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手形

ペンネーム 金星人

この写真は、17歳のときに撮影しました。私は現在40歳代ですので、かなり昔ですね。当時、写真部員だったので、学校の暗室で自分で現像しました。高校生というのは、無気力で写真部に入っていてもだらだらと部室にいるだけ、という人が多く暗室の掃除もろくにやらない、誰かがやってくれるだろう、という感じで、自分だけ暗室をきれいにしていました。

札幌で毎年開催されていた「日本カメラショー」に行ったとき、オリンパスのブースで24mmレンズを自分のカメラに装着すると、風景が広く写るので欲しくなりました。郵便配達でお金を貯め、24mmレンズを買いにカメラのカネミチまで行きました。しかし、24mmレンズはなく21mmレンズは売っていました。長い間買おうかどうか考えましたが、3mmの違いはたいした変らないのではないかと思い、購入しました。家に帰って21mmレンズをカメラに装着してファインダーをのぞくと今まで体験したことがない風景がそこにありました。部屋の壁と天井と床が同時に写る。驚きました。

高校の写真部ではつらいことが多すぎたので、写真を撮る気力がなくなり、3年生のときには日本カメラショーにも行きませんでした。部活動はちゃんとやらなければなりませんでしたので、意味のないスナップ写真を何本も撮っていました。こないだ高校時代のネガを見ましたが、3年生のときのスナップ写真は本当につまらないものばかりでした。

高校時代の写真はピンボケが多かったです。目が悪いからなのですが、ピント合わせに自信がなかったです。ピントを合わせるのにずいぶん時間をかけていました。現在だったらオートフォーカスが当たり前についていますのでピンボケ写真のほうが少ないのではないでしょうか。

毎日の暗室掃除は率先してやっていました。現像液などの薬品をビンに戻し現像するバットを水洗いするのですが、入念にやっていました。当時はまだ病気になっていなく体も軽かったので面倒な作業も面倒だと思わずやっていました。他の部員と先生が廊下で待っていましたが、気にならないでやっていましたが、なんで一人でやっているのだろうとは思いませんでした。暗室の床もきっちり雑巾がけをしていました。気分がよくなりました。好きでやっているので、やらされているとは思いませんでした。掃除が終わったら手洗いをするのですが、「まだ終わらないのか!」と待っている部員は言っていました。外は真っ暗になっていました。

高校卒業後は写真を引退していました。東京に遊びに行ったときもカメラは持っていきませんでした。東京は大都会で新宿や渋谷に行っても人が多いのですが、みんな知らない人ですので自分は自由を感じましたね。しがらみのない世界。なんていいところなんだろう。東京駅から皇居までがこんなに近いとは知りませんでした。赤坂を歩いていると思ったらいつの間にか銀座だし。東京に移住していればのびのびと生きていたかもしれません。しかし、札幌に帰りまして、働いていました。

引退した後は少しだけ写真を撮っていました。「ツール・ド・北海道」の写真を撮りたいと真駒内のゴール地点に何時間も前に行きベストポジションで待っていましたが、やっぱりいい場所だからカメラを持った人が何人も来まして「じゃまだからどいてくれ」という人もいました。通常先に来た人が優先なのですが、そのときはそうではありませんでした。皆さんヨーロッパの自転車レースみたいに感動する写真が撮れるもんだと思っていたようですが、感動しませんでした。別の場所で撮影したらいい写真が撮れたのではないでしょうか。

高校卒業後5年ぐらいたったときに、ある人から「結婚するから披露宴に来てくれないか」と電話が来て、自分は「スーツ持っていないから、行けない」と言ったのですが、その人とは卒業後付き合いもないしなんで来てほしいのかわからなかったのですが、どうやらただで披露宴の写真を撮ってくれると思ったようで、やっぱりプロに頼んだら何万もかかるし節約したかったようです。その人からはそれ以来一回も電話が来ていません。

写真部はたくさんの予算をもらっているように思われていますが、野球部の3分の1しかもらっていませんでした。カメラは自分持ち、フィルムも自分で用意しました。現像液などの薬品と印画紙は部の予算で、引き伸ばし機などの現像する機材も予算の中で買っていました。野球部の3分の1の予算でも困ることはなく、そんなにお金のかかる趣味だとは感じませんでした。

自分が写真部にいたころの30年ぐらい前は白黒フィルムで写真を撮る人たちも大勢いいて、フィルムや薬品も安く手に入り、材料費だけでみてもそんなに負担にはなりませんで続けやすい趣味でした。しかし、現在はフィルムも薬品も印画紙も値上がりし、札幌にたくさんあった写真屋さんも多くが廃業。皆さんデジタルに移行したようです。母校の写真部のことは今はよくわかりませんが、おそらくデジカメで撮っていると思われます。時代が変わったとはいっても、寂しいとは思います。しかし、まだフィルムが売っていますので、できるだけフィルムで撮り続けたいですね。




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