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地域の売場の工夫とグリーンツーリズム(「遠野まちづくり実践塾」レビュー)

遠野市は岩手県の内陸にある人口約3万人弱のまち。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A0%E9%87%8E%E5%B8%82 (wikipediaより)

柳田國男の「遠野物語」で知られていますが、大都市圏の東京からは新幹線と在来線を乗り継いで約4時間。

人口減少社会にあって、中心部ですらシャッター街化が進む地方のまちが数多くある中で、遠野はいかにしてにぎわいづくりに取り組んでいるのか。

苦労と工夫を重ねた取り組みから、そのエッセンスを僕的に抽出してみました。


①道の駅「遠野風の丘」
国道バイパス沿いにある道の駅。立地が特別な訳じゃない。
にぎわいと産直の地元野菜の売れ行きのポイントは3つ。

・物語性、ただ置くのではなくストーリーを伝える
・特徴に合うものしか置かない、違和感のある物はおかない
・コンセプト、品質にこだわって置く

他にもこんな工夫をしています。これは道の駅だけじゃなく、ショッピングセンターや小売店舗、宿泊施設などでも当てはめられると思います。

・長距離の旅行者、産直で買い物をしたい奥さん、買い物に付き合わされてる旦那さんなど、立ち寄る人を想像し、居心地の良い空間を提供していること。
・施設で一番眺めの良い場所は、誰でも無料で立ち寄れる休憩スペースにした。訪れればゆったりと過ごせる場所というコンセプトを出し惜しみしないこと。
・道の駅なのにギャラリーを設置。展示は月2回入れ換える工夫。=これは小売店ではリピーター獲得に重要な「売り場の変化」と同じこと。またいきたくなる
・お客が喜ぶ、不満を感じさせないことからサービスを考える(自分がお客だったらどう思うか?)


②グリーンツーリズム

グリーンツーリズムはヨーロッパでは広まっている農業のサイドビジネスとしての農業×観光ビジネス。
農業体験をしたり、農家民宿に泊まったりというもの。遠野でもグリーンツーリズムを取り入れている。
グリーンツーリズムのコツはこんなところ。


・グリーンツーリズムに興味ある層と、教育程度の高い人には相関があるという調査結果もある。学びやその人への初めての経験などを盛り込むことで満足が高くなる。
・体験は無理せず、あるがままのスタイルで受け入れて継続するのがよい。お客さんが本当に至れり尽くせりを求めているかを立ち止まって考える必要がある。
・受け入れ側が交流が好きだとうまくいきやすい
・宿泊が伴わなければグリーン・ツーリズムは成功しないとも言われている
・緑があれば成功するわけでなく、よそ(他地域)と違う何かが必要
・成功には非日常の暮らし体験、予想できないハプニングも重要
・修学旅行の受け入れなどもいい。ただ、学生も事前学習をして望むなど、学生にも地元にも発見の機会をあたえるプログラムであること。余裕のない受け入れは単なる消費になってしまう。
・地域のワーキングホリデーというスタイルもあり

③地域活性&まちづくりに必要なこと
書籍からその通りだと思った3点を紹介して結びとしたいと思います。
・やる気のないものが何のお咎めもなく、やる気のあるものが仕掛けて失敗すれば大きな批判を受けるというのはおかしい
・地域内発型では限界があり、既成概念なく、外部も活用して取り組む必要がある
・来る人が興味を持ち、楽しければ賑わいを作り出せる。その結論は明白であって、ただ、まちづくりは理屈通りにいかないことが難しい

書籍には他にも細やかな工夫や配慮、試行錯誤が書かれています。

地域のイベントや施設の企画、運営に携わる方は読んでみては。

遠野まちづくり実践塾 https://www.amazon.co.jp/dp/4895444708/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_TfnIDbEEW48RC
菊地新一著

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