見出し画像

邪気払い【企画書】

[キャッチコピー]

人の心は煩悩。心を離れた煩悩は体の外に出て邪気と呼ぶ。
我、邪気にまみれて、邪気を払うなり。

[あらすじ]

瑞獣 白澤は人々の願い(苦しみを救う者への憧れ)によって生まれた不滅の瑞獣。この世に不安が渦巻き人々の願いが強まるとき、力を得てこの世を救う人間の前に現れる。
ハクはその白澤の分体の1つで、ジロウの前に現れ、ジロウの父親の魂を取り戻すために共に戦えという。
ジロウは事故で意識を失ったと聞いていた父親タロウを救うことできると知り、ハクの契約呪文に同意する。
ジロウとハクは戦いの中で、煩悩や邪気に苦しみ鬼人化した人達を救い続ける。
ハク以外の分体も人々の困難を救うことができる人物を探してその人物に寄り添っていた。瑞獣 白澤の分体が選んだ人物達はいずれ世界の危機に立ち向かっていく。

[第1話のストーリー]

春雨 ジロウは、公立の中学三年生。彼は背が高く、メガネをした坊主頭の野球部員だ。先々週、彼の父が事故に遭い意識不明の重体。彼は家の手伝いで疲れ切っていた。
そして、先週の土曜日に中学生活最後の大会のレギュラーが発表され、そこに彼の名前はなかった。
疲弊して怒りの沸点が低くなっていた彼は(三年間の努力がそのまま恨みに変わったようだ)そう思うと苛立ちが抑えられず、職員室で武田先生(野球部 顧問兼監督)に退部を申し出た。
武田先生からは退部届を正式に提出するように言われ、ジロウは職員室を出た。
ジロウは職員室の出口で、青いジャージ姿の二人の女子と出くわした。野球部のマネージャーの夏川 鮎と秋葉 萌だ。
「ジロウ、聞こえたわよ。退部って本気なの?」 と覗き込んできた鮎。焦ったジロウはその場を走り去った。
放課後の図書室で退部届を書きあげたジロウは、図書室を出た。辺りは薄暗くなっており、ジロウが廊下を歩いているとどこからか声が聞こえた。
ジロウは声が聞こえてきたメガネのフレームの右耳の辺りを観察する。そこに目玉が一つついていて驚くジロウ。
謎の目玉の話では、目玉は瑞獣 白澤の分体の一つでハクといい、ジロウの父タロウとは戦友とのこと。ハクとタロウは、『混沌』という悪魔と妖怪の連合軍と戦っていた。
『混沌』は人間社会への勢力拡大を狙っており、タロウの魂は奪れ、あと五週間で死ぬという。ハクはジロウに決断を迫る。タロウの魂を取り返しタロウを元に戻すため協力しろと。
ジロウはハクと契約呪文を結び、ジロウのメガネに顕現し、ジロウとハクは共に戦うことになった。
ジロウは吠える。「親父を助けられるなら、なんだってやってやる!」
時間を1時間ほど巻き戻す。
野球部の部室でセーラー服に着替えた鮎と萌が話し合っていた。鮎はジロウに恋心を抱いていたがその気持ちを伝えられないままでいた。
萌はそんな鮎の力になるため一緒に野球部のマネージャーをしていたのだ。萌は鮎にラブレターを書いて渡すよう提案し、部室でラブレターを書き上げていた。
ジロウは、校舎を出た。既に周りは暗くなり、街頭が灯っていた。ジロウは最寄りのバス停へ歩を進めた。バス停につくと先客が二人いた。
学生鞄を持った鮎と萌の二人だ。鮎は学生鞄の中から封筒を取りだし、ジロウに差し出して告白する。

[第2話以降のストーリー]

ジロウ、鮎、萌の3人はバスに乗り込む。誰も『邪気』の『十纏嫉』の影達が一緒に乗り込んだことに気づかない。
『邪気』とは人間の『煩悩』が体の外に流れ出したもの。普通であればそのまま霧散するのだが、近くにより強い『煩悩』があると引き寄せられその人の体内へと吸収される。『十纏嫉』はその中でも人間にとりつきやすい『邪気』で、嫉妬やねたみを抱くものに集まる。
ジロウが図書室で退部届を書いているときに現れた『十纏嫉』は、ハクの妨害によりジロウにとりつき損ねていた。今回は萌を狙っていた。萌は鮎の親友で鮎を慕っていた。萌は鮎のジロウへの恋を応援しつつ、ジロウに嫉妬を抱いていたのだった。
『煩悩』が高まるとき、周囲の『邪気』を吸い込み『煩悩』はますます高まる。この高まりがその人の許容量を超えたとき『邪気』に体を奪われ、欲望のままに暴れ回る『鬼人』となるのだ。『鬼人』はその欲望が満たされるか体が破壊されるまで暴れ続ける。
バスの中はジロウ達と運転手の四人だけだった。
『十纏嫉』の影達は萌の周りに集まっていた。
萌の実家は千年以上続く由緒ある秋葉神社である。 萌はこの神社の一人っ子で不思議な力を持っていた。 その力は、この世ならざるものをものが視え、この世ならざるものと対話できるものだった。 この力は、秋葉神社の家系で代々受け継がれてきたものであり、その力を制御するためには代々伝わる修練が必要であった。 萌は幼くしてこの力の一部が発現したため、萌は遠縁の鮎と一緒に秋葉神社で厳しい修練を積んでいた。厳しい修練を積んだ萌だったが、心の隙をつかれ『十纏嫉』に体を奪われ『鬼人』となってジロウを襲う。
鮎とバスの運転手は気を失っている。
ジロウと萌の死闘がバスの中で始まった。『鬼人』となった萌は体格差をものともせずジロウを圧倒する。
ハクの知恵を借りてジロウは『十纏嫉』との契約呪文に挑戦する。萌から『十纏嫉』を追い出すのに成功したが、代わりにジロウが体を奪われそうになる。ジロウは体を奪われる直前、ハクが話していたもう一つの封印呪文をハクに提案する。(封印呪文。精神体を強制的に非生物の依り代に顕現させる呪文。この封印呪文は自分より精神力が強い相手には効かないし、相手を無理やり封印するため、成功しても自分の精神力を消費する…)
ハクも封印呪文を使う覚悟を決める。封印呪文を唱えながら、ハクはもうジロウに会えぬ事を覚悟する。(例え、再びこの体が霧散しようとも、今ある力もない力も、何でもいいからかき集めて、ジロウを助けたいのじゃあ! 皆、力を貸せ!)とハクは周囲の四人の人間の精神力をも吸収して封印呪文を放つ。
『十纏嫉』を封印した暗記カードをパラパラめくると全てのカード、1枚毎に『十纏嫉』の文字が浮かんでいる。ジロウは、全身が痛くて気持ち悪くなっていることに気づきそのまま気を失う。
自宅療養していたジロウが、通院して経過を診てもらった後、意識不明で入院している父親の病室に立ち寄っていた。
ジロウは、あれ以来、ハクが呼びかけに答えない理由を考え続けていた。
ベッドの横の棚の上にある時計を見ると十一時半。ジロウは立ち上がり、父のベッドに背を向けた時、背後から女性の声が聞こえた。「ふむ。コレがジロウの親父か…。魂が抜かれておるから煩悩もない。我では体に取り付けぬ…」ジロウが振り返るとそこには二頭身の女の子?が父のベッドの上に浮かんでいて、ボヤけた紐のようなものでその女の子とジロウの体はつながっていた。
その女の子は両手で父の顔を触ろうとしているが、その手は透り抜けて触れずにいた。
ジロウは気づいた(秋葉 萌に似ている…イヤ、あの目には見覚えがある鬼人 萌)。
ジロウは声を出してみた「お前は『十纏嫉』か?」二頭身の女の子は、その声に気づいたのか振り向いてジロウを見て答えた。
「おかしいぞ?この我の姿がまだ見えるのか…そのとおり、お前たちに封印された『十纏嫉』の残った1厘よ」
ジロウとハクは、『混沌』と『十纏嫉』の間に何かしらのつながりがあるのではないかとジロウの体内に1厘だけ残し、九割九分九厘を封印したのだった。
ジロウはハクがいない中、『十纏嫉』との駆け引きに挑む。『混沌』に関する情報提供、『十纏嫉』が仕掛けたハクが宿る眷属器メガネへの生命エネルギーの供給停止の解除交渉…
『混沌』は悪魔と妖怪の連合軍。人間界への勢力拡大を共通の目的としている。
悪魔は魔界の生物であり、境界を越え人間界への進出を狙っている。
境界を越えるには、魂のみになる必要があり、人間界に現れる悪魔は魂のみとなっていた。
魂のみの悪魔は人間界では自力で顕現化できず非力な存在であった。
以前の彼らは人間との契約呪文により、人間の欲望をかなえる対価として人間の魂を要求し、魂のない人間の肉体を手に入れ、顕現化する戦略だった。
これに対抗した人間達は悪魔を追い払うために、悪魔の名前を暴き封印呪文で物に封印し、神社やお寺で封印した物を聖なる炎で焼くことで魔界にその魂を追い返していた。
(封印呪文は術者の精神力と引き換えに強制的に物質に相手の魂を封印する。
悪魔は人間界との結びつきが弱いため、容易に封印できた。しかし、封印呪文の発動条件として相手の名前がわかっている必要があった)
魔界では悪魔の本体が残っているので彼らは何度でも人間界への進出を企てることができた。
このため悪魔達は人間界への進出方法を常に研究し、最近では邪気で人間を鬼人にさせ自身の欲望を満足させることしか考えられない状況にしてから、鬼人と契約呪文を結ぶ。悪魔達に有利な条件で契約呪文を結び顕現化できるようになり、人間界への進出の速度が加速していた。
また、悪魔は封印呪文対策として、自らの名前を隠している。しかし、その得意とする能力や叶えることができる望みには、悪魔の特性が表れる。このため、悪魔に体を奪われた人間を観察し、悪魔の特性とその名前を暴く駆け引きが必要となっていた。
敵対する『混沌』の中には、ジロウの兄イチロウの姿をした悪魔がおり、『十纏嫉』の『邪気』で『鬼人』化した母シズカを手駒にして父タロウの魂を奪っていた。父タロウの肉体は悪魔に奪われる前にジロウの継母トモエが取り返したが、タロウの魂はイチロウに奪われたまま。残り四週間以内にタロウの肉体に奪われた魂を戻さないとタロウは死ぬ。ジロウは鬼人シズカとの闘いの中、シズカを慕う化けキツネのハルカの存在に気づく。化けキツネのハルカは妖怪の隠れ里の長で、シズカとは親友だった。ハルカはシズカの『鬼人』化を抑えながら、イチロウにとりついた悪魔の正体とイチロウの体から悪魔を追い出す方法を探っていたのだ。
ジロウは、子供の時から父に教わっていた感情のコントロール方法の『無心の行』を駆使して体内に取り込んだ『邪気』を制御する方法を学んでいく。
ジロウは体内に少しづつ『邪気』を取り込んで慣らしていくことで多くの邪気を取り込めることに気づく。
しかし、先にジロウと共存した『十纏嫉』は、他の邪気がジロウの中に入ってくることを許さない。
他の『邪気』を、契約呪文でジロウの眷属器(時計やスマホなど普段から身につけているもの)に顕現化し仲間を増やし、『混沌』との闘いは激しくなっていく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?