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途上国と付き合うということ

2018年11月に、カンボジアのシェムリアップ州トロー・オンドーン村に中学校が建った。建てたと言うにはおこがましい。たくさんの人たちの力を借りて、建てさせてもらった。3月に開校式をして、300人の生徒が勉強している。同じ敷地内の小学校と合わせると1300人規模の(午前/午後学級合わせて)大きな学校となった。

もともとこの学校にはトイレが個室6つしかなく、新しい校舎を建てたことで更に深刻なトイレ不足問題が出てきてしまった。そこで我々は今トイレ建設に取り掛かっている。建設中のトイレは女子個室が8個、男子個室が6個、小便用の便器も十分にあり、これでとりあえずのトイレ不足は解消できそうだとホッとしている。
(お金の問題はあるけれど...)

建設中のトイレ。かなり立派なトイレが出来上がりそう。

今月、トイレ建設の進捗状況確認と学校運営のミーティングのため現地を訪れた。
そこで想像もしていなかった問題に直面することとなる。

大麻の売買

もともとこの地域は治安が悪く、周りのトタン家に住んでいる者も不法滞在者が多い。そしてこの地域で大きな二階建ての建物というのは、この新校舎しかない。
新しい校舎は2棟。その間には通路があり階段があり、非常に死角が多い。
その死角を利用して、夜な夜な校舎を隠れ蓑に、売人たちが大麻の売買をしていると言うのだ。もちろん警察には通報している。ただ連絡してもちらっと見回りに来るだけですぐ来なくなる。あてにならない。学校の先生達で夜に見回りするのも、実際どれ程の恐怖と危険が伴うのだろうと想像すると実行するのは難しい。
更に深刻なのが、その大麻が一部の中学生にも渡っていると言う事実。
この非常にショッキングな流れは何としてでもここで喰い止めなければならない。

現実的な解決策としては、校舎の周りを塀で囲うこと。そして監視カメラと守衛室の配備。とにかくまずは学校内だけでもクリーンな環境を整えなければならない。
恥ずかしながら、校舎と周りの境目はなく、このような状態。

夕方の撮影のため、見にくくて申し訳ない。
左側が新校舎の裏側。右手一帯が不法滞在者たちが暮らす地域。
そりゃ入って来るね。

これはちょっと前に撮った校舎の反対側。右に少し見切れている建物が小学校。
右下の青い石タイルのところに、今トイレを建設中。
しかしこちら側も学校と外側を仕切る、きちんとした塀はない。

今このままトイレが出来上がっても、トイレも大麻の売買に使われるだろうし、
大麻を使用している中学生が、トイレに隠れて大麻を吸うことは想像に容易い。
とにかく塀の建設を同時進行にて進める。そして先生たちによるトイレの見回り、
夜でも電気を点けっぱなしにしておくこと。警察との協力。
様々なことをひとまず取り決めてカンボジアを後にした。

みんなの校舎

何回でも言うけれど、この学校は僕たちが建てた学校とは思っていない。
皆さんに建てさせてもらった学校だ。だからこのことを書くかどうかもとても迷った。今までチャリティーコンサートに足を運んでくださった方々、寄付をしてくださった方々、スポンサーの皆様、そして出演者・関係者の皆様。みんなこの学校の完成を心から喜んでくださっている方々ばかりだから。その方々に対してこのような現状を報告しなければならないのは、胸が苦しく、本当はしたくない。でも皆さんのお金で建てさせてもらったのだから、本当のことを報告して、これから良くしていかなければならない。一筋縄ではいかない。途上国と付き合うということ。
今度のコンサートは、このことも含めての報告コンサートとなるだろう。

校舎建設報告コンサート
 〜World Music Projectのお愉しみ会〜
2019年10月10日(木) 19:00開演 18:15開場
兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール(限定800席)
一般:3000円(全席指定)
小学生以下:1500円(全席指定)
(3歳以下無料・ただし座席が必要な場合は用チケット)
チケットお申し込み:https://www.world-music-project.com/ticket
または芸文チケットオフィス:TEL 0798-68-0255
(AM10:00〜PM5:00 月曜休み・祝室の場合は翌日)

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