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シャングリラへゆく⑰聖なる珍珠海で死にかける★動画付き

理想郷のことを人はシャングリラと呼ぶ

雲南の香りに魅せられて僕は旅をした
冒険家が探し求めたシャングリラに想いをよせ
奥へ奥へ雲南省の秘境を旅した記録

①から読めばより深く楽しめます
シリーズ「チベットへゆく」の第二部
シャングリラへゆく物語

聖なる珍珠海で死にかける

10月3日夕方
稲城亜丁ダオチェン・ヤーディンという場所に来た

理塘からの引き返し地図

稲城亜丁《ダオチェン・ヤーディン》の観光地図

観光地図

山の麓の入り口に車を止めて
チケットを買い入場すると
専用バスで山の奥まで入る

亜丁という村に宿が並ぶ

そこから、シャトルバスでまた少し山を登ると
扎灌崩という広場に着く
ここから徒歩での観光が始まる

少し山を登ると冲古寺というチベット仏教寺に
辿り着き、その先にある珍珠海を今日は目指す

ダライ・ラマ五世が霊峰として拝んだ山
仙乃日山(シャンナイリーXian nai ri)
6032mの麓にある
聖なる湖の珍珠海はチベット仏教信仰の湖

仙乃日山

明日は、朝から
海抜4700mにある五色海と
海抜4600mにある牛奶海(ミルクレイク)
まで歩いて登り
下山するというスケジュール

宿で休憩した後、珍珠海を目指し出発した

僕は今回の旅で小型のドローンを持ってきていた
今回の旅で何回かドローンを使って撮影した
初めてドローンを購入し旅に来る前に
上海で3回ほど練習

今回、観光地を何か所か巡るなかで
ドローンで撮影している人を何組もみた
昔と違いドローンをよくみる中国の旅
でも流石に人の多い場所で飛ばすには少し怖い
まだ操作も慣れてなく緊張する
日本ほど規制が厳しくないが
中国も規制がある為
勝手に飛ばしていいのか正直解らない
でも観光地でドローンを飛ばしている人がいると
安心し僕も飛ばしていて
今回は撮影できそうなので
カバンに入れ持っていく

扎灌崩まで着き

冲古寺に向かう為に橋を渡り山を登る
寺の屋根が見えているので、そう遠くない
でも階段を1歩1歩と登るのは辛い
海抜が高いだけに辛い
まだここは低いと言っても3900mはある

今朝の理塘のような頭の痛さはなかったけど
いつ高山病が再発するか気にしながら
ゆっくりと山を登る

道は整備され、すっかり観光地化されている
開発される前は
一体どうやって、ここまでやって来るのだろう?
そして
こんな山の中で1つ ポツンと寺がある

本当にここで
生活ができたのだろうか?

町に降りるには何日も山を下らなければいけない
寺の規模から多くの僧が暮らしているとは
思えないが、それでも数十人はいただろう

こんな山奥で
どんな暮らしを僧たちはしていたのだろう
そんな事も考えつつ寺を目指す

冲古寺

今でも使われているのか、もう観光地化され
寺としては機能していないのか・・・
きっと観光地化されなければ
今でも霊峰に向かいお経を詠んでいただろう

下界で戦争をしても気が付かないような場所だ

寺を見学し、さらに奥にある
珍珠海を目指しまた山を登る

道は安全に整備されていて
奥へ奥へと進む

珍珠海に先に着き休憩

珍珠海から見上げる仙乃日山

ドローンを飛ばし撮影する人が数人いて
僕もドローン撮影の準備をした

通常地面にドローンを置き
発着させるけど
人が多くいたので広い場所を確保しにくく
つい左手の手の平に機体を乗せ
上昇させようとしてしまった

手の平からの発着は実は危険
プロペラガードをしていない
何かに当たると危ないから
普通はしない

しかし慌ててたから左手の手の平に乗せたまま
離陸ボタンを押してしまった

勢いよくプロペラが回転した瞬間に
気を抜いたのか焦ったのか指を動かし
回転してる羽が人差し指に当たり
爪と指の間を切りつけた

そのままドローンは上空に上がり
血が出た指を見てパニックになる

指から血が出ている
大した怪我ではなさそうだけど
ドローンを戻そうか、このまま飛ばそうか迷った

焦りと怪我とで操作を誤る

どうしたいのか分からなくなり
前に進み上昇しようと
少し動かした時に急に落下し
そのまま珍珠海へと墜落させてしまった

上昇するつもりが間違えて降下させた
そのまま聖なる湖に沈んだ

指からは血が流れてる
両方で本当に最悪だ・・・

湖に墜ちたドローンをみて
観光客がざわついている

僕はテッシュで指を抑えながら止血
歩いて近くにいた劉さんと孫君に声をかける

えっ ドローンを落としたの?と
驚いて堕ちた場所を確認した

珍珠海に沈むドローン
珍珠海に沈むドローン 拡大

手前のほうなので10m程先に
堕ちたドローンが肉眼でも見えた
水が透明なのもありギリギリ浅瀬側

流石に取りにはいけないとなり
どうしようか・・・と悩んでいた

まだ買って数回しか飛ばしていない
やってしまった・・・と後悔

機体は流石に水に浸かり壊れたかもしれないけど
せめてメモリーカードだけでも回収したい
何か取る方法はないか相談

孫君がチベット民を探して
お金を渡して取ってきてもらおうと提案

40分くらい探したけどOKする人が見つからない
時間が経ち徐々に日も暮れてくる
そろそろ戻らないと暗くなる
もう諦めムード

でも僕は諦めきれない
よし取りに行く!と妻に言う

どうやって?

単純に潜る!

うそでしょ・・・無理でしょ?

足がとどくのか分からない
透明で浅瀬に見えるけど、深いか判断が出来ない
もし無理なら諦めて途中で戻る と言い
背丈くらいの長い棒を孫君が探してきてくれた

ダウンジャケットを脱ぎ上のトレーナーも脱ぎ
Tシャツ1枚とズボン。
靴は足元が危険なので履いたまま
ズボンも脱ごうかと思うが
流石にパンツ1枚になっては
写真や動画を撮影されUPされたら恥をかくから
ズボンは脱がないとして

ビショビショになるけどズボンだけなら
まだ何とか宿まで戻れるだろう!と

流石に迷ったし恥ずかしけど
時間がないので
僕は人目を気にせず勇気をもって
湖に降りた

すると大きな歓声がおき、みんな驚き
写真や動画で撮影してきた
かなり恥ずかしかったけど
もう気にしてられない

堕ちたドローンに一直線に進む
直ぐに腰までつかり思ったより深く
あと1mほどでドローンの前にきたら
足が沈む・・・ヤバイ

底なし沼のようにズズズッ・・・と
胸まで浸かり棒を底に突き刺し
それを頼りに

チャンスは1回しかない!と思い
そのまま勢いで頭から潜る

片手は棒を掴み
片手で地面のドローンを目掛け手を伸ばし
ギリギリ ドローンを掴んだ

そして
刺した棒を頼りに地面をけり
何とか水面に顔を出し足がつく事を確認し
安全な浅瀬まで急いでもどった

みんな 驚きの目で僕をみている
ドローンを天高く上げ!取ったぞー!と
どこかのTV番組のように叫びたい気分
だけど恥ずかしくて早く湖から出る事だけ
考えた(笑)

完全にダイブしたからビショビショ

湖から出ると
孫君と知らないチベットのオバサンが
僕を人目に付かない林の中に連れていく

そこで僕は靴もTシャツもズボンも脱ぐと
知らないオバサンが体を拭いてくれた
チベット民族のオバサンは掃除をし管理してる
人と孫君が教えくれた

孫君と妻がズボンを絞り
チベット族のオバサンが体を
テッシュや布で拭いていた

トレーナーを着て
ダウンジャケットを着て
ズボンが無いから
山が寒いかもと思いカバンに入れていた
ウエアーを下半身に巻いた
とりあえず変なスタイルにる

チベット民族のオバサンが
僕の体に付く変なものを取りながら
笑いながら何か言っていた
何を言ってるか分からないけど
よく頑張ったね~くらいに解釈し聞こえていた。

日は沈み
早くしないと暗くなる
気温もかなり下がって来た

とりあえず風邪をひくといけないから
早く山を降りましょう!となり
塗れた服をビニール袋に入れ
僕は変な格好で下山した

下山途中は流石に恥ずかしかった

ホテルに戻りドローンを乾燥
シャワーを浴び、ようやく綺麗になる

左下のプロペラが折れている

食事をする為にロビーに降り皆と合流
夕食中、ドローンを落とした話になる

ブル猫夫婦は、奥さんが山登りが辛く途中で
諦めて引き返し珍珠海まで行かなかった

じゃ僕の珍珠海へのダイブみてないの?と
笑話になる

食事しながら孫君が教えてくれたのは
チベット民族の優しいオバサンが僕に
ずっと話かけていたのは
「長年いるけど珍珠海を泳いだ人を初めて見た!」
という事だった

オバサン体を拭きながら
そんな事言ったのか(笑)

聖なる湖を管理するチベット民族のオバサンは
笑っていた

そこは聖なる湖 珍珠海
ダライ・ラマ五世が霊峰として拝んだ山の麓にある
信仰される聖なる珍珠海
ドローン墜としてダイブする場所じゃない(笑)

聖なる珍珠海で死にかける

諦めがつかず、このまま帰るとデーターを失う
肉眼で見え回収できそうだから
かなり迷った
背丈くらいの木を孫君が探してきてくれて
その棒をもって湖に入った
もし あと1m先だったら・・・
もし 棒が滑り抜けていたら・・・
もし 姿勢を崩していたら・・・
僕は間違いなく聖なる湖に足をすくわれ
沈んでいただろう

僕はギリギリ回収していたと考えると
背筋が凍るような怖い行動をしていた
珍珠海を泳いだ人は初めてと言われたけど
それが日本人だという事は名誉なことか
大恥な事か・・・
聖なる湖を見守るチベット民族が
笑っていたので少し心は救われた。

僕の星月菩提樹せいげつぼだいじゅの数珠は
聖なる珍珠海の水をも吸い込んで
シャングリラ色へと深みを増してゆく

■ドローン墜落の瞬間の映像です
1分50秒の動画です
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⑱開発を断念した危険な国道  へ続く

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