何を作ったらいいのか分からない人への手紙

前略。寒い。

アプリとか3Dプリンターでのモノづくりを教えると、作りたいものが思いつかないという人がたまにいます。僕は作りたいものが無かったことが人生を通して無いので理解できないのですが、実際そういう人がいる。

なぜか?と考えたとき、どうも全く未知の新しいものを作ろうとしてるんじゃないかと思い至りました。

発明しようとするな

作りたいものが無いという人はそもそもの考え方が間違ってます。全く新しいものを発明しようとするから思いつかないんです。

既存の物をそのまま作ってもいいんですよ(権利問題はひとまず置いておいて)。未知の発明なんかそう簡単に出来るわけないじゃん!

写経の次にすべき事

プログラミングでは『写経』という勉強方法があります。プログラムのコードをそっくりそのまま自分で打ち込むわけですが、これは最初の勉強にはいいのですが次のステップに進もうとすると詰まります。

「写経は出来たけど、で、自分はこれからどうしたらいい?作りたいものが無いし、自分で作りたいものをどうコードに表現したらいいのかわからない」

次にやるべきことは、『模写』です。

模写とは?

模写は写経と似てますが、少し違います。

プログラミングで言えば、答えを書き写すのが写経。模写は、『動作や仕様を見ながらコード自体は自分で考えて書く』ことです。絵なら、お手本を紙の下に敷いてトレースするのが写経なら、模写はお手本を横において、あるいはイメージを記憶して自分の考えで手を動かして書くこと。3Dプリンターなら、実際にある道具の形を真似て物を作ることです。

それで少なくとも、お手本がどうなっているかを観察し、それを自分で具現化する能力を身につけられます。模写は『テクニック』の向上には有効です。僕も絵の練習で模写をよくしました。

模写の次は改良

模写の次は『改良』です。日常的に自分が使ってるものとか、既にあるものを改良するという方向で考えればいい。そこにオリジナリティーが宿ります。

自分がよく使ってるものでちょっとした不便を観測したら、それをどうやったら解決できるかを考える。観察力と考察力によって、作りたいものなんかいくらでも湧いてきます。ボーッと生きてると見過ごします。常に観察しましょう。改善策を考えましょう。

だから、アプリや道具は『自分が日常的に使うものを作りましょう』と言っています。自分が使わないものは決して改良されません。絶対に、です。

イノベーティブなものを作るな

常々、受講生などにはイノベーティブなもの作ろうとするなって口酸っぱく言ってます。そう簡単に画期的な発明なんか出来ないし、出来たとしてもイノベーティブすぎるものは理解されないから作っちゃダメなのだと。特に最初は。

僕が最近取り組んでた鼻笛だって、鼻笛自体はずっと昔からあるものです。

小さくて少ない材料で作れるデザインはオリジナルだし、良い音が出るように改良していくのは苦労しましたが、改良であって発明ではありません。

折りたたみテーブルの足だって、機構自体は新しいものではありませんね。適当な板をテーブルにするという発想は新しいかも知れませんが。

今まで作った53デザインのうち、発明っぽいものは半分もないんじゃないかなと思います。

テトラポットの箸置きとか、テトラポット自体は既存のデザインだし、まったく未知の発想から生まれたものは少ないですね。

我ながら良いもの発明したなってのはこんなとこか。

Telloに広角レンズを付けるためのマウント。まぁ、これの形はJamie-Clayのミラーマウントを参考にしてます。

このミラーマウント自体は、僕が紙で作ったミラーマウントから着想を得てるので、コラボって感じでしょうか。

マルチ調味料ケース。形は釣り用の小さな重りを入れておくケースに似てます。

ヘッデンをランタンとして吊るすためのクリップ。形としては洗濯バサミっぽいですね。

簡易型のポイズンリムーバー。ニキビを潰す器具に似てるかもしれない。

板をつなぎとめて風防にする器具。板を三角形に連結しようとすればこうなるわなって形ですね。

スライドが動くハンドガン用の20mmレール。当然エアガン用です。実銃なら金属で作らないとダメだろうね。

猫のゲロを片付けることに特化したチリトリとヘラのセット。

ペットボトルの口にハマる漏斗。

サーモスの真空断熱タンブラーにピッタリ収まる3段重。コーヒーの粉などを効率よく収納できます。

折りたたみ椅子の脚に付けられるカップホルダー。

プリングルスの蓋を再利用して小物入れに出来る様にする容器。

など。

用途や細かい工夫などは発明だと思いますが、では形としてまったくの未知かといえば、同じようなものはあるものが多いですね。そう、イノベーティブ過ぎるものはあまり作っていません。

そんな感じでいいんです。

パクリと言われることを恐れるな

既存のものに似てたりすると、すぐパクリだなんだと言う人がいますが、なんも分かっちゃいません。そもそもで言えば、人類の歴史ってのはパクリと改善で進歩してきたわけです。そんなに自分のアイディアが大事なら誰にも見せずに自分一人で楽しんでりゃいいんですよ。

本当にデザインも機能も使い方も全く同じなら(習作以外で)作る意味はないのですが、そこに改善やオリジナリティがあればどんどんパクっていいと思っていますし、僕はそういうものに文句は言っていません。

※もちろん特許や実用新案で保護されていたら別ですが。

だいたい、AppleもGoogleも人のものパクリ放題じゃないですか。ジョブズがいきなりiPhoneを生み出したわけじゃないでしょ。ああいうものは他にもあったんですよ。

表計算やワープロだって何千という製品がありますね。それでいいんです。今どき表計算アプリを作って「パクリだ!」と怒り出す人はいません。

僕はジオグラフィカという登山用のアプリを作っています。後発のアプリが僕のアプリにある機能を実装することも多いのですが、文句を言ったことも言おうと思ったこともありません。同じ機能だからと言って真似とも限らないし、自分だけの発明だと思うのはおこがましいかなと。

というかそもそも地図アプリというジャンル自体、どこかにオリジナルがあるのでしょうし。

20年前に発明してクリップボード拡張アプリに搭載した『履歴FIFO(僕はストックモードと呼んでます)』という機能も、今ではクリップボード拡張アプリには普通の機能となっています。これについては間違いなく僕の発明ですが(真似するなとか)権利を主張したことはありません。

既存のものに似たものを作って、それで怒られたら謝ればいいし、自分が間違っていないと思うのなら戦えばいいと思っています。

だいたい、似たものを作られたくらいで負けるのであれば、それはその製品自体の魅力や戦略で負けてるってことです。それが嫌なら特許を取れば良い。特許も取れないアイディアをパクられたと大騒ぎするのは滑稽です。

だから僕は自分のアプリについては一番である様に手を入れ続けています(アプリ開発だけでなく普及戦略など全般で)。

人が作ったものが既にあっても、その人がそのジャンル全般の権利を握ってるわけでもなんでもない。

『誰もが、自由に、物を作る権利を持っています。』

最初は真似でもいいから、とにかく作って、改良して、オリジナルを超えていきましょう。芸術の世界なんか真似の温床です。映画、絵画、音楽、すべてはオリジナルからの派生でしかありません。北京原人がいきなりコンピューターシティを歌って踊ったわけではありません。

人類は群体として進化する生き物です。モノづくりは真似から入って、その先に自分のオリジナルを見つけましょう。そして、そのオリジナルを超えるものが他人に作られたのなら許し、更に超えていけるように努力しましょう。

人類全体を考えたら、それってすごく有益でしょ?

だから、こまけぇこたぁどうでもいいから、とにかく、作れ。手を動かせ。

草々。

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松本圭司

StepAppSchool

門前仲町のアプリ開発教室、StepAppSchoolです。『アプリ開発は誰でも出来る』を証明するために日々情報発信をしています。
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