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最も悲しかった仕事〜ポイ捨て清掃〜

 社内公募で東京へ転勤して1年。今改めて工場勤務エンジニアとしての仕事を振り返って、最も悲しかった仕事について。(いや楽しかった事書けよ・・・)

 当時、面倒くさいとかやプレッシャーで辛い、とかではなく悲しくて辛かったたった一つ仕事。それは工場裏道の清掃活動。数ヶ月に一度、当番で工場敷地の脇を通る公道を清掃するのだ。

 落ちているものは、吸い殻や菓子パン・おにぎりの袋、ビン、缶、その他人が投げ捨てそうなもの全部。何回清掃しても、次の月には必ず大量のゴミが投げ捨てられている。なんなら、同じ銘柄のタバコ吸い殻が同じ場所に捨ててあったりする。明らかに同じ人が繰り返し不法投棄している。私は悲しかった。例えこれが仕事だとしても、パッチ当てのようなマッチポンプ的な仕事は仕事じゃないと教わってきたから。歯止めと、後戻り防止の標準化・規格化して初めて仕事の成果だから。それに、誰かがたまたま落としてしまったゴミが溜まっていくのは仕方がない。けれども、他人が故意に捨てているものを、なぜ、僕らが清掃しなければならないのか。源流対策もせずに。

 それであまりにも虚しいから、清掃活動を仕切っている総務課に私は問い合わせた。
私「どうせまたゴミが貯まるのに清掃するのは、無意味ですよ。」
総務課「いやいや、工場の周りを綺麗にしておくのは工場の責務」
私「だから監視カメラ付けるとか、発生源対策してください」
総務課「それをしても、捨てる人は他所で捨てるだけだから」
私「じゃあ清掃業者さんに発注してください」
総務課「それじゃCSRアピールにならない。我々がやってる姿勢が大事。」
私「じゃあポイ捨てする人と持ちつ持たれつってことじゃ無いですか」
総務課「そうは言ってない。皆で清掃活動すれば従業員の意識も高まる」
私「(だめだこりゃ・・・)」

 ポイ捨て、といえば軽く聞こえるが要は不法投棄である。捕まえて罰則を与えるか、精神的な貧しさ(あるいはその元凶となっている物理的な貧しさ)から救うことでしか解決しない。息の長い話であるし、自分に治療できるとも思えない、根深い病巣であった。

 実はこの記事、帰京して半年くらいで書いて、思いとどまって、下書き保存していた。何故ならば、感情で書くとろくなことがないし、何より建設的でないから。「やってらんねーよ」をnoteに公開しても、不愉快を拡散するだけだから。しかしそれからさらに半年経って、なぜ塩漬けにしていた下書きを公開するのか。それは僕の同期がボランティア清掃をしていて、しかもそれが清掃SNS上で公開されているのを知ったから。

 なんと、ピリカという、ゴミを拾ったのを投稿するだけのSNSが存在するらしい!どうも、世界中の人が清掃活動を投稿してる。そのPirikaで活動している、リンク先のorie22君とは、一瞬入りかけた陸上部で知り合った同期で、なんとなく気が合うような、音楽の趣味も合うよなといったかんじでずっとfacebookでだけ繋がっていた。その彼が、ランニングついでに清掃活動をしていて、それをPirikaにアップしている。
 正直にいうと、ちょっとハッとした。3つのことに気がついたから。
①やらされ仕事だから辛かっただけ
②世の中は本来、イイコトで回るべき
③善行は広報してナンボ
 いやだからと言って、僕がすぐにPirikaを始めるわけではないのだけれども。少なくとも、腐ったままこのnoteを公開し無くて良かったと思う。世の中を良くしよう、という本来私たちが持つべき姿勢を見せてくれたorie22君に感謝。 ”で、君は何をするの?”とかいうできるビジネスマンみたいなツッコミはいったんはぐれメタルになって回避しつつこの投稿を締め括りたい。 ・・・なに、毒針持ってるだと!?


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