キャッシュレスの先にあるモノ⑤
こんにちは。ITジャーナリストの久原です。
前回は、どのような方法で各国がキャッシュレスを普及させたのか?について整理してみました。
今回は、日本がキャッシュレスを普及させるにはどうすればいいのか?を考えていきたいと思います。
前回の記事で韓国がキャッシュレス化を飛躍的に伸ばしたのは、利用者に対して『お得だよ』という情報を大々的に流したのがきっかけだとお話しました。
それにならってなのか「PayPay」では100億円キャンペーンや、「LINE Pay」でも300億円キャンペーンといった、大々的なキャンペーンを打ち出すことによって、ユーザーはQRコード決済のアプリをインストールさせる手段を取りました。
これにより、QRコード決済のアプリがユーザーの端末にインストールされ、それなりの認知向上及び一定の普及はされたと思います。キャンペーンの一時的な利用でしかないといったネガティブな意見もありますが、いったんは成功したと判断しても良いのではないでしょうか。
LINEは、「LINE Pay」で300億円キャンペーンを行ったのが理由かどうか定かではないですが、LINEの2019年1~3月期連結決算の最終損益は103億円の赤字となっており、各社ユーザー獲得のための消耗戦が始まってきたようです。
それでは、このQRコード決済によって日本もキャッシュレスを普及させる起爆剤となるかというと、少し難しいかもしれないなと感じています。
確かに導入する店舗にとっても、特別なレジを利用しないQRコード決済方法に関しては、導入のハードルが低いといった利点があります。
しかし、個人的な感想になりますが、支払い完了までの項数が多く、正直面倒だと感じました。たとえば「paypay」であれば2つの方法があります。
1つ目は、①事前にお金をアプリにチャージ
②スマホでお店のQRコードを読み取る
③お会計金額を入力する
④お店の人が画面を確認してお会計が完了
2つ目は、①事前にお金をアプリにチャージ
②お店の人にバーコードを提示
③お店の人がバーコードを読み取ってお会計が完了
といった方法です。2つ目のユーザーがスマホにQRコードを表示して店舗側でスキャンしてもらうだけの方法であれば、そこまで面倒ではないので普及しそうな気もするのですが、実は、店舗側が専用端末を用意しなければならないといった問題があるのです。
もちろん経産省から消費税還付や決算端末等の導入補助で3分の2が補助されるといった後押しがある中ではありますが、インフラは整うが文化として定着するかってのかどうかというと、正直厳しいのではないかと感じています。
そこで改めて、海外とキャッシュレスにおける数値を比較してみると、明らかに気になる部分が見えてきました。
それは、キャッシュレスが進んでいる国は、銀行口座と紐づいたデビットカードによる決済の割合が高く、イギリス、スウェーデンではクレジットカードの3倍、フランスではほとんどがデビットカードでの支払いが行われるといった結果が出ています。
次回は、デビットカードはキャッシュレスの救世主か?という観点から少し掘り下げていければと思います。
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