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フリースクールのこのこ山

eriko ichikawaさんwrite

「お母さん、どうして学校では自分で自由に選べないの?」

その一言が、娘が学校に行かないことを決めた理由でした。

小学校4年生の時に、娘はいわゆる不登校になりました。

娘の理由はすごくちゃんとあって、それに対して大人は、大抵は「決まっていることだから」「そうしないと、将来大変だから」としか答えることが出来ませんでした。


「ほんとにそうだろうか?」


大人たちの回答から出た娘の言葉はこうでした。

そこから、実は私も凄く考えるようになりました。


わたしの探究のテーマは、どんな環境が、人を自然に成長させてゆくのか、です。


この、「自然に」がとても肝です。


ある側面では、今の学校も人を成長させる仕組みがたくさんあります。競争させたり、褒めたり、罰を与えたり、点数をつけて優劣がわかるようにしたり…

わたしはそれが、当たり前として育ってきました。その結果として、わたし自身、人からどう思われているか、自分は出来る人か、役に立てるのか、有能なのか。

無意識のうちに、それらを氣にして生きていることに、氣づきました。そして、その生き方はとても疲弊することも氣づきました。


自分のなりを観て、果たして「自然」なのか?を問うたら、わたしの答えは、自然じゃなかった、無理があった、そう確かに思ったのです。


「自然に」成長させるには、どんな環境がいいのか?

その問いの答えのひとつは、大地や空や森や川や海、大自然の中にありました。


競争したりせず、自分のペースで花を咲かせたり、実がなったり。

雨もあるし、その他の影響によって、良くも悪くも、そのままある。圧倒的な自然界の在り方は、わたしの教育の原点にあります。


もう一つの答えは、人との関係性の質です。

人が、自然に成長するのには、ダメだと劣等感を与えたり、または、優越感を与えたり。決めつけて相手の像を固定したりしない。ありのままの存在を、今の状態を、いいね!として、促したり、促されたり、呼応したり、共鳴したりする関係性の質が必要です。


こうして字面で語ると、その通りだ!となりますが、実際の現場で出来ないのは、他ならぬ、私たち多くの大人が、そうした関係性の質を体験していないからです。

体験したことしか、想像しうることしか、アウトプット出来ません。だから、こうして字面では最もなことが言えますが、実際が伴わないですし、何かのメソッドを使って、そうしている風になりがちなのです。


ゆうきのもり、そして、その場を創っているシャンティクティは、「自然」を大切にしている場所です。


土地の自然を殺さず、生かして創られた庭や、自然を生かした形で森を創造する。

その場にいる人たちが、環境に助けられて、ありのままでいることが出来る場所です。


加えて、関係性の質について、常にそこにいる人びとが、自分を省みること、相手を思いやることを、やろうと努力しています。

だからこそ、人が自然に成長する場に、なりつつあるのです。


子どもたちは、そんな大人を観て、学びます。生きることや、幸せとは何かを。そして、必ず心が満ち足りると、知りたいという好奇心や、もっと良くなりたいという、自己向上心が生まれます。それは自然界にはない、人間特有のものですが、素晴らしい創造性の力です。


この世の中の諸問題に対して、迎合したり諦めたりするのではなく、解決するために、よりよくしようとする創造力になっていきます。


ゆうきのもりで、やっている事は、新しい何かではなくて、もともとある自分たちの力を掘りおこしていくことだと思います。

そして、それを楽しむ場、なのです。


子どもたちは大なり小なり、疲弊していたり、傷ついていたりしています。いろんな心の段階の子どもたち、親御さんたちがいるということです。今まさに辛い、という子にとっては、ただいるだけでいいという場所は貴重ですし、回復期の子にとっては、自由にいろんな挑戦をしていい場所として、環境を整える必要があります。現状は、その環境整備はまだ不十分ですが、自然が働いている場所では、「そうしたい」という心が、ほかの人の心も動かして、自然と創られていくのだろうと思います。


こうした、ゆうきのもりの取り組みが全国的に広がっていくこと、すでに実践している方たちとつながり、網の目のようになること。


人が1人育つためには、村がひとつ必要と、アフリカの諺にあるように、子どもたちを、全体の中で育めるように、していきます。


「他地域連携のフリースクール」


自然な成長もありとする場が、たくさんできること。

多くの人に知られていくようにすること。

その選択が、自由にできるようにすること。


掲げたい願いはたくさんあります。一粒の種が実になるのに、長い年月がかかるように、願いを形にするための、日々の一歩一歩を、踏みしめているところです。

どうぞ、その一歩を一緒に歩む人を募集しています。環境に必要な物資のご提供、資本のご協力も、お願いいたします。


伊豆の地でも、場ひらきが始まります。

8月10日にプレフリースクールとして、「フリースクール誕生!海と山の遊び場づくり」を、アーティストのてるみさんらと共に創っていきます。(詳細はまたご案内いたします。)


ゆうきのもりの、日々の活動の根幹にあるもの。ぜひ、現地にも足を運んで、体験して、感じとってください。



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