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ビジネス書を読まずに分かった成功の黄金律。あるいは、対極のカス発信者2名の話。


「結局、成功するにはコツコツ努力するしかないよね」

とてもつまらない発言だが、僕はある種の美しさを感じた。あらゆる会話には文脈があり、一見つまらなくても文脈を汲むと輝く言葉というのが存在する。

これを言ったのは、拙著『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』の担当編集者だ。徳間書店でそれなりの地位にいる、一回りほど歳上の人だ。


この本を出版しようと決まった後、まだ1文字も書いてない段階で、彼と飲みに行った。文芸あがりの古い編集者だったから、「信頼関係のためにまずは酒を酌み交わす」という教義を持って行動しているように見えた。もしかしたら、これが彼なりの「成功の黄金律」だったのかもしれない。


僕たちの共通認識

本を書く決起集会をしていると、話題は自然と「成功の黄金律は存在するのか?」という問いに向かっていった。

その答えは、イエスだ。僕と彼には共通するひとつの見解があった。

言うまでもなく、それはビジネス書を100冊読んで得られる類のものではない。「毎朝水を3杯飲む」とか「大きな声で挨拶をする」とかいう具体的な教えではないし、あまつさえ「会議中にはスマホをいじれ(堀江貴文)」とか「トークイベントには泥酔して行け(箕輪厚介)」とかいう一発ギャグ的な教えなどでは断じてない。


では何かというと、「コツコツ努力すること」だ。

担当編集者は「本を売るためには、戦略とかもあるけど、最終的には努力しかない」と言っていた。泥臭く駆けずり回ることが編集者の仕事で、彼はそれをいつもやっている、と。

僕はそれを聞いて、「この人とは良い仕事ができそうだ」と思った。「僕もまったく同意見です。効率良く頭を使って最小限の努力で、なんてのはリスクを負ったことがない細腕の人間の発想だと思います。何かを成し遂げたいなら、努力を厭わない方がいい」。血中アルコール濃度も手伝って、ずいぶん偉そうなことを言った。

努力しかない、というあまりにもつまらない話は、当然だが本作りにはまったく活かさなかった。こんな説教臭い話を書いたら、本のエンタメ性はすべて死んでしまう。


それから1年、ようやくこの本は日の目を見ることになった。幸い、初速は好調だったし、今も少しずつ売れ続けているらしい。嬉しい限りだ。

最近、久しぶりにAmazonでこの本のページを見たら、こんなレビューがついていた。

「成功の黄金律は何もわかりません」前半は完全に同意だ。この本には成功の黄金律など何も書いていない。ビジネス書の内容をふんだんに引用しながら、1冊まるごと大喜利をした本だから。

だけど、後半は必ずしも完全同意できない。「そんなもんあるわけないだろ」。そうではない。少なくとも、僕と編集者は「コツコツ努力すること」が成功の黄金律だと思っている。ビジネス書に書いてあるレベルで具体的な成功の黄金律は存在しないけれど、ここまで抽象化すれば存在するのだ。

この本の裏のメッセージは「小手先のテクニックはゴミだから、コツコツ努力するしかない」だったのかもしれない。久しぶりにレビュー欄を眺めて、編集者と話したことを思い出して、そんなことを考えた。


「コツコツ努力」は本当に難しい

努力は難しい。ホモサピエンスは消費カロリーを可能な限り減らすように進化してきたから、すぐにサボってしまう。肉体労働も頭脳労働も、続けられる人は本当に少ない。

大半のフリーランスはサボりまくって消滅していく。誰かにケツを叩かれない限り、我々はゴロゴロ寝て過ごしてしまうのだ。ライオンが襲ってこない限り、我々の祖先がゴロゴロ寝て過ごしていたのと同様に。


コツコツ努力できない人の2パターン

ここからは実名で、カス発信者を2パターン見ていこうと思う。

1人は昔このマガジンで扱ったことのある地獄の人で、もう1人は最近見つけた地獄の人だ。

この両名はそれぞれ違う形で努力ができない人たちだ。結果として、「インターネットで有名になりたいのに、まったく結果が出せない」という地獄の中にいる。

対極の存在である彼らの発信の具体例を見ながら、「努力できない」とはどういうことかを見ていこうと思う。あくまで事例として彼らを見ていくだけで、彼らのひどい発信内容を小バカにして楽しもうなどという性格の悪いことは考えていない。ちょっとしか。そのあたりを誤解なさらぬようにお願い申し上げる。


以下、実名がバリバリに出るので有料になる。単品購入(300円)もできるが、定期購読(500円/月)がおすすめだ。いつ始めても、今月書かれた記事は全部読める。


それでは早速見ていこう。扱いたい地獄の人は、こちら……。



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