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もう2021年だけどここで2020年10選やる

ごきげんよう!今日も元気なインターネット中年・賢ニです。

2021年になって1週間位以上経っていますが、あえてここで、2020年に聴いたボーカロイドの曲で好きな曲10選を紹介します。なぜ今なのか。今やりたいからに決まっています。すでに感想を別の記事で書いている曲もあるので、それは該当の記事のリンクを貼っていたり、引用したりしています。ちなみに「10選」であり、ランキング形式ではありません。順不同です!

1曲名 セカイはまだ始まってすらいない / ピノキオピー feat.初音ミク

コロナ禍で鬱屈とした日々に突如ぶち込まれた一曲。「来年また来ようねって約束を果たせずに」「ノイズばっか増える」「それフェイクニュース?」といった、生死に関わる情報が真偽を確かめる間もなく渦巻いた2020年らしいフレーズもあって(ピノキオピーの意図はさておき)、きっとこの曲を聞くたびに、このセカイのことを思い出すんだろうなと思うのです。「セカイはまだ始まってすらいないぜ」とど直球に励ましてくる、そして聞いている我々は素直に元気が出てしまう。空元気かもしれないけど、多分それでいいんだと思います。

2曲目 昆虫図鑑 / oQ feat.鏡音リン & 鏡音レン

かっこいい鏡音リン・レン!好奇心を剥き出しに、野生的に、欲望のままに生きていけたら、辛いかもしれないけどきっと生きてる甲斐はあるんだろうな、なんてことを考えました。そう生きられないからこそ、この曲を聴いて痛快な気分にさせてもらってるわけですね。「感性の生まれる場所は 人体模型のどこにあるんだ?」「世界の創造神になって 人間図鑑に君をスクラップしたい」歌詞がとにかくかっこいい、癖になる!余談ですが、効果的に使われる「ビャー!」という音が好きすぎて、「楽器 音 ビャー」で調べたら、すぐに「ヴィブラスラップ」という楽器と分かりました。ありがとうインターネット。

3曲目 知らぬがイム / Noz. feat.鏡音リン・レン

またもかっこいい鏡音リン・レン!!私は仏教くさい曲が好きなので完全サムネホイホイ、タイトルホイホイだったのですが、「後戻りの出来ない運命 手繰り寄せ進んで行くんだぜ」と図太く生きていく心意気がたまらなく好きです。基本的に私は生きるのが辛く苦しいのですが、こういう曲に尻を叩いてもらえると、やっとこさ生きていけそうな気がします。サビの盛り上がりが格好よくて、「起きている嫌な事全部 何も知らず生きていたいよ」まったく、本当に、その通りだよ!

4曲目 骨格標本 / Miwo feat.初音ミク

5曲目 その憎しみを抱きしめて / やながみゆき feat.初音ミク

やながみゆきさんの作る曲はどんなジャンルも好きになってしまう人間なんですけど(年末に投稿されたピーナッツくんコラボ大好き)、私はとりわけ、一人称女性の、懐かしいような音の曲がとても好きです。以前、2016年に発表された「心ひとつあれば」について記事を書いているんですが、この曲も同様で、ひとりの人間が自分を鼓舞しながら生きていこうとするさまに元気をもらえるんですよね。「いま立ち上がれ少女、立ち上がれ乙女、その憎しみを抱きしめて」って、これ曲の中の女性が、自分自身に語りかけているのだと思っています。生きていくためには「綺麗なまま」ではいられない。武器を取り、相手を憎んで憎んで、その感情すら抱きしめて、歩いていかねばならないのですから。

6曲目 ことばのおばけがまどからみている / Frog96 feat.重音テト

音楽やグラフィック、言葉を、自由に分解して遊ぶことができる人が選んだボーカロイドが、UTAUの重音テトだというのに妙に納得したのでした。左右から不思議なことばを囁きかける「ことばのおばけ」に、重音テトはしっくりきています。冒頭の電子音は、伝統芸能で人ならざるものが登場する予感を表現するか細い笛の音に似ていますし、途中で原稿用紙の文字が「?」に変わるタイミングがあるのですが、その時のゾワッとした感覚なんて、これはもうおばけ以外にありえないのです。原稿用紙のますの向こうに、おばけはいます。おばけの言葉を、あなたは理解できますか?本当に?その時、あなたは正気でしょうか。

7曲目 ラブカ? / 柊キライ feat.flower

柊キライさん、みんな大好きじゃないですか。超流行ってて、2020年の顔じゃないですか。で、ちょっと癖があるじゃないですか。今まで、いまいちその世界に入り込めなくて「なんかこわ〜い」って思ってたんですけど、「ラブカ?」についてはその「こわ〜い」が病みつきになってしまい、気づいたら何度もループしてしまっています。エレクトロスウィングをダークに使って、足がすくむような、深海のごとく深く歪んだ愛情がこちらに迫ってくる。手の届かないところから見ている、燃えるようなあの想い、一体なんなんでしょうね。私はラブだと思いますけどね、ラブには色々な形がありますから。しかし「ラブか?本当に?」と問い詰められると、どんどん自信がなくなっていく。

8曲目 1000年生きてる / いよわ feat.初音ミク

額縁の中で1000年生きている女の子が、人間の営みを眺めているのですが、曲のラスト「生き汚く生きて何かを創ったら/あなたの気持ちが1000年生きられるかもしれないから」で、彼女が単なる「意志を持った絵画」ではなく、1000年前の画家の「気持ち」そのものであると分かります。「見ててあげるわ楽しませて」「あなたの気持ちに賭けてみたいのさ」1000年前の画家が語りかけてきます。命は短く、きれいに生きることは難しいけれど、何かを創ってみたいと思うし、誰かが創ったものを見たいな、と思わせられます。私の好きな20世紀の画家、ピエール・ボナールが、最晩年に言葉をのこした言葉を思い出しました。

私の絵がひび割れずに残ることを願う。西暦2000年の若い画家たちのもとに、蝶の羽で舞い降りたい。

9曲目 枷 / ホノ feat.初音ミク

自分ではあまり意識をしてこなかったけれど、むしろ私はピコピコした電子音ミュージックが好きだと思ってきたのですが、どうやら思っていたより、私はロックが好きなようです。初音ミクは空っぽなので、歌詞の中に自分の気持ちをそっくり詰めてしまえるんですね。サビの開放感たるや、本当に私自身が手をひかれてどこかに連れていってくれるよう。しかしながら、曲のタイトルは「枷」。明日を捨てたところで、せいぜい寒い部屋で毛布を被ってぽつねんとするくらい。明日になればいつも通り、また数字を作りに会社へ行くだけです。でも、多分みんな、そうやって生きていくんですよね。その時心を支えるのは、音楽であったり、自身のイマジネーションであったりするのだ、と思い出します。メロディが本当に良くて、本当に本当に良くて、心が膨らむ感じがする。音楽の力だなあ。

10曲目 daybreak / 極楽蝶 feat.初音ミク

私は音楽に明るくないのですが、このジャンルは「オルタナティブロック」と呼ばれているのですね。イントロがまずかっこよくて好きなんですが、この6分という長い曲に漂う空気が、本当に本当に素晴らしい。動画に使われている最高のイラストは、曲の作者の義理の弟さんだそうです。このイラストが、キリリと冷えた夜の空気を連れてきます。才能溢れすぎファミリー...。「いくつかの偶然が君に手を伸ばす」、どの手をとるかは自分次第。この曲は、選ぶ私たちの背中に寄り添って、たとえどれを選んでも、どんな結果になろうとも、きっと大丈夫だと励ましてくれるよう。こもったようなミクの調整が、かえって臨場感を生んでいます。真夜中の、大人のためのロック。

自分語り

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実は2020年より以前は、あまり能動的にボカロ曲を聞こうとしていませんでした。マジミラに行く前に、あらかじめ知らされている曲たちを予習に聴くくらい。それに、いわゆる「ボカロリスナー」界隈の知り合いもおらず、情報も集めようとしなかったものですから、蜂屋ななしさんの存在は引退後に知ったくらいです。2020年、色々聞いて思ったのは、「私の好きな曲を作る人を探しに行かなくちゃ」ということでした。正直、ライブ等で歌われる曲、伸びている曲を、いまいち好きになれない自分がおりました。一回聞いたらもういいや、って思ってしまって。けれど、ボカコレを機に曲を色々聞くうち、私の好きな曲を作る人はちゃんといて、私が聞きにいかなかっただけなんだと気付きました。気付いたというか、”思い出した”が正しいかもしれません。私が初めて初音ミクの歌を聴いた時、世間のどこにも流れていない、けれど聞きたかった、まさにその歌だ!と感激したものです。これからも、人と比べたら笑ってしまうようなスローペースで、沢山の曲と出会いたいと思っています。

本年もよろしくお願いします。

賢二

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