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夕飯を食え!悩みの種が尽きずとも - 「Mei Mei」

ごきげんよう!今日も元気なインターネット中年・賢二です。

インターネット歴25年、ニコニコ動画歴14年の私、今年で12年目になることがあります。それは、ピノキオピーファン歴!2009年から応援してきた彼が、今年2月にベストアルバムを発売することになりました。めでたい。そしてそのベストアルバムタイトルは「寿」。めでたい。

曲数たっぷり、好きな曲はだいたい入っています。で、ふと思い立ったのです。「私が12年聴いてきた中で、もしも10曲選ぶとしたら、どの曲を選ぶかな?」と。出来心でしたが、いざ厳選を始めると、難しいことこの上なし、10曲に絞るまでに1ヶ月以上掛かってしまいました。

やっと選びきったので、noteで1曲ずつ発表していきながら、曲にまつわる、私のこじれくすぶった熱い想いを供養していこうと思います。今までこのnoteでやってきた通り、これはピノキオピーへのラブレターであり、曲へのラブレターであり、ただの私のお気持ち、はたまた思い出話であって、考察や評論ではありません。

1曲目 Mei Mei

マイベストピノキオピー10選、1曲目は2018年7月9日投稿「Mei Mei」です。この曲は、投稿日翌日から始まったNewdays・KIOSKのキャンペーン「ナツキタ2018北海道フェア」のテーマソングでした。

余談ですが、ピノキオピーは同年6月に、カザフスタンで行われたライブ「Star of Asia」に出演しており、「Mei Mei」は帰国後に発表された最初の曲です。動画の中の実写映像の中には、カザフスタンの旅の中で撮影したものも使われています。コッテリ北海道ではなく、ちょっと異国の香りがするMVが、私はとても好みで大好きです。

「Mei Mei」の歌詞は、半分くらいが、とびきり頭悪そうな感じ。「あ〜まじやばい 最高 空気澄んでる ご飯がおいしい」「うぇ〜い うぇ〜い 明るいね 職場に適した人材」「音楽 あんまわかんねえけど 寿司くらい好き」その中に、時々ギクッとするようなこと、グッとくるようなことを言い出すので、私(たち)はそのギャップに、すっかりやられてしまうわけですね。しかしながら私は、この"頭悪そうな感じ"こそが、泣きそうなくらい好きです。

***

ある秋、盛岡へ帰省した時のことだ。帰省と言っても、家族はもう住んでいないから、ただの旅行ということになる。新幹線を降りると空気は冷たく、冬の匂いがする。高校の頃からの友人が車で迎えに来てくれて、色々な所へ連れて行ってくれた。ホテルへ戻って荷解きをしていたら、

「今、どこにいると思う?」

東京に住んでいる友人からのLINEが届いた。なんと、本当に偶然、彼は彼の友人と一緒に、盛岡へ旅行しに来ているのだという。私と、盛岡の友人と、東京の友人と、東京の友人の友人と4人で、せっかくだしお茶でもしようということになって、開運橋の真ん中で待ち合わせをした。

レストランを目指して川沿いを歩いていると、私を呼ぶ声がする。振り向くと、高校の後輩たちが5、6人ばかり、川の見えるテラス席でお酒を飲んでいるところだった。テーブルから、後輩の2人が飛び出して来た。

「あ〜、先輩、本当にお久しぶりですよねえ、お元気でしたか。こんな日に会えるなんて、すごい偶然すぎますね。今日来たんでしょ。あ〜、会えて良かった、会えて良かったですよ、こんな日に会えるなんて、すごい偶然すぎますね。実は今日こいつ、結婚式だったんすよ、みんなで行って来て、ちょうどさっき終わったとこなんす、ほら、あれ、嫁です。いや〜、すごすぎます。嬉しいなあ」

指された向こうで、かわいい女の子が、すっかり恐縮して、しかし照れ臭そうな顔をして会釈をしてきた。後輩たちは、同期の結婚式の余韻と、同期の嫁も交えた楽しい食事、そして思わぬ再会の驚きとでごちゃ混ぜになっていた。私はといえば、久しぶりの土地で、大切な友人と街々を巡った余韻と、東京の友人と盛岡で会っているという不思議、それに加えて後輩との再会の驚き、後輩の結婚の幸せで、もっとごちゃ混ぜになっていた。

ほほがひりひりするような夜風にあたりながら、共通の友人となった4人で、肉を焼いて食べた。私は、今日連れて行ってもらった、静かな湖や、伝統工芸品の工房の話をした。東京の友人は、盛岡へ来る前に寄ってきた秋田の温泉の話をした。そこは、私の愛する街に、私の愛する人々を集め、美味しい食事が一堂に会した、世界でただ一つだけ、あの一瞬だけ存在した空間だった。幸せが飽和状態にあった。脳みそがぼんやりして、これは夢ではなかろうかと、不安にすらなった。そこにあるもの全てが完璧で、欲しいものが全て手元にあった。

空気は澄み、ご飯はおいしかった。みんな大好きだった。まじやばくて、最高だった。ずっと「Mei Mei」のフレーズが頭を巡っていた。

子供みたいに遊ぼう 月が満ちるまで歌おう いつか灰になる前に
楽しいこと くだらないことだけじゃ 腹は膨れないけど
優しい時間 君といる時間だけが ずっと続けばいいのにな

***

「Mei Mei」は優しい。曲の中で「あ〜まじやばい」と、幸せの中にいる時の、あのアドレナリンが出ている時ばかりが人生ではないのだと、ちゃんと分かっています。人生は短く、やましいこと浅ましいことだらけ、素直になれず、悩みの種は尽きません。けれど、「夕飯を食え」と言ってくれる。「悩みがなくなる」とも「楽しいことだけで食っていこう」とも言わないけれど、遊ぼう、歌おうと誘ってくれる。もちろん、それだけじゃ生きていけませんが、そんな存在に「君」はどれだけ救われることでしょう。

生きてて楽しいことと、幸せな瞬間と、そうでない鬱屈とした瞬間、それら全てを丸めこんで、めいめい、まよいながら、頑張って生きていこうね。ご飯食べて、笑って、遊んで、歌おうね。いつかめいどに行く日まで。

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賢二

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