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フランスでスペイン人をガイドする

フランスでガイドをしているということもあってか、「大学でフランス語を専攻していたんですか?」とよく聞かれます。

実際のところ、フランス語は20代後半になって独学で始めて、大学の専攻は実はスペイン語でした。30代になってフランス語圏観光客を中心にガイドする通訳案内士になり、今ではフランスでガイドをしているので人生は分からないものです。

気がつけば人生の半分以上の付き合いとなるスペイン語ですが、人生の局面に突然使う機会が訪れるので縁を感じずにはいられません。

ひょんなことから2週間くらい前にスペイン人の団体のガイドツアーの依頼を受けました。

数年ぶりに話すスペイン語、教会建築などの専門用語、膨大なフランス語の資料を読み込まなければならない・・・などという大変な面がありましたが、一番気になったのは自分がどんな風に受け入れられるんだろうという点でした。

日本で外国人をガイドする場合、あるいは外国で日本人を案内する場合であれば、自分が日本人で日本語を話すことが役に立つことが多々あります。今回はそういった意味では現地のフランス人ガイドと同じ土壌に立つ訳です。

ただ、今回の場合のように外国人である自分が、同じく外国人であるスペイン人を外国であるフランスで案内するというのは何とも不思議な感じです。

ツアーに参加するお客様はまさかフランスで日本人がガイドとして出てくるなんて思ってないわけです(笑)

あえて自分の素性は明かさず案内をしたので、フランス語訛りのないスペイン語を話すアジア系の人(?)みたいな感じで見られたのかな・・・という気がします。

肝心のツアーの方はというと、最初は久しぶりのスペイン語ということもあり、言葉が出てこず焦ったのですが、徐々に慣れてきて、あとは経験でカバーして乗り切りました。ツアーの最後には拍手をもらったので、ツアー前の心配も杞憂に終わったのかなと思います。

余談ですが、「Kenji」という名前は改めてスペイン語圏の人には発音しづらいんだなと実感しました。実は、10年前くらいに縁があってお世話をさせてもらったスペイン人のフラメンコ歌手の方に、「quince」と呼ばれていました。

あえてカタカナにすると「キンセ」でスペイン語の意味は数字の「15」。ツアーの初めに自己紹介をすると、参加者の方が名前を発音できないので、このあだ名の話をすると、20人くらいのスペイン人が一斉に私のことを「15」と呼ぶシュールな光景がレンヌ旧市街に広がりました。

私の名前はともかく、初夏とは思えないほど強い日差しの中、日陰を探して歩いた1時間半を参加者の方がいつか楽しく思い出してもらえればいいなと思います。

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