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『大腿骨骨折で寝たきりになりたくないから運動をしない』はNG。(後編)

前回、高齢者の大腿骨頸部骨折の発生メカニズムの2つの重大ファクターのうち、骨粗鬆症について書きました。
後編の今回では、そのもう一つのファクター【大腿骨頚体角】について書いていきます。

大腿骨は、通常は大腿骨頸部がナナメになるような角度で、骨盤の寛骨臼という部分に骨頭がはまり込んでいます。
このナナメになっている大腿骨頚と、大腿骨本体の垂直方向との角度を大腿骨頚体角と言います。
通常は、この頚体角が理想的な角度である125度前後になっている事で大腿頸部にかかる応力を緩和しているんですね。

これは発生学的にこうなるというよりも、人間が生まれてから成長の過程で立って歩きだす事で構造力学的にこういう形に落ち着くそうです。
その為、これは不変なものではありません。

動物の体を支えるのは骨だけではなく、筋肉もその張力のバランスによってその役割の多くの部分を担っています。
筋力が減少し張力のバランスが崩れる事で、この頚体角も変化してきてしまいます。
冒頭の図を見て頂くと分かり安いかと思いますが、接地の荷重により、直角、つまり90°に近づいていきます。
そうなると、接地の際の垂直方向の荷重がダイレクトに大腿骨頚にかかる事で、構造力学的に剪断応力というものが増大していきます。

普段ほとんど動かず、たまにしか動かないという生活をする事は、まさにこのメカニズムをなぞるという事ですね。
前回の骨粗鬆症と同じく、これも適度で継続的な運動が大事であると結論づけられます。

やはり動物というものは、動くことを前提にして体が出来ていると言えると思います。
何も走ったり筋トレを始めたりする必要はありません。
人間として基本的な運動である、歩くという事を心がけましょう、

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