昨年暮れ、夫の伯父が他界しました。
義母は、嫁に出た身ではありましたが、たった一人の兄妹だった優しい兄が、あっけなく旅立ったことで憔悴しており、我が家もそれに倣って、新年を迎えるにあたっては喪中であるという意識で過ごしていました。

例年通り、三ヶ日は一人離れて姉の家にいた私に、娘からメールがきました。

『おばあちゃんから、お年玉の代わりに、文具代をもらいました』

なるほど。
そういう渡し方があるのか。

自宅に戻った私は、そのまま熱を出し、三連休は寝込んでしまったので、どうしようかなーとぼんやり考えてはいたし、夫からも「ツムギが、ウチは文具代ないの？って聞いてきたんだけど」と相談は受けていたものの、具体的なことは何もできず日が経っていきました。

痺れを切らした娘が憤慨して言いました。

「お父さんに、ケイトと相談してって言っておいたのに！！」

以前、どなたかの考えで、お年玉はすべて使わせている。と読んだことがありました。

姉は使わず貯めていたタイプ、私は使ってしまって後悔したタイプだったので、ツムギにも、纏まってもらったお金は貯めておいて、何か高い金額の物を買う時に使ったら？と提案して、ツムギもそうすることにしていました。

その方の考えは、数千円のお金が大金だと感じるのはこどものころだけ。その、大金を使う喜びを味わってほしい。確か、そんなようなことだったと思います。

一理あるなぁ。

頭の片隅にそれが残っていた私は、今年をその機会にしたらどうかと、考えました。

その日は珍しく、日曜日の午後、三人とも予定がなかったので、午前中のサッカーから帰ってきた娘に言いました。

「ツムギ、今年は喪中だから、やっぱりお年玉はなし。おばあちゃんは文具代と言ってお金をくださったそうだけれど、これから中学生になるにあたって、必要な文房具は買ってあげます」

いつも通り、ちょっとムクれる娘。

「それで、ツムギがお年玉を期待していたことに対してだけれど、今日これから、お父さんと私で、ツムギの買い物に付き合おうと思います。
３千円、渡しますから、今日中に使い切るっていうのはどうかしら？」

バァッとツムギの顔が晴れました。

「じゃ、行くよ！」

娘の行きたいお店は三軒、ブックオフと本屋さんに併設する文具売り場、近所で一番大きな百均。

自転車で回ることにしました。

前日、文具売り場とその近くの小さな百均は、一人で下見に行っていました。
祖母からもらった文具代の内、1,500円は貯金して、残りは好きな物を買おうと、娘自ら計画を立てていたからです。

それを決めただけでも、お金の使い方について、口煩く言ってきた甲斐があったと嬉しく思っていたのですが、驚いたのは、3千円の提案をしたときに
「それじゃあ、おばあちゃんからもらった分は使わないことにする！」と決めたこと。
そして、いつもは大きいお金は預かっているけれどどうするかと聞くと「使わないようにがまんする練習をしたいから、お小遣いと一緒に持っておく」と言ったことでした。

さて、それで、どんな買い物になったか。

面白かったので、簡単に記録しておきます。

【ブックオフ】
所要時間約45分
いつも買っているこども文学のシリーズは、置いてある場所がわからなかったので断念。
三冊だけ買うと決めていたそうで、数あるマンガの中から吟味。
相当時間をかけていたので、このお店で3分の1くらい使うつもりなのかと思っていたら、選んだ本はすべて100円のもの。
一冊は図工の先生のオススメ。
二冊はタイトルが面白そうだと思った初見のマンガ。
レジ袋も買って税込335円

【文具売り場】
所要時間7分
下見していたので、買う物は決まっており、百均にいくら残すかが焦点だった様子。
イラストを書くのに必要最低限のペン4本を購入。
税込440円

【百均】
所要時間約60分
まだ20個は買える！と意気込んでいたので、「せっかく纏まったお金があるのに、ふだんお小遣いで買えないようなお値段の物は買わないの？」と聞くと、「だって数あった方が開ける楽しみがあるじゃん！」とのこと。（結局、帰ってから一気に開けちゃってたので、そこ重要だったか？と思いましたけれど）
やっぱりここでもペン購入。→もう、大量にペンを持っているのですけれど、ほしい色がどんどんあって、常にペンがほしいのです。
水筆、シャーペンの芯（必要な文具なら買ってあげたのに）までがイラスト用。
そして新たに『推し活』に目覚めたのだとか。
なんとかというアニメの、缶バッジ、アクスタ、カード、キーホルダーを大人買い。それを入れるカードケース、フォトフレーム、今日の買い物がスッポリ収まるバスケット。
買った後のことを考えられるようになったのも、散々片付けについて注意をしてきたからでしょうか。
レジ袋含め税込1,984円

帰ってから、レシートの裏にどんな気持ちか書いてみたらと勧めてました。

『6,000円、おかし買うよりいい！楽しめる！』
※使っていなかったお年玉を1ヶ月ぐらいで使ってしまった過去あり。

この経験が、何かに活きるのか、さらに物欲を増すことに加担してしまったのかはわかりませんが、大人だったら気づけば使ってしまっているような金額で、いつもと違う楽しさを得たことには間違いないと思います。

これからは『推し活』もするんですと。
お金かかるね。がんばって稼げるようになってください。