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建物が建てられない土地?

先日、司法書士をしている妻から、公図や住宅地図を見せられながら相談を受けました。

後見業務を担当している被後見人さんの土地を売りたいのだけど、接道が心配とのこと。

確かに、公図などをみると、道路には接していないように見えます。

区役所に確認してみたらと伝え、その後区役所の窓口で問い合わせたところ、案の定、接道していない、とのことでした。

ご存知の方も多いかと思いますが、街中(都市計画区域内)の土地には、一定(建築基準法上)の道路に2m以上接していないと、原則として建物を建てられません

建物が建てられませんと、当然、土地の価値は大きく下がります。

妻も、不動産業者から、相場よりもかなり低い額であれば買い取りますよ、と言われたようです。

では、どの程度の額まで下がるのでしょうか?

一例としては、こんな感じです。

相場で㎡30万円の地域の50㎡の土地。

普通であれば、総額1,500万円となります。

しかし、道路に接していないため、このままでは建物が建てられません。

道路に接するためには、隣の人の土地を40㎡買って、もとの土地と道路をつなぐ必要があります。

隣の人の土地を1,200万円で買って、もとの土地と一体化させたとしましょう。

建物は建てられるようになりましたが、一体化によって土地の形は悪くなり、一体化土地の価格は1,800万円になるとします。

この場合、1,200万円で買って1,800万円の土地になりましたので、もとの土地の価格は600万円(1,800-1,200)となりそうです。

しかし、残念ながら、価格はまだまだ下がります。

隣の人の土地を買うには、長い期間の交渉が必要かもしれず、手間がかかります。

そして、長い時間の交渉を経ても、隣の人が売ってくれるとは限らず、将来的な(建物が建つか?という)不確実性は残ります。

その分、価格は割り引かれ、割引率50%としますと、もとの土地の価格は300万円に(600×0.5)。

あくまでも一例ですが、相場よりも大きく価格が下がる、というメカニズムは、なんとなくわかっていただけるのではないでしょうか。

心配な場合は、まずは接道の有無を役所に確認しましょう。

残念ながら接道していない場合は、新たに建物は建てられないし、かなり価格を下げないと売るのは難しい、ということを覚悟しなければなりません・・・


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