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全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現

(記事作成:公益財団法人 日本対がん協会)

 厚生労働省は2024年度から取り組む新たな健康づくりの基本方針「21世紀における第三次国民健康づくり運動(健康日本21<第三次>)」をまとめた。がん対策関連は、がん登録制度を背景に、新たに「がんの年齢調整罹患率の減少」が目標項目に加えられた。

 がん対策では、第4期がん対策推進基本計画の中から、健康づくりと関連が強い「がんの年齢調整罹患率の減少」「がんの年齢調整死亡率の減少」「がん検診の受診率の向上」の三つを目標に挙げた。
 新たに加わった年齢調整罹患率(人口10万人当たり)は、健康づくりの取り組みによるがん発症予防の効果を評価する指標となる。2019年全国がん登録の罹患率(387.4)に対して、目標は2028年をめどに「減少」することとした。
 年齢調整死亡率(同)は2021年の110.1から、2028年をめどに「減少」とし、がん検診受診率は男女の胃がん、肺がん、大腸がんと女性乳がん、子宮頸がんを対象に、2028年をめどに「60%」とした。
 がんリスクの大きな要因である喫煙については、「喫煙率の減少(喫煙をやめたい者がやめる)」を目標の一つに挙げた。喫煙者数は減少傾向だが、過去の喫煙による長期的な健康影響と高齢化でたばこ関連の死亡数は年々増え、喫煙による年間の超過死亡数は約19万人との報告もある。2019年の喫煙率16.7%に対し、新たな目標値を「12%」として対策を進める。20歳未満や妊娠中の喫煙をなくすことにも取り組む。
 飲酒もがんリスクの一つであり、「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の減少」を目標に掲げる。男性40g/日(日本酒2合弱)以上、女性20g/日(同1合弱)以上を飲酒量が多い人とし、その割合を現状の11.8%(男性14.9%、女性9.1%)から、2032年度までに「10%」に下げる。また、20歳未満の飲酒の完全な防止も図る。
 公益財団法人日本対がん協会では国のがん対策に沿って「がんの予防・検診の推進」「がん患者・ご家族の支援」「正しい知識の普及啓発」に取り組んでいる。健康日本21の目標になっている、がんの予防・検診の推進は国民皆保険制度を維持するうえでも重要な取り組みだと位置づけている。

執筆者:公益財団法人 日本対がん協会 常務理事 石田 一郎


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