この大地の優しさに

林の中を行く 出来るだけ 人のいないところに
木の根に躓かないよう足下をみながら

視界がひらけてくる 
誰もいないところまで来られただろうか

何かに呼ばれた気がして ふっと顔をあげる

目の前に 富士山がある
この地にきて 何度も見てきた美しい山

その山が 別の顔を見せている
いつも遠くから見守るように佇むが
今は雄々しく しかし優しく佇んでいる

見惚れた僕はしばらく動けなくなった

目の前に小川がある 小川には橋がかかっている
このまま 富士とともにこの時を過ごそうか あの橋を渡って近づこうか

一瞬の逡巡のあと 足が自然と前に進みだす

また富士が別の顔を見せる いや富士が変化したのではなく
僕の周りの木々が 富士の見せ方を変えた

目の前はに草原

もっといこう もっといこう まだ見ぬ富士と出会いに

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あそこまで行けば 富士が この地が
また新しい顔を見せてくれる

そう信じ進んだのに

僕の視界に映る富士は変わらない
進めば新しい景色と出会えると思ったのに

僕の視界に映る富士は変わらない

もう帰ろう 幻想は捨てて 仲間の待つところに戻ろう

振り向いた僕の視界には冬の青空
仲間が待つ清泉の寮と八ヶ岳

笑みがこぼれる 涙もこぼれる

この大地の 優しさに

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#詩  #一年の計  #清里  #清泉寮  #富士山  #八ヶ岳

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