自然と見えてきます。
以上から、独学は情報を自ら取りに行く努力と試験の分析を怠らなければ予備校に劣後するということはないと感じています。


2.教材の選定

ここからは行政書士試験の内容にフォーカスしていきます。

①テキスト、問題集、過去問の選び方

正直なところよっぽど酷い書評でなければどんな教材を使っても良いと思います。
一応、私が使用した教材を列挙しておきます。

  • テキスト

スッキリわかる行政書士(TAC出版)
先述した通り、テキストは辞書扱いのため特別な感想はありません。
ただ、表紙にあるように「極限まで内容を絞り込み!」なのと「事例とイラストでスイスイ読めてわかりやすい!」は確かにその通りだと感じました。
法律の条文や判例の素読ではイメージしづらい点が図解されているのは頭に入りやすかったです。

うかる! 行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター(日本経済新聞出版)
応用テキストですが1回も使いませんでした。
スッキリわかるに載っていない論点について調べるのが用途だと思いますが、ネットで調べる方が早かったです。
なお、このシリーズには憲法・商法・一般知識版もありますが、憲法商法は出題数が少なく応用問題まで掘り下げる時間が得点に見合わないため不要だと思います。


  • 問題集

合格革命 行政書士 一問一答出るとこ千問ノック(早稲田経営出版)
勉強の初期に使用していました。
問題を解くのが中心の勉強法とはいえ、過去問の周回から始めるのでは流石に理解が及ばないためです。
2周もすれば十分でしょう。

スッキリとける行政書士 頻出過去問演習(TAC出版)
こちらは一問一答が終わった後に使い始めましたが、掲載している問題がほとんど過去問なためわざわざ本でやる意味がないと思い途中で放棄しました。

合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集(早稲田経営出版)
当初択一での逃げ切りを図っていましたが、無理そうだと分かり方針転換したのが試験の1週間前でしたので、パラパラと記述式の想定問題を眺めた程度です。
正直、本試験でこの書籍レベルの問題が出たら厳しかったのですが、本試験の記述が平易だったため運が良かったです。
短期合格のために本書を活用するとしたら、書くよりも模範解答を暗唱できるようにする方が時短になると思います。
また、記述式を強化するのでしたら重要な判例や条文の素読が有効だと思います。
結局、記述式の要点は設問文に該当する判例や条文を導けるかにあるためです。

  • 過去問

行政書士 過去問 2023(アプリ)

スッキリとけるを放棄した後はこれしか使っていませんでした。
解説も書籍に引けを取らない内容で、本アプリの解説で不十分だと思ったときだけテキストやネットで補完していました。
行政書士試験に関しては多少のアレンジはあってもほとんど過去問の焼き直しですので、過去問の周回で十分対策になります。
ただし、過去問の周回で注意してほしい点は、解答を丸暗記するのではなく、新たな弱点の発見と復習・克服のプロセスと捉えることです。
周回するうえでしっかり理論を把握していくことで、ひっかけやアレンジにも対応する力がつきます。

  • その他

一般知識については、正直本当に「一般知識」レベルなので対策するまでもないです。
ここで点数が取れない(10問未満)ために点数が伸び悩むという方は教養や常識が足りていないので、本を乱読するなり新聞を読むなりしてください。
ただし、令和6年度試験から一般知識に行政書士法が追加されますので、その対策は必須になると思います。


②参考にしたサイト

行政書士試験ではYoutubeと模試は活用しませんでした。
Youtubeについては動画を見ないと理解できないほどの論点がなかったため、模試については行政書士試験はほぼ絶対評価でありライバルのレベル感を把握する必要がなかったためです。
一方、学習計画の指針として以下のブログを参考にしました。

見返すと購入した書籍がこちらで紹介されていたものの丸パクリです(笑)
こちらの方も様々な資格を短期合格されていて非常に参考になりますので是非ご覧ください。


3.一般的な受験生像と比較して私がやらないこと

これは参考になるか分かりませんが、私が資格の勉強をするうえで不要だと思っていることです。
参考になるか分からない理由は、一番初めに書いた認知特性に大きく影響される事項だからです。

  1. ノートを取る

  2. テキストにマーカーを引く

  3. 付せんを貼る

以上については私は律儀にそこまでできず、時間も勿体ないしやっても覚えられないのでやりません。
ただし、これは人によりますし、上記を否定するつもりは全くありません。
ここで言いたいのは、例えば「ノートを一生懸命取れば覚えられるはずだ」という意識だけでノートを取るのは自分にとって本当に適切な知識の整理方法になっているかを再確認してほしいということです。
何度か認知特性というワードを出していますが、知らない方は以下を読んでみてください。
自分の認知特性を知る事で、より効率的な勉強方法を確立することができるようになるでしょう。

これによると私は以下のタイプだそうで、確かにそうだなという感じです。
勉強においては事例を妄想するか図解を見て覚えています。

4.行政書士試験の感想

超短期間での勉強となりましたが、択一逃げ切りを断念した一方で記述式の対策も大してしていなかったため、受験前は正直微妙かなと思っていました。
しかも、当日寝坊した上に道に迷った結果、試験開始10分前に会場に到着し気持ちが落ち着かない状態で解き始めました。
さらに憲法が難しく、考えているうちに15分ほど居眠りしている始末でした。試験を舐めすぎですね。
結局、最後にマークミスのチェックをする時間がなくなってしまったのが反省点です。

自己採点では、
基礎法学:1/2
憲法:2/5
行政法:10/19
民法:7/9
商法:3/5
多肢選択:7/12
一般知識:13/14
で記述抜き158点でした。

通知があり次第点数を追記しますが、記述は以下の答案で40点でした。
44.Y市を被告として懲罰の差止めの訴えを提起するとともに仮の差止めの申立てを裁判所に行う。
45.Bの保険会社Cに対する火災保険金債権に対し抵当権の物上代位性による差押えを行う。
46.AはBに住宅の欠陥を通知しているので、代金の減額、損害賠償、契約の解除を請求できる。

総括すると、私が超短期の勉強で合格できた要因として、宅建(3年前)・中小企業診断士(1年前)・公務員試験(9年前)で学習済だった民法、商法、行政法、憲法の知識がある程度活かせた点はあると思います。
また、今回記述式が特に簡単でほぼ無対策でもある程度書ける基礎的な論点だったことは非常に幸運でした。
が、50時間とは言わずとも、NG勉強法を回避すれば初学者でも300時間くらいで合格できるのではないかなという印象でした。

5.まとめ

行政書士試験に限らず、資格試験を短期間で効率的に突破したい方は是非1.③超短期&独学での合格を実現する学習法の要点は心がけてください。
それでは素敵な資格取得ライフを!



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