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【鑑賞ノート】東福寺展が予想外におもしろかった【メモ多め】

現在、京都国立博物館で開催中の東福寺展。
ひまつぶしに足を運んだのですが、非常におもしろかった!
会期はまもなく終了しますが、その前にすこしだけ感想を残しておきたいとおもいます。

京都の会期は10/7~12/3。
東京国立博物館での展示から約半年の期間を経て、東福寺のある京都でも開催されました。



公式サイト


きっかけ

Q. 東福寺に特別な興味があったの?
ない!! 東福寺が臨済宗なのも知らなかった。紅葉が有名なのと、お庭が特徴的だなくらい。
「通天橋とおった気がするけど方丈はみてないような?(←泉涌寺とごっちゃになってる)」「最寄り駅らへんの踏切がめんどくさい(京阪とJRが通ってるので)」

Q. なぜ行こうと思ったの?
・月曜ではない平日に休みができたのでどっか行きたい!
・せっかくなので知的好奇心を満たしたい
・久しく国立博物館に行っていない
・家からのアクセスが抜群によく、歩いて行ける
・駅にポスターが貼ってあり、そのポスターが豪華だったから…

ということで11/22の9:30頃に博物館を訪れ、じっくり見てきました。
平日はステッカーもらえるらしい。(11/28で終了したそうです)

感想

「すごい資料がたくさんある!!」「この展示品はすごかった!!」というよりも、全体を通して師匠と弟子のつながりを感じた展示だった。後継者が師匠の残したものを脈々と受け継いでいった結果いまの東福寺(禅宗/臨済宗)があり今回の特別展が開催されたという人の縁をあらためて感じた。
火事で燃えたり船がしずんだり権力争いに巻き込まれたり、憂き目にあったことも数知れないだろうに、肖像画や遺言、目録、地図、彫刻などこれだけの数の宝物が残っていて。

データベースについて少し勉強したからか、目録作成および展示品一覧の作成時の苦労や、博物館の保存・研究・展示の意義に思いをはせることも。

展示内容

第1章 東福寺の創建と円爾 1ー45(作品の通し番号)
第2章 聖一派の形成と展開 46ー89
第3章 伝説の絵仏師・明兆 90-113
第4章 禅宗文化と海外交流 114-173
第5章 巨大伽藍と仏教彫刻 174-207

出品一覧・展示替予定表より

展示は3階から1階まで。
第1章で東福寺の縁起、2章で系譜をみせ、3章で絵画を(五百羅漢など)、
4章では東福寺から世界を広げて禅宗文化と海外交流を、5章では仏教彫刻という順に、東福寺の人の流れ→宝物→対外交流→寺院内部といった流れで、情報を整理しながら館内をみてまわることができた。

もし自分が企画・構成担当だったら?
「禅とは何か、の話から入るかな? でもテーマが広がってしまうし資料を展示するスペースも減ってしまう……「「禅とは?」→東福寺」じゃなくて今回のようにしょっぱなから「東福寺!」がやっぱりすっきりしていていいのかな。」
と、情報の取捨選択について考えながら見るのも楽しかったです。
展示資料についても
「これはもともと展示の骨子にあった資料なのか、流れを理解するために置かれているものなのか、数合わせなのか(←資料の持ち主からしたら失礼な言い方ではあるが)」を類推するのも醍醐味。
そう考えると前期も行ったらよかったなー。東京展でしか見れないものもあり、展示資料を網羅できたらまた面白かろう。

グッズ販売の虎Tシャツ……京都展限定で黄色が発売されているらしく……

東京会場で販売したグレーに加え、京都会場ではイエローが仲間入り! 関西といえば、必然の配色かもしれません。
*S、M、Lサイズ展開

https://tofukuji2023.jp/goods.html

グッズ担当の人楽しかっただろうな。牛のグッズもでないかな

印象に残った展示品

・五百羅漢図
 アフレコ4コマ漫画が資料の横にあり、経典のしまい方とか耳掃除のくだりはいい意味でくだらないというか、親しみやすくわかりやすかった。
 (ノリがちょっと独特……『聖☆おにいさん』みたいな感じ) 
・伏見上皇の書状
 字そんなにきれいじゃないのね。
・僧像
 ひげはやしてたり、目が悪くて左目の横にいぼがある像があり、写実性が面白いなあと思っていたら説明文に「この特徴はおそらく○○さんですね」って書かれていた。身体的特徴で名前がわかるの自分だったら恥ずかしいかもしれない。お軸になっている肖像画も写実的にかかれているので、性質?
・肖像画
 靴ぬいで椅子に座ってるのじわじわくる
・與地図?伽藍図?
 筆致がゆるくて人間や魚がぽやんとしてておもしろい
・十六羅漢図
 目があう……なんかカウボーイビバップに出てきそう

鑑賞時メモ

・師匠と弟子の関係が脈々と受け継がれていってる(寺を開山して東福寺にもどってくる)
・免許皆伝で師匠の肖像画プレゼントなんおもろい。
・目録(データベース)がたくさんあっていつの時代も目録は大事………
・臨終の書かいて!って請われるのおもしろいけどそういう文化なんだろうな
・東福寺は禅だけでなく、顕教、密教の教義も兼修する道場
・肖像画、やっぱ仏具だから真行草の真で表装されてるんだな……
・血脈図、像(軸装)、遺偈、印信の重要度の高いこと(正当性を示す)
・袈裟→師からの嗣法の証

人の流れ
無準師範(中国南宋・臨済宗)
1. 円爾(=聖一国師)南宋で修行して九州に帰った後京都で東福寺を開く
2. 東山湛照
3. 無関普門→南禅寺つくった。ようできた弟子。大明国師
4. 白雲恵暁 南宋留学
5. 虎関師錬 虎かいたひと

東福寺:京都五山の第4位 ※京都五山:室町幕府?からみた重要度
岐陽方秀←東福寺の住職。世阿弥が私淑してた

中国禅宗の祖:達磨
臨済宗
・日本における臨済宗の開祖:栄西(建仁寺の開祖)1141-1215
・日本仏教の禅宗(臨済宗・曹洞宗・日本達磨宗・黄檗宗・普化宗)の一つ。同じ禅宗の曹洞宗が地方豪族や一般民衆に広まったのに対し、鎌倉幕府、室町幕府という時の武家政権との結び付きが強かった。
・京都五山、鎌倉五山のどちらも全て臨済宗の寺院で占められているほか、室町文化の形成にも多大な影響を与えた(WikiPedia)
法嗣という師匠から弟子へと悟りの伝達が続き現在に至る。

※日本における曹洞宗の開祖:道元(若いとき建仁寺で修行、『正法眼蔵』の著者)1200-1253

・三蔵法師→仏教の経蔵・律蔵・論蔵の三蔵に精通した僧侶(法師)のこと。また転じて訳経僧を指していうようになった。
※展示資料に名前があり、実在の人物なんだ!?って気になって調べた。

拝観時わからんかった単語メモ

【揮毫】きごう
[名](スル)《「揮」はふるう、「毫」は筆の意》毛筆で文字や絵をかくこと。特に、知名人が頼まれて書をかくこと。「色紙しきしに揮毫する」

【遺偈】ゆいげ
禅僧が末期まつごに臨んで門弟や後世のためにのこす偈。 ※偈《〈梵〉gāthāの音写。偈佗げだ・伽陀かだとも音写。句・頌じゅ・諷頌ふじゅなどと訳す》仏語。経典中で、詩句の形式をとり、教理や仏・菩薩ぼさつをほめたたえた言葉。4字、5字または7字をもって1句とし、4句から成るものが多い。頌。おばあちゃんの家(浄土真宗)では法事のときに正信偈を唱えます。それか。

【蓋然性】がいぜんせい
ある事柄が起こる確実性や、ある事柄が真実として認められる確実性の度合い。確からしさ。これを数量化したものが確率。「蓋然性の乏しい推測」[類語]可能性・プロバビリティー・蓋然的・公算・確率

【頂相】ちょうそう・ちんそう
《「ちんそう」とも。「ちん(頂)」は唐音》禅宗の高僧の肖像。画像は写実性が要求され、師がみずからの頂相画に賛をつけて弟子に与え伝法の証あかしとした。彫像で表した頂相彫刻もある。中国宋代から隆盛をみ、日本では鎌倉時代にすぐれた作品が多い。ちょうそう。

【蝦蟇鉄拐】がまてっかい
蝦蟇仙人と鉄拐仙人の2人を主題にした中国道釈(どうしゃく)人物画の画題。蝦蟇仙人は劉海蟾(りゅうかいせん)といい、中国渤海(ぼっかい)の人。金王朝に仕えて大臣となったが、のち野に下り西安(せいあん)終南山にこもって仙術を学んだ。鉄拐仙人は姓を李(り)といい、若いとき道術を得た。いずれも道教に関係ある人物であるが、日本には室町時代初期に中国から請来(しょうらい)された元代の画家顔輝(がんき)の筆になる絹本着色の二幅の作品が京都知恩寺に所蔵され、唯一の確実な顔輝画として知られている。この図は、蝦蟇を使って妖術(ようじゅつ)を行ったという蝦蟇仙人と、自分の姿を空中に吐き出すという鉄拐仙人をそれぞれ各幅に描いたもので、このような奇怪な道教的仙人図は元代の趣向でもあった。日本では顔輝画の模本として画僧明兆(みんちょう)の筆になるもののほか、雪村の作品も有名である。

【羅漢】らかん
サンスクリットarhatの音写〈阿羅漢〉の略称。応供(おうぐ)とも。煩悩をすべて断滅して最高の境地に達した人。狭義には小乗の悟りを得た最高の聖者をさし,その修行の段階を阿羅漢向,到達した境を阿羅漢果という。小乗仏教では仏弟子の最高位とされるが,大乗仏教では衆生の救済を目ざす菩薩の下におかれる。

【輿地図】よちず
〘名〙 輿地の平面図。世界地図。また、地図。〔史記‐三王世家〕

【将来品】しょうらいひん
引き連れてくること。特に、外国など他の土地から持ってくること。「中国から将来した書物」

【印信】 いんじん
密教で、師が弟子に秘法を伝授した証拠として授与する文書。奥義伝授の証明書。

【法嗣】 はっす
〘名〙 仏語。師から仏法の奥義を伝えられた弟子。師の法統を受けついだもの。禅家でいう。嗣法。

【諡号】 しごう
貴人・僧侶などに、その死後、生前の行いを尊んで贈る名。贈り名。

【開山】 かいさん
寺院を開設した僧。もとは人跡未踏の山を開き、寺を建てた僧をさした。
のちには山に限らず、新しく寺を創建した僧も開山とよぶ。
開山には実際に寺を開いた創建開山と、高徳のゆえ請われてなる勧請開山とがある。
また一宗を開いた人(開祖)をよぶこともある。

【入定】にゅうじょう
[名](スル)仏語。
1 禅定ぜんじょうにはいること。精神を統一して煩悩を去り、無我の境地にはいること。⇔出定。
2 高僧が死ぬこと。入滅。

【威儀具】いぎぐ
威儀(身だしなみ)を調える法具。払子(ほっす)など。


楽しかったなあ~。実際に館内にいるときも、後から気になったことを調べているときも。
2024年は国立博物館メンバーズパス買いたい。

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