最初の合成染料
こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は色の豆知識。
偶然できた合成染料
普段使っている色には、
植物や鉱物、生物の分泌液などから作られる天然のものと、
人為的に作った合成のものがあります。
稀少で高価になりがちな天然のものに比べて、
比較的安価で、安定して生成が可能な合成の色は、
人が使える色を豊かにしてきました。
人の手によって生み出された合成染料ですが、
「世界で初めて生み出されたのはどんな色」か、ご存知でしょうか。
それは「モーヴ(Mauve)」と呼ばれる紫。
面白いことにこの赤紫は、作為的に作られた色ではなく、「偶然できた」ものなのです!
モーヴが生まれたエピソード
1856年、イギリスの化学者ウィリアム・パーキンがアリニンから「キニーネ」という物質を作ろうとしていました。
アリニンは廃棄物のコールタールから得られる物質。
キニーネはマラリアの治療薬として使われる物質。
色を作るためではなく、治療薬を作るための実験だったんですね。
でも残念ながらそれは失敗。
ビーカーの底に残ったものを片付けようとして水につけると、そこから紫の色素が溶け出して、世界で初めての合成染料の発見に繋がりました。
発見最初は『モーヴ』じゃなかった
ちなみに発見当初から『モーヴ』という名前ではなかったそう。
パーキンは『ティリアン・パープル』と名付けたのですが、
そもそもこの名称は天然のアッキガイから採れる『貝紫』を指す言葉。
正確性に欠けるという観点から、『モーヴェイン(Mauveine)』と名前を変え、そこから『モーヴ(Mauve)』になったといわれています。
そしてナポレオン3世のウジェニー皇后が、この色を気に入ったことがきっかけで、世に広まっていったとのことです。
あまりに流行し過ぎて『モーヴはしか』と言われるほどになったそう。
安価に使えるのも大きかったのでしょうね。
以上、モーヴのお話でした。
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