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ビジネスパーソンが”無駄な努力”から解放されるために必要なたった一つのこと

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今回は、先日の記事「生産性向上のためのマーケティングの考え方と、そのための方法論まとめ」の内容の、実践的な話を書こうと思います。

具体的に言えば、”無駄な努力をしないための方法論”になります。

■想定読者
・施策の成果に向き合う仕事をしている人すべて。特に若手のビジネスパーソン

【”無駄な努力”とは何か】

なかなか刺激的なタイトルですが、ここでいう”無駄な努力”というのは、ただ単に「かけたリソースに見合わない成果になってしまった取り組み」という意味ではありません。

施策を実行した結果は、良いときもあれば悪いときもあります。
どんなに優れた人でも、100%すべての施策を上手くいかせることは不可能です。

では、何をもって”無駄な努力”というのかというと、ここでは「学びにつながらない失敗」のことを言います。

ビジネスの現場では、よく「失敗を恐れずにチャレンジしよう」というワードが出てくると思いますが、
これは失敗を容認するという意味ではなく、仮に失敗したとしてもそこから学べば次の成功につながるから、という意味です。

つまりここでは、次の成功につながらない、学びのない失敗を”無駄な努力”と呼んでいます。

なお、例えば「Excelの関数を使えなくて、セル1個ずつをコピペしている」みたいな話は、”非効率な業務”なので、また別の話になります。
今回は業務ではなく施策全体の話です。

【なぜ”無駄な努力”になってしまうのか】

無駄な努力、すなわち学びのない失敗とはどういうものか?

これはひとえに、仮説がない失敗だと言えます。

そもそも失敗から何かを学ぼうとするには、事前の仮説が必要です。
仮説があるからこそ、施策を実行したさいの現実とのズレを見出すことができ、失敗しても仮説と照らし合わせて修正することができます。

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このように、失敗したのちに改善をすることで、継続的に成果を出し続けることができます。

逆に、仮説のないまま取り組んだ施策は、失敗しても学びがありません。

足りないのは努力だ、試行回数だと思い込んで、効果のない施策を矢継ぎ早に投下し続け、次第に疲弊していくというパターンです。

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このように、タスク量ばかりが増えて疲弊していくというケースは、体験したことがある人も多いのではないでしょうか。

最悪のパターンは、上司も含めて「もっと色々と試してみろ!」というプレッシャーがかかるような状況です。
上司にも仮説がなく、かといって部下の立場からは「もう効果出ないと思います」とも言えず、
ただ施策数へのコミットばかりが増えていき、仕事がデスマーチ化するというケースです。

仮説を自分で与えることもできず、ただ部下に施策数ばかりをやらせる上司は、無能を超えた害悪と言えます。
もしもそういう人の部下になってしまった場合は、すぐに上司の上司に相談するか、部署異動を願い出るか、転職することをオススメします。

【仮説を作るために絶対に必要なこと】

さて、「仮説を作る」というときに、具体的に何をすればよいのでしょうか。

「仮説」とは、「成果を出すための仮説」です。

「成果」とは、多くの場合は「売上」であったり、人事であれば「採用人数と質」だったりします。

その成果を生むのは誰でしょうか?「顧客」です。

つまり、とにかく顧客を理解することから始まるということです。
※詳しくは冒頭の記事参照

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※以下、例え話※
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ある男性が、ある女性と付き合いたいと思っていたとします。
男性は女性の気を惹くために色々なプレゼントをしたり、おしゃれなレストランに連れて行ったりします。

しかし、実はその女性は他の男性からも大人気で、毎日のようにおしゃれなレストランに行き、毎週のようにもらったプレゼントをメルカリで出品していたりします。

結局のところその女性が多くの男性の中から選んだのは、もっとも地味で、選ぶ店もおしゃれではないけれど、一番気を遣ってくれる”優しい人”でした。
ヒールを履いているときにあまり長く歩かせないようにしてくれたり、会話の中で女性の興味がありそうな話題を聞いてくれて、自分の自慢話はしない…といった居心地の良さが決め手になりました。

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※例え話ここまで※
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この場合、男性がしていた「プレゼントを贈る」「おしゃれなレストランに連れていく」という”施策”は、まったくの無駄な努力だったということになります。
なんならメルカリの売上に貢献しただけだったという…
※そういえば、クリスマスの夜に大量のアクセサリがメルカリに出品されているのを毎年見かけますが、なぜでしょうね(ゲス顔

上記の話はあくまで例え話ですが、割と身近に似たような話が複数あります。
結局のところ、相手が何をしてほしいかを理解していない努力は無意味である、ということです。

顧客を理解することが絶対的に重要であるということが、感覚的にも理解いただけるのではないでしょうか。

【顧客理解の仕方:ロイヤル顧客を見る】

では、顧客を理解すると言っても、具体的には何をすれば良いのでしょうか?

多くの人は、ここでつまずくと思います。
自分の経験からも、「顧客をもっとよく見ろ」と言われ続けても、なんのことを言っているのか全くわかりませんでした。

また、顧客理解についてマーケティングの本を読んで勉強してみるのは非常に有効ですが、実践経験が少ない若手のビジネスパーソンからすると、
読んでみても難解に感じられ、仕事への活かし方がわからなかったりすることも多いように思います。

そのため今回は、ものすごく簡略化した顧客理解の入門編の話をしたいと思います。
いわば、エクストリーム顧客理解です。
(元ネタは中田敦彦のYouTube大学です)

エクストリーム顧客理解すなわち顧客理解の入門編ということで、何をまず理解すればよいのかということですが、
成果を出すために、とにかく重要になるのが「ロイヤル顧客」の理解です。

ロイヤル顧客とはつまり、一番重要な顧客セグメントのことを言います。
要するに、あなたの成果(売上利益や採用人数など)を支えてくれている顧客群のことです。

何をもってロイヤル顧客と定義するかは意外と難しいので省略しますが、要するに営利事業であれば「売上の多く(6割~8割など)を占める顧客」のことだと思ってもらえれば、そんなに間違えません。

■「ロイヤル顧客」の定義の例
・モバイルゲーム:課金額の6割以上を占める、全体の2割のアクティブユーザー
・通販化粧品:購買客全体の2割しかいないが、売上の7割以上を占める、毎月2セット以上購買してくれる人
・回転ずし:年に10回以上の来店がある、客単価2,000円以上(≒複数名来店)の人たち

例えばこのような形です。

このようにロイヤル顧客の仮説を立てたら、次にすべきことは

・ドライバー:その人たちがサービスを利用、購買してくれる理由
・バリア:その人たちがサービスから離反してしまう理由

を考えてみます。

このドライバーとバリアの仮説を立てることで、
「これをやったら、もっとロイヤル顧客が来店してくれるんじゃないか」
「こういうことをやりたいけど、ロイヤル顧客の離反につながるからやめておこう」
といった施策仮説を立てることができます。

例えば、よくある居酒屋チェーンの失敗パターンでは、
・客足が伸びてなくて困った
・集客のために飲食広告メディアに出稿(=利益率低下)
・さらに来店クーポン発行

みたいなことをやったりします。

しかしながら、当然これをやると新規客の利益率が下がるうえ、
本来のロイヤル顧客までクーポンを使ってしまうので、追い打ちで客単価が下がるという二重苦になります(出稿費用ふくめて三重苦)。
そして利益率低下をカバーするために値上げして、ロイヤル顧客が離反する・・・という最悪のストーリーもあります。

ロイヤル顧客のことをよく見ていれば、まずはロイヤル顧客がもっと来店したくなる、もっとお金を使いたくなる方法を考えるという方向に行ったはずです。
そうしていれば、ロイヤル顧客のための新メニュー開発など、顧客が本当に望んでいる方向へと施策の舵を切れたと思われます。

つまり、ロイヤル顧客をよく見ていないと、安易な施策に走って自滅するということです。

【ロイヤル顧客から、顧客の全体像を考える】

ロイヤル顧客のことを考えたら、そこから顧客の全体像の仮説を立てていきます。

全体像とは、ロイヤル顧客以外の顧客や、見込み顧客(まだ顧客ではないが、今後顧客になりうる層)のことも含めた顧客像の俯瞰のことです。

ここでは、

・ロイヤル顧客
・ミドル&ライト顧客
・見込み顧客

の、3つのセグメントに整理したいと思います。

実際にはもっと細かい整理をしたほうが精度が高くなるんですが、
これでも、顧客視点がない状態と比べれば、比較にならない効果があります。

何より、今回はエクストリーム顧客理解なので、簡略化したバージョンでいきたいと思います。

ちなみに「ミドル」「ライト」層を一緒にしているのは、業務の実態としてここをひとまとめにした施策に着地することが多いためです。
もちろん、本来はもっとミドルやライトの定義自体を明確にし、施策精度も高めたほうがいいには違いありません。

3つのセグメントにまとめたとき、整理したいのは以下の内容です。

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このように、3つの層に対してそれぞれドライバーとバリアを整理します。

このくらいのまとめができていたら、まったく仮説がない状態と比べると業務精度が格段に高まります。

注意点としては、それぞれの顧客を勝手に想像しないということです。

「うちは数十年続く老舗だから、伝統を支持されてるんだ!ロイヤル顧客は伝統が好きな人だ!」とか考えていても、実態は「他に同じものを売ってる店がないから使ってる」だったりするかもしれません。

「回転ずしでも、たまには本格志向のものが欲しいはずだ!」とか考えて一貫1,000円の大トロを用意しても、まったく売れません。

重要なのは、事実に基づいて顧客を定義するということです。

「うちの店に来る人は、商品のデザインを褒めてくれることが多い」とか
「うちのサイトでは年齢に見合わない高額な商品を買ってくれる人が多い」とか、
なんでもいいので、必ず事実に基づいていることです。

ここを取り違えて想像の顧客を作り出してしまうと、まったく意味がありません。
顧客理解の根本として、事実に基づいて理解することが必要ということは、強く認識しておくのがよいと思います。

【まとめ】

”無駄な努力”をしないための方法についてまとめると、

■無駄な努力をしないためのステップ
①仮説をもって施策に取り組む
②仮説のために、顧客像の仮説を作る
③まずはロイヤル顧客、続いてミドル&ライト顧客、見込み顧客の3つに分ける
④それぞれのドライバー(利用モチベーション)とバリア(障壁)をまとめる ※事実に基づくこと

この4点になります。

もっと一言でまとめれば、「顧客を理解して仕事をすれば、無駄になる仕事なんてない」ということです。

顧客を見ずに仕事をするというのは、成熟した市場においてはほとんど即死を意味します。
今回の内容を入門編として、意味のある失敗から成果につなげられる人が増えてくれれば、非常に嬉しいことだと思います。

なお、何度も記事中に書いているように、今回はエクストリーム顧客理解という位置づけなので、
ちゃんと理解したいという人は以下の本を読むのがオススメです。

この本を読むと、今回のnoteがいかにエクストリームな話をしているかが分かると思います。

今回は以上です。

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