エンジニアリングマネージャーのレポーティング

はじめに

12月に入り、界隈では恒例のアドベントカレンダー(知見共有ブログの方ですね)が書かれています。その中にはエンジニアリングマネージャーのアドベントカレンダーもいくつかあり、記事も多く執筆されています。しかし、私が見る限りの多くはエンジニアチームのマネジメントに焦点を当てており、エンジニアリングマネージャーのもう一つの重要な役割、つまり経営層へのレポーティングについての記事はあまり見られないように思います。

今日の記事では、エンジニアリングマネージャーが上長に対してどのようなレポートをするのか、に焦点を当ててみたいと思います。

エンジニアリングマネージャーの上司

エンジニアリングマネージャーは通常、執行役員やCTOといった上層部にレポートする責任があるよう、レポートラインが整備されていることが多いです。しかし、この関係性は企業によってまちまちで、かつ経営情報にも近づくためか情報は意外と少ない、というのが私の印象です。もしかすると、エンジニアリングマネージャーがチーム内の問題に注力する一方で、上層部へのコミュニケーションについては二の次になってしまっているのかもしれません。

レポーティングの重要性

経営層へのレポーティングは、チームの透明性を保ち、経営層との良好なコミュニケーションを確保し、組織の戦略的意思決定をサポートするために不可欠です。その際、エンジニアリングマネージャーが上層部にレポートする際の重要なポイントは、チームの状況を定量的および定性的に伝えること、そしてエンジニアリングマネージャーとしての意思決定を明確に伝え、そのコミットを取ることです。

レポートすべき具体的な事柄

報告では、単に数字を報告するだけでなく、チームの状態や士気、直面している問題とそれに対する解決策を明確に伝える必要があります。さらに、会社全体の動向を把握し、その中でチームがどのように貢献できるかを提案することも重要です。

以下に、レポートすべき重要な具体的内容をいくつか挙げます。

  1. 目標の達成状況:

    • チームや個々のメンバーが設定した短期および長期の目標に対する進捗状況を報告します。これには、達成済みの目標、遅れている目標、およびその理由と対策を含めます。

  2. 予算の使用状況:

    • 予算の執行状況は経営層にとって重要な情報です。特に予算がオーバーもしくはアンダーしている場合、その理由と今後の予算計画にどのように影響するかを報告します。例えば、新技術の導入によるコスト増、あるいは予想以上に進捗が良く予算を使い切れない場合など、具体的な状況を示すことが大切です。

  3. チームメンバーの育成状況:

    • チームの長期的な成功のためには、メンバーのスキルアップとキャリアの成長が不可欠です。各メンバーの現在のスキルレベル、必要なトレーニング、キャリアパスに関する進捗状況などを共有します。これにより、組織全体の人材開発戦略に貢献できます。

  4. アンダーパフォーマンスのメンバーの状況:

    • チームメンバーのパフォーマンス状況、特にアンダーパフォーマンスの要因と改善計画について報告します。

  5. 他チームからの支援要請:

    • プロジェクトや日常業務において他部門からの支援が必要な場合、そのニーズを明確にします。これには、特定の専門知識が必要なプロジェクトへの協力要請や、リソースの共有などが含まれます。相互協力により、組織全体としての効率と生産性を高めることが可能です。

  6. その他インシデントの対応状況など

    • 日常業務におけるトラブルやインシデントは都度報告するべきですが、その後どうなったのか、対応状況を定期的に入れることも重要です。

まとめ

エンジニアリングマネージャーがこれらの具体的な内容をレポートすることにより、経営層とのコミュニケーションを強化し、チームの透明性を保ちながら組織の全体的な目標達成に寄与することができます。また、詳細なレポーティングは、エンジニアリングマネージャーがチームの状況を完全に把握し、適切なリーダーシップを発揮していることを示す良い機会となり、経営層との信頼関係を構築することにも繋がります。これは、エンジニアリングマネージャー自身のキャリアの発展においても重要なステップとなるでしょう。

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