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陰極まって陽に転じ、陽極まって陰に転ずる

陰と陽は固定することはなく、常に増えたり減ったりしながらお互いを補い、支え合っています。シーソーをイメージしてみて下さい。一方が上がればもう一方は下がる。同時に上がることはないし、ある一定の範囲の中で
上がったり下がったりを繰り返しています。

陰陽論も同じように増えたり減ったりしながら、お互いに①対立し、②依存(互根)し、③消長し、④転化し、その変化は全ての始まりと終わりの元であると考えられます。

①対立
自然界の全ての物質と現象には互いに対立する2つの面が存在するということ。ただし、陰になるか陽になるかは相対的なもので見方によって変わる。

②依存(互根)
陰陽は対立した関係でありながら、お互いに依存し合っている(互根)。どちらか一方のみで存在することはできない。2つセット。

対立と互根


③消長(=量の変化)

陰陽は静止せず絶えず変化している。どちらかが盛んになるともう一方が衰える。

④転化(=質の変化)
物質や現象が究極には反対のものになり、一定の量を超えると陰から陽に質が変化する。これを陰極まって陽に転じ、陽極まって陰に転ずると表現します。ここ、カッコ良くて好きポイントです。

陰陽の消長・転化

冬至から春分を経て夏至に向かって陽が増えていき、夏至で陽が一番多くなる(=陽が極まる)。極まった陽は転化して陰になり、秋分を経て冬至に向かって陰が増えていく。
シーソーで言うと、上まで行ったら下がるしかない、みたいな感じ。

朝昼晩の1日の流れや季節の流れで説明されることが多い『転化』ですが、ココロの変化に当てはめて考えるのも面白い。すごく悩んでいるときに妥協したり(納得ではなく妥協)、しっかり向き合わずにいると何となーくモヤっとした状態がずーっと続きませんか?これを私は「エンドレスウジウジ」と呼んでいます。
他に夢中になれることがあれば、いつの間にか吹っ切れたりもしますが、見て見ぬふりをして中途半端に悩んでいるとネガティブがネガティブを助長してエンドレスウジウジしてしまう。

そんな時におすすめなのは、落ちるところまでとことん落ち込む。どん底まで落ち込んだら、急にフッと「そもそも何でこんなに落ち込んでるんやっけ?」って瞬間がくる。その瞬間に「はい!陰極まって陽に転じましたー」って思ってます。何かどうでも良くなるんですよね。解決はしてませんが。笑

せっかく色んなことを感じれる豊かな感情があるので、夏の暑さや冬の寒さを楽しむように、その時の感情を心ゆくまで味わってみる。陽の感情が良くて、陰の感情がダメな訳ではないのですから。(善悪のない陰陽論)

ただ、中医学では「○○すぎる」状態はバランスが取れていないということになります。自分の中での「極まった」からはみ出してしまうほど辛い時は、その状態を受け入れて専門家に頼りましょう。
これは「悩みすぎる」だけじゃなく、「喜びすぎる」「怒りすぎる」も同じです。そんな状態の自分が思いつく解決策なんて、ちょっと危険ですよね。

解決することだけに意識がいくと、悩む→頭で考える→解決ってココロが置いてきぼりになっている気がするんです。(感情優位人間なので、、、)
解決までの時間は長くなってしまうかもしれませんが、悩む→感情をしっかり味わう→ご馳走様でしたができて、やっと頭で考える→解決に切り替えれる。今まではいちいち立ち止まってしまう自分が嫌で、早く解決したくて常に頭フル回転でしたが、感情を味わう工程を飛ばすと結局はエンドレスウジウジが長引くだけなので、急がば回れ。立ち止まってしまうってことは、ちゃんと納得して進みたいってこと。そんな自分の特徴を受け入れると、自分のペースに合わせた時間の組み立て方ができるようになってきます。早く!時間がない!って思うその”時間のリミット”も決めているのは自分ですから、必要な長さに変えればいいだけ。
お仕事などで期限がある場合はなかなか難しいかもしれませんが、自分でコントロールできる部分だけでもゆとりを持てると全体的にちょっと気が楽になるのではないでしょうか?

好きな季節があるように、人によって感じやすい感情もあります。(五行説の時にお話しますね)。「実家暮らし・一人暮らし・結婚・子育て」のように、生活環境や年齢によって変わる面・変わらない面があると思います。その時々の自分なりのバランス感覚をアップデートしていくこと。それが自分のことを理解して、生きやすくなるコツかなぁと思います。
ただ、自分にとっての当たり前が他の人にとっては当たり前じゃなかったり、思い込みもあったりするので(頑張りすぎてる人に多いパターン)、周りの人との会話を通して自分を知ることも多いなぁと思います。


中医学は万人に共通する正解がなく、個人を重視する医学です。自分なりの正解を見つけていく作業は時間もかかるし、終わりはないけど、終わりがないからこそ、全て完璧な状態を求めなくても良いということを教えてくれます。素敵!!

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