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スタートアップは自前主義を超え、大企業との連携を目指す

近年、大企業によるベンチャー投資が増えてきました。

ベンチャー投資を専門に扱う部署や子会社などを作る場合は『コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)』などと呼ばれる場合もあります。

また、『アクセラレータープログラム』と呼ばれるスタートアッププログラムも多く生まれており、多くのアクセラレータープログラム大企業のスポンサードで運営されています。

スタートアップ側からも「大企業から出資を受けたい」や「大企業と協業したい」という相談が増えてきています。

今回は、大企業によるベンチャー投資について考えてみます。

なぜスタートアップは大企業から出資を受けたいのか?
・大企業の販売網を利用して、一気にマーケットを攻め落としたい。
・大企業の社会的信用力を享受して、資金や人材の調達力を高めたい。
・大企業のリソースがあれば、実現可能な事業アイデアを推進したい。
この様な事を考えているケースが多いです。

共通するのは、スタートアップは全てのリソースが常に足りていない状況にあるということです。それを、大企業と手を組むことでリソース不足を補って、事業を進捗させたいという思いがあります。

なぜ大企業はベンチャー投資するのか?
大企業はなぜベンチャー投資をするのか、大企業サイドから考えてみます。
・キャピタルゲインが目的
・オープンイノベーションが目的
という理由が考えられます。

大企業のベンチャー投資の目的が「キャピタルゲイン」の場合は、独立系VCと投資方法や考え方は変わりません。

大企業のベンチャー投資の目的が「オープンイノベーション」の場合は、『スタートアップは新規事業のアイデアを実現していくのが上手なので、自社の事業領域の最先端で何が起きているのかについて、株主としての立場から情報を入手したい』という考えがあります。

スタートアップの新規事業を取り込みたい、最先端のイノベーションへのチャレンジについての情報収集をしたいという目論みです。

スタートアップが、大企業から出資や協業を受けたいと思う時に理解しておくべきこと。
資本提携は事業提携と同じで、両者がWin-Winの関係になれるにはどうしたら良いのか?という事を考えることから始まります。

そのためには、提案希望先の大企業が何を求めているかをキチンと理解する必要があります。

大企業の思惑がスタートアップと合致しているかがポイントになってきます。

大企業との協業を目的とした資本政策はあるのか?
資本政策は、上場を目指す場合に、経営者のシェアを維持しながら、残りのシェアの配分をどう組み立てるのか?という問題を解決するポリシーです。

そのため、大企業のベンチャー投資の理由が「少数株主シェアでOK」というケースであれば、資本政策が組めます。

逆に、資本提携を目的とするならば経営権にもコミットしたいという考えが大企業側にあると、独立経営の趣旨が崩れ始めるので、資本政策上も難しい局面になってきます。

大企業が「少数株主シェアでOK」と考えているのか、それとも「可能であればスタートアップの全てを取り込みたい」と考えているのか、大きな方向性の違いですので、この部分を見定めることが必要です。

大企業との協業と、その大企業から投資を受ける事の関係は?

スタートアップが大企業と協業をするのは、なかなかに困難な場合が多いです。

スタートアップの開発しているサービスが先進的で実績がまだ少ない場合は「なぜ大企業が協業するのか?」という問いに根拠を持って答えにくいためです。実績が出てくると話は進むのですが。

例えば、大企業との協業が困難な創業期の局面の時に、当該大企業の運営するCVCが株主であった場合はどうでしょうか?

大企業には色々な部署があり、色々な責任者の人がいます。
大企業のCVCの事業責任者は、社長直下組織や部署横断的な組織の場合が多いため、大企業内の色々な人達へのアプローチを手伝ってくれることが多いです。

大企業との協業のために、味方を一人でも多くつけておくと言う意味で、CVCからの投資を受ける意味は大きいように思えます。

スタートアップが、大企業からベンチャー投資を受けたり、大企業との協業を成功させるためには?
スタートアップが大企業と連携する入り口は2つです。
・知人より紹介を受け、大企業やCVCに営業をする(リファレンスを受ける)。
・アクセラレータープログラムへ参加して受賞する。
この2つの方法のうち、スタートアップにとって得意な手法で進めていけば良いと考えられます。

リファレンスを受けることが可能であれば、直接のアプローチが可能です。しかし、リファレンスが難しい場合もあると思います。

そのようなときに、広く門戸が開かれているのが、アクセラレータープログラムです。

アクセラレータープログラムとは?
アクセラレータープログラムとは、大企業がスタートアップ企業との協業や出資を募集するために行う、ベンチャー支援プログラムです。大企業が母体となっている場合が多いため、スタートアップにとってはチャンスが多く準備されています。

アクセラレータープログラム - Wikipedia
アクセラレータープログラムとは、大手企業が新興企業に対して協業・出資を目的とした募集行為を開催するものである。
http://bit.ly/2TS2t4g

近年、アクセラレーター・プログラムは数が増えてきているため、スタートアップにとってチャンスも多い状況です。下記に、大企業主導のアクセラレータープログラムをいくつかご紹介します。

ディップ株式会社 AI.Accelerator
日本初のAI特化型アクセラレータープログラム。
http://ainow.ai/accelerator/

DMM.make AKIBA Open Challenge
IoT・VR・AI等の先端技術を用いて革新的なサービスやプロダクトを作り出し、急激な成長を目指す人々の支援のためのアクセラレータープログラム。
https://akiba.dmm-make.com/form/openchallenge/

富士通アクセラレータプログラム
革新的なスタートアップの技術・製品と富士通グループの製品・ソリューション・サービスを組合せ、世の中へ新たな価値を提供することを目的としています。豊富な顧客基盤を持つ富士通事業部門とのマッチングによる新たな事業機会の創出を目指します。
http://www.fujitsu.com/jp/innovation/venture

東急アクセラレートプログラム
東急沿線をテストフィールドとしながら東急グループの事業者が持つ様々なアセットとリアルの顧客接点等を活用した用途開発支援と社会実装支援を実施。
https://tokyu-ap.com/

JTBビジネスイノベーターズ Travel・FinTech ビジネスコンテスト
トラベル(個人・法人)における、ヒトとおカネの流れに着目した「Travel・FinTech」領域の新規事業・ソリューション開発を目的としている。協業支援や広報支援が受けられるためアクセラレータープログラムの一種と考えられる。
https://www.jtb-jbi.co.jp/bizcon/

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