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起業ストーリー

株式会社ビズ・クリエイション 代表取締役 初谷 昌彦

広島市出身。広島市立大学国際学部卒業。岡山県にて広告代理店勤務を経て2008年、株式会社ビズ・クリエイションを創業し代表取締役就任。住宅業界特化広告会社として、県内100社超の住宅会社の販売支援や全国初の期間限定住宅展示場「岡山工務店EXPO」の理事就任。日本の住宅業界における情報インフラを変えたいという想いから2016年、住宅見学マッチングサービス「iemiru」を公開。2017年、住宅業界専用のクラウド予約受付・管理システム「KengakuCloud」をリリース。

縁もゆかりもない岡山県で起業した理由


 
―なぜ、会社をつくろうと思ったのか、起業する前のことからお話を聞ければと思います
 
「会社をつくる」ということは、大学生のときに決めていました、大学3年生〜4年生ぐらいですね。岡山で起業していますが、僕自身広島出身で、大学卒業まで広島で過ごしました。実は岡山には縁もゆかりもありません。
 
―岡山で起業した理由を聞いてもいいですか?
 
どこで起業するか、場所を考えたときに、東京や大阪など都会だと刺激的で楽しいかもしれない。でも、自分の力でやってみたいという強い気持ちがあったので、知っている人が誰もいない、そして都会ではなく田舎でやる、と自分に課していたのです。また、岡山はいわゆる地元の人間以外が商売をするのはすごく難しい地で「岡山で成功すれば全国で通用する」とも聞いたことがあったので。そうした土地柄から自分の力を試す場所として岡山を選びました。本当に知り合いもゼロ、地名も知らないという状態で来ました。そっちの方がロックじゃないですか?(笑)ロックも辺境の地から生まれる、ビートルズ然り。ブルースみたいなジャンルも然り。地方でやっている方が、かっこいいというか、何か新しいものが生まれるのではないかと思っていました。
 

ロックに生きる


 
―ロックがお好きなんですね!初谷さんとロック、何か意外です(笑)
 
完全に自分の趣味趣向ですが(笑)本気でそう考えていたんですよ。大学生のとき音楽人類学を専攻していて、卒論ではロックについて書いたので、それに影響されていたということもありますが。起業も音楽と同じように捉えていたのかもしれません。実際に音楽人類学でサブカルチャーを調べる中でも、本当に面白いものは辺境地から生まれてくる。だから、最初からお客さんがたくさんいてチャンスが転がっている東京も大阪も面白くないし、ミーハーな感じがしていました。そもそも世界も日本も、ほとんどが田舎で一部しか都会ではなくて。人口を合わせたとしても、マジョリティーは都会じゃない。日本では7割ぐらいの人が田舎に住んでいます。だから田舎でやる方が実は市場が大きいのではないかと考えて、田舎でやるということを一つの流れとして、自分を試してみたいという感覚でしたね。
学生時代はバンド活動中、自分達がよく演奏している箱に来る東京や大阪のバンドに対して、チャラチャラしていて都会風吹かしているな、気に食わないなと思っていて(笑)そのときは都会に対してものすごく意識していたのでしょうね。札幌拠点でやっているブルーハーブというヒップホップグループのリリック(歌詞)に「東京に出て音楽なんて古いんだ 地元も仕切らずに何歌う気だ」という部分があって、すごく影響されていたと思います。就職活動でも、先月まで金髪だったやつがいきなり黒髪の真面目な髪型になってスーツを着ているのが気持ち悪かったんですよね、なんか嘘じゃないですかそれって。結局自分は坊主のまま、後に就職することになる会社1社しか受けておらず(笑)受かったからいいものの当時の自分は「自分に正直に生きないと」って、めちゃくちゃ青いことを考えていました。
 

就職する前から心に決めていた「起業」


 
―学生時代から起業を決めていたとのことですが、初めから広告業での起業を考えていましたか?
 
何をするかは全く決めておらず、働く中で見えてくるのではないかと考えて、まずは就職して3年で必ず会社をつくるということを決めました。新卒で広告代理店に就職し、1年3ヶ月程勤めたあと、独立起業を視野に会社経営やお金の流れを学ぶため規模の小さい広告代理店に転職、1年半ほど勤めた後に独立、会社をつくりました。今でも、運用にいくらかかり利益はどれくらいかとか請求に対する厳しさを社員にも意識してもらいながらやっていますが、そのときの影響だと思っています。
 

広告業界を選んだ理由


 
―なぜ、広告代理店に就職をしようと思ったのですか?
 
実は広告業界に興味があったわけでもなく、入社当時は電通も博報堂も知りませんでした。
音楽系のフリーペーパーを発行していた会社に新卒で入社したのですが、広島時代によく通っていた古着屋さんに置いてあって、毎回読んで家に持って帰るくらい好きなフリーペーパーだったので、「新卒募集」を見たときに「これを制作する会社に入れるなら!」と選考を受けました。それまでは正直就職するかどうかも迷っていたくらいでしたが…気に入ったページは切り抜いて部屋の壁に貼るくらいカッコよくて本当に好きなフリーペーパーだったので。それって自分の行動を起こされているものですよね。人に行動を起こさせるものを作れるなら、仕事としてすごく好きなれるかもしれないと思いました。
 
―たまたま出会ったのが広告代理店だったのですね。
 
結局、そのフリーペーパーは東京の会社が作っていて、枠だけ広告会社が埋める、僕が入社した会社は販売会社で制作にはタッチできないというのを入社後に知るんですけどね(笑)営業職として自分が面白いと思えるような仕事が欲しいから、コンビニチェーンの本社に行ってお弁当の提案してみたり・・・当然提案は通らないのですが、すごくチャレンジをしていました。今思い返してもすごく頑張っていたなと思いますね。仕事を面白いと思えたのは、そんなに大きな広告代理店ではなかったので営業担当が全部最初にディレクションをしていく、ある種のプロデュース業だったことです。提案が直にできて、それにお金を払ってくれる人がいて、それを実施するところまで全部ワンストップでできる。デザインだけでなく、例えばCMだったら映像と音楽があるし、ビジュアルも重要。全部ひっくるめてトータルで関わることがすごく面白くて、もしかしたらこの仕事は自分に向いているかもしれないなと思いました。
 

住宅業界に特化するという覚悟


 
―住宅業界に特化した広告代理店という発想がとても面白いなと感じましたが、そこに至るまでの経緯を教えてください。
 
元々は住宅業界に特化していたわけではありません。
住宅業界は岡山に限らず、地方の中ですごく大きな産業です。家を建てる、街をつくる、そして売上も大きい。そのわりに、広告や販売促進のお手伝いをする会社に専業がおらず、すごく雑なやり方をしていると感じていました。業界を深く理解していないので毎回初見のような顔でヒアリングをしていて、広告の適切な型を知らずに、一つと考えているパターンが結構多かったですね。
創業まもなく住宅業界に特化をすることを考えたのは、自分たちのノウハウを絞らないと、難しいと考えたからです。僕は、創業する前から住宅業界に関わり知見をためることができていたので、同じやり方を横に展開をしていけば、それなりの形を作ることができるという仮説の中で横に広げていきました。
住宅業界に特化することを決め、住宅業界の中で自分たちらしいものを突き詰めていった結果、今のサービスの形態が出来上がりました。自分が得た知見を生かせる場所が住宅業界なので、この業界に対してしっかりと支援をしていきたいし、そこで自分たちも成長したいと考えています。
 

思いと想いの媒介者であり続ける


 
―最後に、ビズ・クリエイションという社名の由来をお聞きしてもいいですか?
 
会社をつくるときに広告代理店に対する明確なアンチテーゼみたいなものがありました。その当時、自分が3年間で経験した広告代理店での取り組みでいうと、例えば買い枠というものがあって、それを営業は売らなきゃいけない。この広告枠に広告出してもお客様が求める十分な効果がないのはわかっているのに、それを売ってお金をもらうという感覚でした。今はもう色々と変わってきていますが。
会社名を「ビズ・クリエイション」と決めたのは、お客様のためになるものを、自分たちでつくることを原則として考えたからです。テレビとか新聞など、大きなメディアがつくったルールの中にあるものをしか扱えない状態だと、お客様のためにならない可能性もある。そもそも広告をつくるだけではなく、お客様の役に立つ事業からつくることも必要かもしれないと考え、それをやれる会社にしようと決めました。儲かることをやりたいのではなくて、適切な繋ぎ方ができているかということにこだわりたいので「思いと想いの媒介者であり続ける」と言い続けています。「思いと思い」というのは、売りたい人と買いたい人、その本質を考えることなく、いきなり「どのメディアにしますか」からスタートするのは違いますよね。どんな繋ぎ方が適しているのか、もし今の世の中にないものだったらつくるべきということです。その会社には新聞やテレビなどのメディアは必要ないかもしれないし、この事業であれば直接名刺を渡せば済むかもしれない。だったら渡せば繋がることができる名刺をつくる。ということから考えています。介在する人が儲かるものに誘導することがないようにしたい、今でも「ビズ・クリエイションらしいかどうか」は常に意識していますし自社の大切なルールだと思っています。
 


株式会社ビズ・クリエイション


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