J-R&Bオタクが選ぶ2018年の名作アルバム50選(全レビュー)

あけましておめでとうございます!ケンイチです。昨年も色々とお世話になりまして、感謝感激でした。

今日は、毎年恒例の「個人的名作をカウントダウンしてみよう」のコーナーをお届けします。いつもは楽曲とアルバムの両方をレビューありで総括しているのですが、今年はアルバムオンリーで(お気に入り楽曲の方は追ってプレイリストで公開予定です)。

プレイリストの普及によって、音楽がますます自分の意のままに聴けるようになった反面、アルバムという形態の有り難みが減退しているような気がしなくもなかった2018年。そのアンチテーゼ、とまで言い切ってしまうと大げさですが、アルバムを介さなければ味わえない妙もあるし、音楽好きならその辺のアーティストの意図を無下にしないようにしたい、という自戒も込めまして、あえてアルバムのみをじっくりと紹介してみることにしました。

各作品ごとにレビューをしています。割と手間暇かけて書いたので、ぜひチェックしていってくださいませませ!

【2018年 アルバムTOP50】
*5曲以上収録のEPはアルバム換算

No.50 MIE『GALAXY』
関東のクラブシーンから快作が登場。オールドスクールなムード満点の「Addiciton To Xxxxx」を経て、トラップを取り入れた「Unknown」、噛みつくようなボーカルワークにSOULHEADの影を見た「High Life」など、やんちゃなアティテュードに裏打ちされた濃厚なヒップホップソウルの数々に心クラクラ。

No.49 ディープファン君『PRIVATE BLUE』
奇抜なブランディングでも注目を集めつつある彼らは、この1stミニアルバムで遊び心に富んだ実力を確たるものに。とりわけ、甘美なリフレインが心地いい「All My Love」は、ORIGINAL LOVE、FLYING KIDSあたりの懐かしきファンクバンドを思わせる渾身の一曲。

No.48 古内東子『After The Rain』
昨年デビュー25周年を迎えた恋愛の教祖、6年ぶりとなるオリジナル作。サウンドには90年代に彼女の名曲を数多く手がけた小松秀行やIncognitoのBlueyら、都会派マエストロが集結。うっとりするような恋愛劇も健在で、リードの「Enough is Enough」や「Answer in the Seashell」あたりの恋に恋い焦がれる女性像はさすがの一言。

No.47 カコイミク『Asleep』
有機的なギター演奏と、ややシニカルに聞こえるボーカルの好コントラストが魅力のポップアルバム。ネオソウル〜ロッキンソウル〜ファンクと刺激的な横断を見せる中、打ち込みのチキチキビートを敷いた「sing for」がひときわ存在感を放ちます。

No.46 UKO『ONE LOVE』
デビュー作をリリースした頃から注目しているUKO。5曲入りのEPである本作をもって、その豊かなメロディセンスと自由度の高い音楽性をはっきりと再確認。BASIとのコラボチューン「Magic」、LUCKY TAPESのKai Takahashiプロデュースのブギーポップ「lure」など、2018年の名仕事人も多数参加。

No.45 BENI『CINEMATIC』
EDM、ブギー通過後の「現代のR&B潮流」を艶っぽく表現し、リスナーからの再評価を勝ち取った節目作。お家芸である胸キュンポップやバラードも満遍なく収録していますが、個人的なオススメはMichael Kanekoとのデュエット「No one else like you」。プリミティブなアレンジのもと、両者の美声が爽やかな融合を果たしています。

No.44 Umemura Ryo『Room』
知る人ぞ知る男性R&Bシンガー、決意の処女作。歌声の本質こそまだマチュアな域には達していないものの、Brian McKnightあたりを彷彿とさせる深遠なメロウジャムや盟友の女性シンガー・未来とのデュエットなど、やらんとしていることはとても頼もしい。バンド映えしそうミドル〜スロウが主軸なのも好印象。

No.43 mabanua『Blurred』
二名のフィーチャリング・ボーカル(Chara、Achico)がもたらした絶大な安心感は言わずもがな、その他の楽曲も柔軟なクリエイターらしいユーモアに溢れており、オルタナティブ・ポップのさらに先を行く良い意味でのカオス感。自身初となった日本語詞とサウンドの調和もお見事。

No.42 SPiCYSOL『Mellow Yellow』
AOR特有の穏やかなサウンド展開に胸ときめく表題曲をはじめ、涼しい夏がそこかしこで産声をあげた2ndフル作。聴かせる要素も一層加速度を増し、ジャジーな演奏が牽引する「SIST」などバンドの底力を感じさせる名曲もふんだんに。

No.41 小袋成彬『分離派の夏』
J-R&Bファンの心を掴んだ「Lonely One」も収録。日本語の風流を重んじた詞世界、繊細な押韻、ジャンルを意図的に取り払った色彩豊かなサウンドスケープなど、プロデューサーである宇多田ヒカルとの共通項も携えながら、ことごとく芸術志向な個性を爆発させる驚異の一作。白眉は、低音ボイスとエレピが穏やかに薫る「GOODBOY」など。

No.40 土岐麻子『SAFARI』
2018年、いや、長きに渡って正統派シティポップの本丸を担う彼女。野性的なタイトルが冠された本作も例によって素晴らしく、ラテンフレイヴァー漂う大橋トリオとの共演作「CAN’T STOP」、十八番と言える都会派キラキラチューン「FANTASY」、クラシカルなストリングスとの合わせ技で癒しへと誘う「mellow yellow」と、多幸感に満ちた名曲のオンパレード。

No.39 w-inds.『100』
ダンスミュージックの可能性をとことん追求した前作の系譜でありながら、今回はポップ・フィールドを手広くカバーしているため、相対的に落ち着いた仕上がりに。より鋭く、なおもコンテンポラリーに繰り広げられる慶太のクリエイティビティたるや、天井知らず。メロウなギター牽引の「Bring back the summer」をはじめ、ノスタルジーな作風も本作の肝に。

No.38 星野源『POP VIRUS』
3年ぶりのニューアルバムは、メジャーフィールドで活躍する星野源の燦然たるポピュラリティが炸裂。「恋」「Family Song」「アイデア」といった大ヒットシングルを収録していながら、どの曲も全く聴き劣りせず、まさしく粒揃いと言っていい内容。竹本健一を彷彿とさせる「Present」や哀愁たっぷりの三拍子ミドル「Dead Leaf」といった名曲が織りなす中盤が特に絶品。

No.37 ものんくる『RELOADING CITY』
ポルノグラフィティのカバー「アポロ」でのグルーヴィーな解釈によって一気に引き込まれたわけですが、アルバムそのものも極めて芸達者な作法で楽しませてくれます。吉田沙良の軽やかなボーカルが魅せるバラード「魔法がとけるなら」、レリジョンな風情を閉じ込めたどソウル「HOT CV」など、ジャズユニットという形態に囚われないアプローチが魅力的。

No.36 Omoinotake『Street Light』
ブラックミュージックが根底に流れる3ピースバンドーーという紹介文句こそ、今や有り触れたものとして認識されることでしょう。が、AORの清々しいドライブ感をひっさげた藤井レオのボーカルを吟味すれば、彼らがいわゆる「黒さ」だけを強調しない1ランク上のアーティストであることが自明に。「Bitter Sweet」の複雑なメロディラインがツボ。

No.35 山下智久『UNLEASHED』
STYやUTA、さらには海外クリエイターたちを積極的に起用し、なんともソリッドなダンス・ポップ作に。シングルを一切含んでいない点からも、彼が誇り高く本作と向き合っていたことが容易に推し量れます。ファルセットが飛び交う三浦大知「Look what you did」系譜のダンサー「秒針」(サウンドはもちろんUTA)が特にお気に入り。

No.34 CICADA『ESCAPE』
メロウな音像と女性のか弱き心情描写を愛するCICADA。この新作では嬉しいことに、R&B/ソウルのベーシックな流儀と真正面から向き合っています。ボーカルエフェクトの高揚感を味方につけたハイブリッドなブギー「escape」以外は、どっぷり浸れるミドル・スロウばかり。大切な夜のお供に。

No.33 荒田 洸『Persona.』
WONKのリーダー兼ドラマーの1stソロ作。正直に申し上げて、WONKそのものは全編英語ということもあって今もなお敬遠気味なのですが、彼に関しては先行シングルの「Apartment」が筆舌に尽くし難いJ-R&Bの傑作だったので、このEPへもスムーズに没入することが出来ました。アンビエントを基調にした、スウィートで儚い世界観が美味。

No.32 MALIYA『ego』
RIRIやeillと並ぶ新時代のR&Bディーヴァの筆頭株。エモーショナルな節回しがセクシーに旋律を縫う「Wisp of Smoke」など、内容の大半が淑やかさ靡くミドル。STUTS作の「Breakfast in Bed」はもはや2018年のアンセムと言って良いでしょう。歌良し、声良しなので、ヒットさえ生まれればブレイクも時間の問題。

No.31 清水翔太『WHITE』
RIRIにV6にと、外部アーティストとのセッションで活動の幅を広げるシミショーの通算8枚目。『PROUD』(6thアルバム)以降、世間に阿ることなく独自の音を追い求めてきた彼の集大成とも言える内容で、現行ヒップホップから着想を得たミドル〜スロウ中心で攻めた構成は瞠目すべきポイント。楽曲の切り口がパターン化してきているのはちょっとした懸念材料ですが、その辺の振り幅が今後、外仕事で発揮されていくことを願ってます。とてもかくても、彼は天才なので。

No.30 showmore『overnight』
ボーカルの根津まなみとキーボードの井上惇志からなるポップユニット。いかにもライブ映えしそうな立体感のあるサウンドを得意とし、その独特な歌声も相まって中毒になること請け合い。退廃的な世界観の中に情熱が見え隠れする「rinse in shampoo」は、耳の肥えた好事家にも薦められる孤高のブルージー・トラック。

No.29 Beverly『24』
ポストMISIAとも形容したい魅惑のハイトーンボイスを持つBeverly。
往年のディスコ・ミュージックをベースにした耳馴染みの良いメロディが主軸を担う本作は、バリエーション豊かだからこそ、彼女の人間離れした技量をあらゆる角度から楽しめる逸品に。「JUMP!」に代表されるちょっぴり懐かしいR&B/ポップスの数々にぜひ目配りを。

No.28 X4『XXXX』
作品を重ねるごとにR&Bへの意識が高まっているダンスボーカルグループの星、X4の3rdフルアルバム。トロピカルハウス風情の哀愁トラック「Fillin’ me with your love」、バーレスク調の「Phantom Thief X」など、”外しのアプローチ”も絶妙で感服。今年リリースされる松下優也の新作にも期待が高まります。

No.27 宇多田ヒカル『初恋』
重苦しくさえある死生観をモチーフにした『Fantôme』を経て、生きる上での喜怒哀楽を全て受け止めんとする希望ある姿勢を感じさせた通算7枚目。「残り香」や「夕凪」で壮大な人生観を静かに結論づけつつ、オーソドックスな手法へのこだわりも忘れない隙のなさ。昨年開催されたライブも、実に奥ゆかしい余韻が残るものでした。

No.26 Kick a Show『The Twelve Love』
数々の作品への客演で昨年、その名を轟かせた彼が送るボリューム満点の1st。癖になるフレーズでおなじみの「Cleopatra etc. (feat. ZEN-LA-ROCK & G.RINA)」、テンポの良いレゲエノリが印象に残る情事系トラック「One Night Stand」など、断じて気張らないソングフロウが、多様に移ろいを見せる各楽曲と見事にフィット。こういう自由人がもっとシーンに出てきてほしいと願う今日この頃。

No.25 LUCKY TAPES『dressing』
夢心地のキラートラック「22」、ジャジーなピアノラインを配した「COS feat. BASI」、大袈裟すぎるコーラスワークが胸くすぐる「Joy」など、テン年代シティポップの代名詞を地で行く軽やかな名盤。Charaも参加したことで、史上もっとも彩り豊かな作品になりました。

No.24 ZIN『BHOYZ』
彼もまた、一言では語り尽くせぬ独創的な音楽性を構築し続けております、ZIN。一時はオルタナ路線へと大きく舵を切っていた彼ですが、本作では敬愛する90’s R&Bやネオソウル特有の軽妙さが色濃く見て取れ、ある種の原点回帰を感じずにいられません。TOKYO CRITTERSでの溌剌としたアクションも少なからずプラスに作用しているのでしょう。

No.23 EVO+『Methselah』
米津玄師らと同じく、ニコニコ動画をルーツに持つEVO+。卓越した歌唱力は1stアルバムでも遺憾無く発揮されていましたが、本作ではさらにジャンルのレンジを広げ、R&B〜ヒップホップ〜ジャズと縦横無尽。コアなJ-R&Bリスナーとしては、Jinmenusagiとの「Get Up」、そして為岡そのみライクな珠玉のR&Bポップ「Night Dance」の2曲はマスト。

No.22 Wabi_Sabi『TRUST』
日本語で消化した独自のソウルミュージック=Soul n’ Popを提唱する2人組。ノーマークでしたがこれは良い。主軸を担うのは、Bruno Marsと久保田利伸を融合させたようなディスコ・ファンクやスロウ・ジャム。他方、UKガラージが意気揚々と飛び出すなど、ソウルの形式に縛られないカラフルな構成はなるほどポップ。アベヒロノリの滑らかなボーカル捌きがだめ押しとばかりに華を添えます。

No.21 CIMBA『遊んでるLIFE』
近況や風刺を交えた巧みな言葉回しにニンマリする1曲目から、彼に起きた目覚ましいアップデートをしかと感知。その後も、パリピ精神冴え渡る「本気じゃない」や「NANDEMOARI」、トラップR&Bの可能性を開花させた「HANGOVER」など、クラブシンガーとしての現在の生き様を鮮やかにパッケージ。前作から5年。ブランクなんて初めからなかったんだ。

No.20 Chara『Baby Bump』
ここまでダンサブルでソウルフルな路線を謳歌したのはいつぶりのことでしょうか。R&Bとディスコの二本軸で送るキュートなサウンドが、ハイトーンを効果的に用いたとびきりのボーカルが、本作を何層にも渡って司っていてとにかくかっこいい!早い話が、前半だけでお腹いっぱいになります。幸せ。

No.19 THREE1989『JET BLUE』
『Time Line』で彗星の如く現れた”同年齢3人組”の2nd。湿っぽいシンセが活躍するナイスミドル「Ram Coke」でセクシーな雰囲気に寄せてきたかと思えば、NJS風味の「Jungle Love」を繰り出したりと、ディスコ趣味を唱える昨今のアーティスト勢の中でも群を抜いたセンスで魅せてくれます。

No.18 Mime『Capricious』
幻想的なサウンド・メイキングでリゾートの到来を告げる「Driftin’」でゴージャスに幕開け。その後も、音色とボーカルが享楽的に揺れるラブソング「MK1」、Spotifyでも好成績を残した悠然たるミドル「Let Your Love Grow」など、シティポップの風を巧く取り込んだシャレオツなR&Bが展開。女性シンガー主導のバンドの中ではとりわけ好きな存在かな。

No.17 ゴスペラーズ『What The World Needs Now』
本作のトピックは何と言っても、彼らの名曲「永遠(とわ)に」も手がけたBryan-Michael CoxとPatrick “J. Que” Smithの起用でしょう。「ヒカリ」「In This Room」といったシングル曲をはじめとした関与曲はテイストこそ違えど、ゴスペラーズのR&Bに対する情熱をフルに汲み取れるナンバーばかりで胸が熱くなります。若手全盛の今だからこそ、ベテランの底力にも耳を傾けるべき。

No.16 冨田ラボ『M-P-C "Mentality, Physicality, Computer”』
日本を代表するポップ・マエストロの新人フィーチャーアルバム第二弾(という位置付けで差し支えないでしょう)。今回招かれたのは、椎名林檎のサポートメンバーとしてもお馴染みの浮雲 aka 長岡亮介、chelmicoにRyofu、WONKのKento NAGATSUKAら。長岡客演の「パスワード」がとりわけ大好きだけど、アルバム全編があまりに多彩で深淵なので、ついつい通しで聴いてしまう。

No.15 sooogood!『sooogood!』
シンガーソングライター・シミズコウヘイのソロプロジェクト。そのアーティスト名に恥じず音楽性はいたって爽快。デビュー当初のONIGAWARAよろしくコミカルなセンスも持ち合わせ、聴く人を選ばないアプローチで楽しませてくれます。藤井隆がラップで参加した「ドラマチックピンクビキニ」、メロウなシンセが頭をめぐる「マハ×ラジャ feat. アリスムカイデ」など、客演作がどれも秀逸。

No.14 RIRI『NEO』
ワールドスタンダードという評価基準で言えば、今回レコメンドしている作品の中でぶっちぎりでNo.1。前作収録の「That’s My Baby」の延長線上にある強気女子ソング「HONEY」をはじめ、アリアナもリアーナも目じゃないクリエイティブなポップ・ワールドが炸裂。時代の先っちょを全力で目指しにかかっているため、おいそれとR&Bとカテゴライズしてしまうのはもはやナンセンスか。

No.13 LEYONA『SMMR』
「お、久々に見る名前だな」などと侮るべからず。トータルプロデュースは、今を時めくあのTAAR。彼にかかればR&Bであれ何であれ、すこぶるスタイリッシュに仕上がるから凄い。低音でじわじわと迫る「D.U.C.K」あたりは、元よりソウルに造詣の深いLEYONAならではのテクニックで、思わず唸りました。

No.12 向井太一『PURE』
初めて聴いた時「何なんだ、この劇的な成長ぶりは」と驚いた驚いた。☆Taku TakahashiやKREVAらポップフィールドの第一人者が終結した祝賀パーティーさながらの様相の中、右へ左へと的確に、そしてオリジナルに光り輝く主役・向井太一のたくましさよ。タイトル曲「Pure」に顕著な独自のリリシズムもいっそう洗練され、着々と円熟した魅力を体得しております。天晴!

No.11 當山みれい『Answer』
タイトル通り、アンサーソングの宝庫。ひと昔前に流行った際は、その大半が安直な再構築で随分と食傷になったものですが、子供とも大人とも言える繊細な境遇に裏打ちされた芳醇な切なさが、彼女と彼女の作品にはある。特にUVERworldへの回答「キミの好きなうた」は、その悠然としたサウンド解釈も相まって秀逸というほかなし。

いよいよTOP10の作品を発表!

No.10 笠原瑠斗『街を抜け出して』
R&B/ソウルの古典をまっすぐ見据えたオーセンティックな佳曲集。十分に鍛え上げられたソウルフルな歌唱は元より、「SNS」のような生々しいメッセージ性も疎かにしていないあたり、レペゼン北海道のガッツが窺えます。ただ、今の時代に作品を聴く手段がCDオンリーというのはいささか頂けない、というかもったいない。せっかくの品質なのだし、今後は配信リリースで宣伝も兼ねつつ全国へアピールしていくべき。

No.9 eill『MAKUAKE』
ENNEとして活動後、昨年再始動を遂げた女性シンガーが、同じく2018年に送り出したどデカイ処女作。まさしくスタート地点にふさわしいアップテンポのディスコチューン「MAKUAKE」、ハスキーボイスがポップに弾ける「FUTURE WAVE」といったポップ担当から、横揺れ必至のトラップR&B「メタモルフォーゼパラマジーノ」などの聴かせるスロウまで、全方位へ愛らしい世界をアウトプットする会心の出来。

No.8 illmore『ivy』
大分を拠点に活動するビートメイカーの1stアルバム。過去の関与アーティストからどっぷりヒップホップな作品かと思いきや、THREE1989のSHOHEYやおかもとえみ、kiki vivi lilyなど歌える猛者たちも多数フィーチャーされ、メロウでクラシカルなトラックが十二分に生かされた一作に。特に、縁の深いKOJOEとの「Bullet Proof」が開けてびっくりの名歌モノになってます。

No.7 SUKISHA『Segment of Cakes』
昨年開催された「Feat. ソニーミュージックオーディション」のファイナリストに挙がった実績を持つソロアーティスト、SUKISHA。歌、作詞、作曲、果ては演奏やプログラミングまで一手に引き受けるスタイルはtofubeatsを思わせますが、話題を呼んだ「4分半のマジック」に見受けられるように、彼の音楽は良い意味でアーシー寄り。歌声なども総合して言うなれば、ディスコを操る星野源。外連味が加速する次作「Junk Food Society」と合わせて、その未完成のチャームを味わうべし。

No.6 iri『Juice』
昨年またしても躍進を果たし、誰も追いつけない次元を独走しつつあるiri。その大きな象徴とも言えるのがこの2ndアルバム。名うてのプロデューサーたちと仲睦まじく化学反応を起こし、アップもスロウも手中に収める若き女帝の凄みを堪能することが出来ます。おすすめは、小袋成彬ことOBKRの切迫感溢れるミドルアップ「Corner」、WONKが新境地を切り開いたソウル・バラッド「Dramatic Love」、滑らかなソングフロウが特徴の「fruits(midnight)」など。

No.5 Ymagik『Blind』
1曲目から濃密なスロウジャムを繰り広げたのは、現行クラブR&Bの旗手・Ymagik。海外で得た経験も肥やしになっているのでしょう、持ち前のゾクゾクするようなメロディセンスはいっそうスリリングに、そして何よりプログラミングが完全にメインストリームのそれで、逃げない・媚びない本物のR&Bを実現。全編に渡って日本語である点も含めて、J-R&Bの希望と呼べる作品。

No.4 RIRI『RIRI』
昨年多くのJ-R&Bファンを虜にした反則級胸キュンR&B「That’s My Baby」収録。既発曲の割合が多いのでやむなくこの順位ですが、たおやかなる歌声に導かれるかのようにたくさんリピートしました。初の本格EDM「Keep Up」も成功の域だし、「Crush on You」のドカドカ突き進むアプローチも良し。まあ結局、最後は「That’s〜」に戻るんですけどね。

No.3 三浦大知『球体』
構想から完成までに数年を要したというこの大作。三浦大知の底知れないエンターテインメント・スキルと、枯れることのないNao’ymtのエクスペリメンタルな意匠。双方が双方を尊重し、重厚にストーリーを作り上げた結果、極めてドラマティックで唯一無二たるコンセプト作に。楽曲から楽曲への橋渡しも見事というほかなく、まさに骨の髄までしゃぶり尽くす価値のあるアルバムNo,.1でした。意味を理解しようとするのではなく感じる、という行為は本作のためにフル活用しましょう。

No.2 Hanah Spring『Dreamin’』
改名後初となったアルバム『Handmade Soul』ではルーツミュージックであるジャズに専心。では本作はと言うと、DJ HAZIME、佐々木潤、さらにMISIAやTIGERらレーベルメイトも巻き込み、淀みのないソウル・ミュージックをプレイ。10年前のデビュー時から追いかけている身としては「これぞHanah!」と声高にならずにはいられませんでした。序盤の「Dreamin’」「Diana」のソウル・コンボは言わずもがな最高だけど、「ほほにキスして」「君のいる場所」と続く終盤のスロウ・タイムも負けず劣らずの素晴らしさ。

No.1 SIRUP『SIRUP EP2』
2018年文句なしの1位は、KYOtaroあらためてSIRUPの2作目となるEP。先行シングルの「LOOP」と「Do Well」が、対照的でありながらSIRUPの妙味を凝縮したような仕上がりだったので、すかさず良い流れをキャッチしたものですが、正直想像以上でした、このEP。バウンシーなトラックで送るSIRUPお得意のチアアップ・ソング「Maybe」、静と動の切ないスイッチングで引き込む「Rain」、パワフルな歌唱で勝負した「One Day」など、どこを取っても緻密に計算されたボーカルとサウンドの嵐、嵐。改名後、目まぐるしく邁進するSIRUPですが、そんな状況下でも彼が丁寧に音楽を紡いでいることを、本作は超然と教えてくれます。おめでとう!


ということで、私ケンイチの2018年ベストアルバムはSIRUPの『SIRUP EP 2』でした。かなりボリューミーな内容でしたが、ここまで読んで頂きありがとうございます!久々のがっつりレビューでしたが、名作を振り返る良い機会にもなったし、とても楽しかったです!皆さんの気になる一作はありましたか。いかがでしょうか。

今年も早速、名盤になるであろう作品のアナウンスが聞こえてきているので、引き続きチェックしていきたいと思います。R&Bに限らず良質な歌モノが生まれる限り、我がアンテナは永遠です!

では最後に、上位20作品のおさらいでお別れです。今年は自分にとってもさらなる転機の年になりそうなので、今から楽しみ!皆さま、あらためましてどうぞよろしくお願いいたします!

J-R&Bオタクが選ぶ2018年のアルバムTOP20

No.1 SIRUP『SIRUP EP2』
No.2 Hanah Spring『Dreamin’』
No.3 三浦大知『球体』
No.4 RIRI『RIRI』
No.5 Ymagik『Blind』
No.6 iri『Juice』
No.7 SUKISHA『Segment of Cakes』
No.8 illmore『ivy』
No.9 eill『MAKUAKE』
No.10 笠原瑠斗『街を抜け出して』
No.11 當山みれい『Answer』
No.12 向井太一『PURE』
No.13 LEYONA『SMMR』
No.14 RIRI『NEO』
No.15 sooogood!『sooogood!』
No.16 冨田ラボ『M-P-C "Mentality, Physicality, Computer”』
No.17 ゴスペラーズ『What The World Needs Now』
No.18 Mime『Capricious』
No.19 THREE1989『JET BLUE』
No.20 Chara『Baby Bump』

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

82

ケンイチ

#音楽 記事まとめ

楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
4つのマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。