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他県での出来事⑦

○こちらの記事は「過去の私について」のマガジンに掲載

36歳の10年前、無職になった俺は貯金をしたいが為に自動車工場の期間工になろうと決意する。1社目のホンダは腰痛持ちですと馬鹿正直に言ったら即座に落ちたが、2社目のトヨタは腰痛持ちを言わずに面接を受けたら採用された。

採用後は住み慣れた平塚市から出ないといけない。覚悟は決めていたが寂しい。そう思いながら電車や新幹線で愛知県の豊田市まで向かう。採用試験場には沢山の男達が居た。女性は殆ど居ない。

書類を書き終わると説明を軽くされて身体検査が1日行われた。俺は特に引っ掛かる事が無かったが、これで返される方は何人か居た。入れ墨してる人は駄目な職場だし。

1日目は豊田市の寮で個室のお泊り。特にやる事も無いのでパチスロをちょっと打ったり、外食したりした。
2日目は配属先を決める為の訓練をした。ボルトをインパクトで刺したり、ボタンを早く押す訓練とか。ボルトは早く刺せたみたいで上位に食い込んだ。コレは大失敗だった事になる。こんな所で本気を出さなければ良かったと後悔した。手を抜いた方が楽な工程へ行けるからだ。

配属先はエンジン詰め替えの工程へ送られた。1台に付き3分以内でエンジンを詰め替えないといけない工程だから、タクトタイムがとても速い。最初の方は遅くて何回もラインを止めてしまった。しかし、職場の人は優しい人が多くて怒る人は居なかったが、1人だけ年下の社員で厳しい人が居た。「何回もミスったらラインが止まるだろ!もう少し考えて働け!」と。悔しかったので毎日休まずに頑張ると次第にラインに間に合う様になった。

職場は愛知県田原市という田舎町。サーフィンは盛んで日本でも有名な市だが、俺はサーフィンに興味が無いので一回も行かなかった。

こんな田舎で何をしろと


田舎なので遊ぶ所が少ない。カラオケ屋が2軒、小さいゲームセンターが1軒、パチンコ屋だけは3軒も有った。マンガ喫茶はアプリシオが1軒。居酒屋や食べ物屋は何故か多い。完全にトヨタ仕様な町だと思ったよ。

休みの日は自転車で大体パチンコ屋かマンガ喫茶、GEOも有ったのでたまに映画観たりしてたな。雀荘は豊橋市まで行かないと無い。電車で1時間掛かる。名古屋市までは電車で2時間。名古屋は遠くて行かなかったね。

仕事には慣れてきたのだが、毎日筋肉痛が絶えない。いつか怪我すると思ったら案の定、1ヶ月で右手首が凄く腫れて動かなくなり、掃除してて下さいと言われて四つん這いになって左手だけで床掃除してたらギックリ腰になった…

期間工は怪我をしたら延長が出来ないと思った方が良い。俺は初回の3ヶ月で切られた。長く続けたいので有れば、休みの日はしっかり休養してパチンコ屋は行かずに疲れた身体を癒やす行動をした方が良い。スロットやパチンコをしたら更に手を痛めるからね…

後釜の期間工に仕事を教えた後は案山子の様に立ってるだけだった。これが5日も続く。期間が終了してしまったが、何か資格を取りたかったのでフォークリフト免許を取る事に決めていた。今は知らないが、この頃はフォークか溶接を無料で取れるのだ。

運転はマニュアルで難しかったけど3日で取れた。約5万円の費用が無料とはコスパ最高!流石は世界のトヨタである。

寮は1人暮らしで快適だったが、満了後は1週間で出て下さいと言われてたので最後に豊橋市の雀荘で0.5麻雀をフリーで打つ事に。面子が大学生の若者3人で「フリーは初めてなんで宜しくお願いします」と礼儀が正しい。初心者と分かれば多少の長考は我慢出来る。タバコワンカートン位勝って店を後にした。朝の陽射しは眩しくて違う世界に居る様に感じた。

またもや無職になった俺は職を探すべくハローワークへ通う事に。それはまた次回の話。