一筋の光 #16

人はなぜ旅に出るのか。

そういう言葉を使うと

なんだかそれっぽく聞こえる。

誰も自分のことを知らないこの街で、ふとそんなことを考える。

1人の男が、旅に出た。
ユーラシア大陸。

限りあるこの自分の人生が、同じ場所で色褪せていくことを男は望んでいなかったのだ。

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雨と停電。

朝起きてそれを把握するのに時間はかからなかった。

最悪の組み合わせだ。

1ヶ月ごから始まる雨季はこんなんばかりなのだろうかと思うと、恐ろしい。

昨日はやりたいことをたくさんできたから満足感に浸っている。

新しいことにも取り組み始めることができた。

それは行動を変えてみたからだ。
わかったことは、私は家にいてはいけない。家では何もしなくなる。

根っからの引きこもり性質なのかもしれない。

家に帰ったら取り憑かれたようにすべてのやる気をもっていかれる。

どうすべきかと考えていたときに、思い出したのは武井壮だ。

売れる前に努力をしようと決めた武井さんは、まず家を手放した。

家にいるとゴロゴロするから、まずそうしないために自分を追い込んだ。

これだと思った。本田圭佑もそうだ。自分が弱いということを自覚する。

これはものすごい大事なことだ。

あんなすごい人たちでも、家にいるとダラダラしてしまうのだ。
だから半無理矢理にでもそうしない環境を作る。

私にもそれしかないと思った。

家で作業せず、カフェでやることにした。

そうしたらうまくいった。作業は捗った。みるみる進んでいった。

今までの家での格闘はなんだったのかと思うほどだった。

ここにヒントはあったのだ。

また一つ光が見えた。

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旅に出る少し前に
男は自分を見失ってしまった。

旅に出ると自分を見つめ直し、原因が自分にあったことを知ったけれど、

旅に出るまで日々は色を失い、いつも何かに怯えるようになってしまっていた。

見失った自分は一体どこへ行ってしまったのか。

その答えは自分の中にある

そうわかっていながらも、何かにすがる思いで、国を後にした。

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