『往訪』という映画について(『未知との交流』のうちの一話)


12月3日(土)公開の『宇賀那健一監督短編集 未知との交流』の3作目は『往訪』という作品です。
この映画に関しては、本当は文字にしたくないんです。とにかく体感してほしいし、活字に出来ない面白ネタが沢山あるのでトークも聞きに来てほしい。でも、書ける範囲で書きます。

撮影が行われたのは2021年の4月。プロデューサーから「とにかく宇賀那の好きなことやろうよ」と言われて始まった企画です。
色々なところで話してはいますが、僕の映画の原体験はホラー。
本作には僕のホラーコメディ愛を、すなわち映画愛をとにかく詰め込んで詰め込んで詰め込みまくった映画です。

主演のハルカ役は『魔法少年☆ワイルドバージン』にも出演していただいて、僕と同じようにホラー愛に満ちた女優の詩歩さん。ワイルドバージンで一緒に作品作りした安心感、そしてホラー愛という共通言語があるから何も言わずに僕がやりたいことをフルスイングでやってくれる安心感が半端なかったです。彼女なしではこの映画はあり得なかったし、彼女だからこの映画が世界に通用できたと思っています。

ナナ役は『魔法少年☆ワイルドバージン』にも出演してくれている平井早紀さん。ワイルドバージンの振り切った芝居がとても印象的でお声がけしたのですが、まさかの彼女もまたホラー好きでした。事前に参考作品として『死霊のはらわた』を観てもらったのですが、悪魔が乗り移ったあとの彼女の芝居は『死霊のはらわた』を越えているのではないかといつも思います。ナナが先陣をきってあれだけのテンションで挑んでくれたからこそ、この作品が成立しています。

タカノリ役は僕の初監督作品からずっと支えてもらっている板橋春樹さん。何も言わずとも僕のやりたいことを分かってくれ、その50倍くらい面白くしてくれるのでいつもめちゃくちゃ頼ってしまいます。脚本を書く前からもう演じてもらう前提で脚本を書いていました。

最後にソウタ役は『渇いた鉢』にも出演していただいている遠藤隆太さん。とにかく魅力的なお芝居する方で、初めてお芝居を観たときからずっとご一緒したかったので、2作連続でご一緒出来てとても光栄でした。ソウタのキャラクター、海外でめちゃくちゃウケるんですよね。いつか一緒に映画祭で『往訪』を観たい。

先ほども書きましたが、現場の話で話したいことはめちゃくちゃ沢山あるのですが、それを書くのは勿体ないのでとっておくとして、絶対に触れておきたかったことを。

それは、本作を支えてくれた特殊造型&特殊メイクの千葉美生さん、遠藤斗貴彦さん、VFXの若松みゆきさんについて。
実は『適応』『モジャ』も含めて特殊造型とVFXはこの3人にお願いしています。
毎回毎回本当にクオリティの高い特殊造型やVFXを作って下さって、僕はもうこの3人がいないと映画が作れない身体になってしまいました笑
『未知との交流』では3本とも担当して下さっているので、『宇賀那健一監督短編集』でもあり『千葉美生&遠藤斗貴彦特殊メイク&特殊造型集』でもあり、『若松みゆきVFX集』でもあるのです。是非3本通してその辺りも観ていただきたい。

あともう一つ、『往訪』は音もとても大事です。
僕の作品の常連であるキーファーが整音・効果・ミックスを担当してくれているのですが、もう一人の特殊効果として『スターウォーズ/帝国の逆襲』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『エクソシスト2』などの効果音を担当しており、米国アカデミー賞も受賞した小川高松さんが参加して下さり、ジブリ映画の大半を担当している大川正義さんが音響のスーパーバイザーとして参加してくださっています。
どの席で観るかによって全然印象も変わってくると思うので、是非何度か違う席で体感していただけたら嬉しいです。

そして『往訪』はとにかく海外映画祭のウケがめちゃくちゃ良いのです。
ポルト国際映画祭、モントリオール・ヌーヴォー・シネマ映画祭、リーズ国際映画祭、スラムダンス映画祭、タンペレ映画祭、トロントアフターダーク映画祭、LA国際短編映画祭、プチョン国際ファンタスティック映画祭、NY国際短編映画祭…etcなどなど40以上の大きい映画祭で上映、グランプリも4つほど頂いております。

「とにかく宇賀那がやりたいことをやろうよ」と言ってくれたプロデューサー、それを実現してくれた各部署の皆さん、本当に有難うございます。『往訪』は今まで僕が見れなかった景色を沢山見せてくれた大事な作品です。
僕がホラーを大好きになったきっかけでもある母は僕が大学のときに死んでしまいましたが、めちゃくちゃ喜んでくれてるのではないかなと思っています。そして、そんな作品をついに日本の皆さんに観ていただけること、とても楽しみです。

あ、あととても重要なことなのですが、ホラーではありますが、コメディ比重がめちゃくちゃ高く、ちっとも怖くないのでホラー苦手な人でも全然観れますのでご安心を!

12月3日(土)の初日舞台挨拶には『往訪』からは詩歩さんが登壇。
12月4日(日)の上映後には『往訪』チームのキャスト全員(詩歩さん、平井早紀さん、板橋春樹さん、遠藤隆太さん)にてトークを行います。
池袋シネマ・ロサにて感想を聞かせてもらえたらとても嬉しいです。


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