学会スライドを考える その1

学会スライドといえば、一昔前まではポジフィルムで作成したものを映写機を使って映し出す方法が一般的であった。そのため、発表で使用できるスライドの枚数にも制限があったため、1枚のスライドに多くの情報をつめこむ必要があった。

例えば、患者プロフィールのスライドで年齢・性別から現病歴まで提示しているのは、そのためである。もちろん、情報量が多くなるほど文字のサイズは小さくせざるを得ず、枚数制限のためにスライドの見やすさは犠牲にされていたのである。

その後、液晶プロジェクターが普及し、学会発表もいつしかPCを使ったプレゼンが当たり前となった。それに伴い、スライドの枚数制限もなくなったはずだが、どの学会へ出席しても、なぜか目にするのは昔ながらのスライドばかりである。

スライドに情報をつめこむことの弊害は、文字が小さくなることだけではない。スライドの情報量が多くなるほど重要な情報は埋もれてしまうため、演者は必死にレーザーポインターを動かすようになるのである。

ポインターの激しい動きが気になって、肝心の内容が頭に入ってこなかったという経験はないだろうか。1枚あたりの情報を制限して大きな文字で表示すれば、会場の後ろからでも文字が読めるようになり、ポインターさえ必要なくなるであろう。

せっかくPCでプレゼンできるようになったのに、スライドが昔のままでは宝の持ち腐れである。テクノロジーの進歩に合わせてスライドのスタイルを変えてみてはどうだろうか。見せ方を工夫すれば、もっと伝わるスライドになるはずである。