見出し画像

色のある水素

こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は「水素」と色にまつわる話を聞いたので、そちらをご紹介。

水素と色彩

元素周期表で1番最初に出てくる『水素(H)』。
燃料電池やそれを利用したFCV(燃料電池車)など、
次世代エネルギーとして注目されている元素ですが、
実は面白い形で、色とつながりがあります。

グレー水素、ブルー水素、グリーン水素が主な3色。
他にもターコイズ水素、イエロー水素やブラウン水素、ホワイト水素などもあります。

とは言いつつ、別に水素自体に色がついているわけではありません。
水素は無色透明で、無臭です。
グレー色の水素はないし、青い水素も、緑の水素もありません。

水素の色とは何なのかというと。

製造過程を表す色彩

どのようにして『水素』を作り出しているか、を色で表しているんですね。
色の付け方も「なるほどなぁ」と思うチョイス。
せっかくなので、簡単に説明していきましょう。

グレー水素

こちらは『化石燃料』を使った製造方法で、大量の二酸化炭素(CO2)が大気中に排出されます。

現在製造されている水素の95%は、このグレー水素だそうです。
水素はクリーンエネルギーだと思われがちですが、案外『環境負荷が高い』エネルギーだったりするんですね。

ブルー水素

基本はグレー水素と同じ。
ただ発生する二酸化炭素を回収・貯留して排出させないので、グレー水素に比べて環境に優しい製造方法です。
清浄化の意味を込めて『ブルー』が付けられました。

グリーン水素

こちらはまったく変わって、
太陽光や風力など再生可能なエネルギーを使って、水を電気分解して水素を得る方法。
環境に優しい自然由来の方法なので『グリーン』が使われています。

ターコイズ水素

プラズマなどを使った直接熱分解方式で、天然ガスから水素を取り出す方法。
炭素は個体として算出されて、二酸化炭素として排出されません。
高温反応炉には再生可能エネルギーを使うので、ブルーとグリーンの中間的な立ち位置で『ターコイズ』に。

イエロー水素

原子力発電を使った方法。
二酸化炭素は出さないですが、核廃棄物ができてしまう製造方法です。
原発の燃料であるイエローケーキから『イエロー』の名が付けられています。
他にも『パープル』や『ピンク』と言われることもあります。

太陽光のエネルギーだけを使ったグリーン水素を『イエロー水素』ということもあるそうです。この場合は、太陽光のイメージからですね。

ブラウン水素

石炭(褐炭)を使った方法で、グレー水素とほぼ同じ。
なんなら二酸化炭素の排出量はグレーよりも多めです。
褐炭の色から『ブラウン』の名前が取られています。

ホワイト水素

他の製品の生産過程で、副産物として出来た水素のこと。
白はその色彩心理から、グリーンよりクリーンな印象を感じるかもですが、ただただ『目的にしてなかったけど、できちゃった水素』という意味合いで使われています。
フォーカスされていないのが『空白=白』で表されるのは面白いな感じました。

納得の色付け

ということで、水素と色を見てきましたが、
内容を見てみると、結構納得の配色だなと感じました。

面白いのが、暖色が黄色だけで『赤、オレンジ』といった色がないこと。
(赤・オレンジは火のイメージなので、二酸化炭素発生→結果グレーにまとめられそう)

物体色ではなくて、概念的な色というのも面白いところですね。
普段触れていない世界の色彩だったので、より新鮮に感じられたも良い発見でした。
色々な分野にアンテナ張ると、新しい色彩と出逢えるので、たくさんつまみ食いしていきたいですね。

実体験&勉強から得た色彩のお話を発信しています。 よろしければサポートいただけると嬉しいです。 心躍る色彩のご紹介に繋がる様々なアイテムの準備に活用させていただきます。