GYOMU断捨離のススメ

 

Fukuiです。再々登場です。
今年はSalesforceさんのイベントでのMiRyさんと再開したところからの縁で後半戦からGYOMU Hackers Nightに参加させてもらっているFukuiです。ほとんどのみなさんとは一回り以上のじじいですが、刺激だけでなく新しい知見を得ることができてとても充実した半年を過ごさせてもらいました。という恩義もあり、今日は空いてしまいそうなGYOMUハックAdvent Calendarの20日目の記事として急遽書かせていただきます!!今日こそは失敗談ではなくまじめな話をします。

1.何が一番無駄か?

 どこかのコンサル会社の人がどこかのセミナーで言っていた話です。一番無駄なIT資産ってどれか?っていう問いです。下の図を見てください。これはITの機能についての評価を象限で表したものです。横軸がその機能の利用頻度です。右側であればよく使われている、左側であればほとんど使用されていないということを表しています。縦軸がその機能がもたらすビジネス的な価値の大きさです。上のほうが多くのビジネス的な価値~売り上げが伸びているとか、コストが下がっているとか~を生んでいる。下のほうはビジネス価値が無いということを表しています。

ここで、この記事を読んでいる皆さんに質問です。最高および最悪のITってどの象限にある機能やシステムなのでしょうか?

Ⅰ)利用頻度は低いけど、ビジネス効果が高い

Ⅱ)利用率が高くビジネス効果が高い

Ⅲ)利用頻度が低く、ビジネス効果も当然ながら低い

Ⅳ)利用頻度が高いが、ビジネス効果は低い


 みなさんはどのシステムが最悪だと思いますか?


2.最悪のIT機能

 よく情シスというか社内IT部門が気にするのはⅢの証言のシステムです。せっかくお金をかけてシステム機能を作ったのに全然使ってくれない~IT部門、特に開発した側から見ればこれが一番無駄に見えてしまいますが、使っていないんだから運用コストは意外にかかっていません、定期的な保守が必要なスクラッチで作ったシステムならまだしも、SaaSであればほとんどコストはかかっていない、比較的ましな機能です。

 次に挙げてみるのはⅠの象限の機能です。とにかく使ってくれていないんだからもったいないという気持ちになりがちです。しかしながら経営層が見て、具体的な判断をしているシステムはこの象限に当たります。なんせ社長は一人ですので、毎日使って的確な判断をしたとしても月に20回くらいしか使わないことになります。とにかく効果があるんだから無駄ではないはずです。

 結局、一番無駄な機能っていうのはⅣ象限の機能やシステムです。たくさんの人たちが高い頻度で使用するというのは良いことのように感じますが、逆の見方をすれば、この機能を使うのに多大な工数~コストをかけているという事です。使っているのにビジネス価値が無いというのは、社員のリソースを使い果たす割には、なんの成果も生んでいないという事です。まるでガンガン出張している割に売り上げが全くない営業マンのようなものです。

 実はこの話を聞いたときに、まさに目から鱗が落ちた気分でした。使わないシステムは意味がないという錯覚に自分もはまっていたことに気づかされました。会社名忘れたけどありがとうございます、どこかのコンサル会社の人!!

3.IT機能の廃棄の大切さ

 まだまだ歴史の浅い会社の場合は深刻でありませんが、やたらと歴史のある昭和の香りがする会社にとってはシステム機能の廃棄というのは非常に重大な問題です。なぜならばシステムの老朽化対策、モダナイゼーションというらしいですが(たとえば汎用機時代のシステムを今風のWebシステムに移行する)これは非常にリスクやコストがかかります。某京都市役所とかどこかの地方銀行の例を挙げるまでもなく、ユーザー企業・団体とSIerとの間の裁判沙汰はだいたいこの老朽システム移行案件です。何億円もつぎ込んだ挙句にちゃんと動かなくて、しかも裁判沙汰になって世間に恥をさらすことになる~考えうる限りの最悪の事態ですね。たとえそうならなくたってこういった案件はコストがかかります。経験から言わせてもらうと新規に機能を作るよりも、むかし誰かが作った機能を最新型にするほうがよっぽどコストがかかるのです。だからIT機能を廃棄するというのは非常に大事なことなのです。もし、まだこの事を考えていないという方がいるなら早めの検討をお勧めします。IT機能の廃棄を怠っていたら、新しい機能に移し替えるときに大きな代償を払うことになるので、早いうちから棄てるものは棄てるといった活動をしておくべきなのです。

4.Ⅳ象限を捨てるために

 とはいえ、自分のトコでも実際に捨てる活動に入っているのはⅢ象限のところです。ここはITのコストの問題で押し切ることが可能です。しかも使っている人が少ないんですから、戦う相手も少数派です。ちょとした資料を作るとか、うまいこと課金する仕組みを考えれば割と簡単にできます。とはいえやっている企業さんはまだまだ少ないですけどね。

 でも一番難しいのはⅣ象限なのです。最悪にして最強の敵なのです。なぜなら使っているユーザーが多い・・・つまり説得する相手が多数派だからです。Ⅲ象限だったら、みんなで取り囲んで「無駄だからやめろ」とか「会社中で使っているのはお前だけだ!」と言えば良いのです。しかしながらⅣ象限の機能は取り囲まれるのが機能を廃止したい我々なのです。かなりの鋼鉄の心を持っていないと難しいと思います。

 そのためには廃止対象として候補に挙がる前からIT機能のビジネス的な効果の評価する方法やルールを考えておく必要があります。正直自分も、まだその領域には全く到達していないのですが、この仕組みは本気で考えていく必要はあるのです。

5.Ⅳ象限はだいたい管理領域

 実際にⅣ象限に入るIT機能って何なの?

 営業担当が日常に使う機能、製造部門、サービスデリバリ部門が日常に使う機能、経理計上の為に必ず必要なIT機能の場合は、まずⅣ象限という事はまずありえません。実際に売り上げや利益を確保する活動を支える業務のIT機能ってビジネス価値が低いという事はまずまずありません。Ⅳ象限にありがちなのはバックヤードの管理部門の機能、例えばBI関係の機能に多いのです。たとえば「毎朝、管理者が見る決まりになっている」けど「実際には何にもアクションが行われていない」。「以前から定期的に管理されているがいまや何のために行われているかわからない管理」みたいのが実際にはたくさんあります。小さな組織ではあまりないのかもしれませんが、組織が大きくなればなるほど専門の管理スタッフが現れ、こういった事態に陥っている可能性が高くなるのです。この人たちの仕事を無駄だっていうのは非常に難しい作業です。下手をすればリストラ的な事態を呼ぶような話なので非常にセンシティブな話になります。でもやらないといけないことなのです。土壇場でそういった話にならないようにするには、日常からITの効果をきちんと測定する仕組みづくりが必要になります。

 こんな話をしていますが、ここについては自分もきちんとした答えにはたどり着いていません。限りある移行予算を実際の移行コストが超える事態になる前に・・・いやいや無駄な機能を使っているという無駄が増大して看過できなくなる前になんとか解を見つけ出す必要があるのです。


・・・結論のない話ですみません






 

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