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関わると重くなり、イライラしたり罪悪感すら感じる人…知らない間に出会っている受動攻撃性とは

こんにちは、心理カウンセラー(公認心理師)の
高牟禮(たかむれ)です。

あの人と関わると妙に疲れる。

何か重いし
申し訳ない気持ちにもなってしまう。

もし、こういったことが続くなら
相手からわかりにくい攻撃。

受動的な攻撃を
受けている可能性があります。

受動的攻撃性の具体例

この受動的な行動には
いくつかのパターンがあります。

例えば、いつも約束を守らない。

イライラするし
強く言っても変わらない。


話している時は気づかないけれど
後から結構辛辣な皮肉だと気づき
ムカムカがおさまらない。


職場が忙しいのに
動きが緩慢で
周りの人はイライラしている。


話していると
急に不機嫌になったり
黙り込んでしまう。

何が気に入らないのか
話し合おうとしても
心を閉ざしたままで
埒が開かない。


一緒にいると
独り言のように「暑い」等と言い、
周囲に気を遣わせる。

当然、雰囲気も悪くなる。


受動的攻撃性の共通点

こういった状況には
共通点があります。

それは相手が、何らかの不平不満を
抱えていること。


ただそれを
はっきり言葉にすることはない。

不満に対しての行動も
わかりにくい。

野球に例えるなら直球ではなく
変化球。

それもかなり
クセのある。

混乱するし
イライラもする。

結果、どっと疲れる。

仮に言葉にすることがあっても
断片的でよくわからない。

話しかけてもちゃんとした返答はない。

「この人は何をしたいのだろう」と
困惑します。

噛み合わないやり取りに
自分が罪悪感を感じることすらある。

相手を重いと感じ
距離をとりたくなってしまうことも。

受動的攻撃性の正体

こういった、不可思議な
コミュニケーションは
なぜ起きてしまうのでしょうか?

そのキーワードは
「コントロールに対する対抗策」。


こういった態度をとりやすい人は
多くの場合子ども時代
考えや行動を
押し付けられた体験があります。

まだ抵抗できない年齢で
コントロールされることで
多大な苦痛を味わいます。


しかしやがて、されるがままになるのではなく
対抗策を編み出します。

例えば親がコントロールしようとした時
言っていることを忘れたり
約束を破る。

「動け」と言っても
ゆっくりとしか動かない。


すると親はイライラし
ますますコントロールを強めます。

ただそれでも埒が開かないと
疲れます。

やがて諦め
コントロールを緩めます。



これが圧倒的な力を持った存在による
コントロールへの対抗策。

まともにやり合わず
ある種のらりくらりすることで
相手が疲れるのを待つ。

亀が敵に遭遇した時
頭や手足を引っ込め
攻撃を凌ぐのに似ています。



またコントロールを強要した人間への
怒りや復讐心を心に秘めています。

その結果、まともにやり合わない安全な形で
密かに攻撃し
相手にダメージを与えることも。


これが受動的攻撃の正体。

会話の中に皮肉を混ぜてみたり、
不意打ちで傷つくことを言ったり
独り言のように主張し
周りに圧力をかけたり。


こういった、もつれたコミュニケーションスタイルを
子ども時代に身につけると
大人になってからも続きます。

親とは別人だったとしても
相手は自分の意向を無視して圧力をかけるだろうと
心のどこかで警戒。

そして子どもの頃から溜め込んでいる復讐心を
目の前の相手で晴らそうとする。


ですから受動的攻撃性に巻き込まれた時
その対応は非常に困難。

心の専門家であるカウンセラー、セラピストでも
冷や汗をかくときも。

受動的攻撃性への対処法

こういった関わりに陥った時
限界設定はとても大切。

「これ以上は無理」という基準を持ち
限界を越えたら
距離を取るのも一つの選択肢。

罪悪感を感じるかもしれませんが
周りから見ると
やむを得ないと感じるケースも多いです。



また大切なのは受動的攻撃を仕掛けてくる相手に対し
強く出たり、
批判や非難をするのを避けること。

子ども時代の親子関係と同じ構図になり
相手の受動的攻撃が
ますます強まるだけです。



相手の受動的攻撃が和らいだ時
自分の感情を
やんわり伝えるのは
いいかもしれません。

子ども時代にはなかった
関わり方なので
健全なコミュニケーションに
シフトしていく可能性が出てきます。



仕事上の関係でやむを得ない時は
相手を尊重しつつ
自分の考えや具体的な期待を
やんわり伝えるのもいいでしょう。



ただ、こういったコミュニケーションは
神経を使い
これはこれで疲弊します。

なぜこっちが
こんなに気を遣わなければならないんだ
という理不尽さを感じるのも当然です。



そんな時は
問題の本質を探ってみるのも
いいでしょう。

受動的攻撃を仕掛けてくる相手の
背景に想いを馳せるのです。



その人は幼少期
親から圧力をかけられ
屈辱的な経験をしたのかもしれない。

その時の屈折した思いが
コミュニケーションに表れている。



そう思えると、比較的冷静になれるので
受動的攻撃に巻き込まれるリスクも
小さくなります。

そして淡々とやれる範囲でのコミュニケーションを
心がける。

そんなスタンスを
保ちやすくなると思います。



背景が複雑なので
すっきりした対処になりづらく
大変と思います。

「私はよくやっている」という
労いも大切です。

以上、ご参考になれば幸いです。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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