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UXデザインを学びに行ったら「観察する」という行為の難しさと面白さを体感できました。

日頃仕事で「ユーザー体験(UX)をきちんと考えないと!」なんて話を知ったふうにお客さんにしていますが、いつも付け焼刃の知識で誤魔化しているので、UX Designについてきちんと体系的に学びたく学校に通う事に。
Xデザイン学校:https://www.xdesign-lab.com/

月に1回、全10回で2020年の2月までのコースなので、学んだ事の中で気になったポイントに絞ってnoteにまとめていきたいと思います。

Xデザイン学校ベーシックコース 03 / 2019年7月27日(土)

前回は「話合いについて何も知らない自分」に気づいた第二回。
今回は教室の外を出て初のフィールドワーク in 浅草です。スマホやコンデジ、一眼など、様々なカメラを使って旅の思い出を写真におさめる外国人観光客を観察しながら「おっ?」と思った人には声をかけてインタビューするというフィールドワーク。

専門的な用語でいうと「エスノグラフィ」と言うそうです。以前仕事で一緒になった方から頂いた名刺の肩書が「エスノグラファー」っとあって、なんじゃそりゃ?とググったら「民俗学」みたいな用語が出てきて理解するのを諦めた事を思い出しました。

「エスノグラファー」ってなんだか得体の知れないカッコよさがありますよね。

エスノグラフィとは?

エスノグラフィの意味が良く分からないのでまずは用語の意味を確認。

エスノグラフィー(ethnography)とは、もともと文化人類学や社会学において使用される調査手法のことを指していました。自分とは違った生活世界に住む人たちの文化やコミュニティを、アンケートなどを使った数字(定量的なデータ)ではなく、観察やインタビューといった質的なデータを用いて理解するための方法論です。
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エスノグラフィーとは、人々の集団に関する記述的な研究のことを指します。コミュニティの内側に入り、参与観察やインタビューなどを通して話を聞き、その集団の在り方や歴史を調査すること、もしくは調査したものの結果をエスノグラフィーと呼んでいます。

出展:SEEDATA(https://seedata.co.jp/blog/bbe867b7-ea77-48d0-befa-395c2bbe513d)

ふむふむ。もともとは異文化を理解するための文化人類学、社会学の研究手法として発展した「調査対象の環境に飛び込んで、そのコミュニティの内側がら観察やインタビューを通して行う調査」の事がエスノグラフィのようです。浅野先生がちらっと「若い時に廃校に3年位住んでて集落の調査をしていた…。」的な話をしていましたが、何その面白そうな話!もっと聞きたい!と思いました。普通の人が経験していない体験って貴重ですよね。

小泉 八雲(出生名はパトリック・ラフカディオ・ハーン)さんが書いた「Japan: an Attempt at Interpretation」という本が、太平洋戦争中にアメリカが日本人の心理を理解をする為に重要な役割を果たした話などもとても興味深かったです。この本、英語ですがKindleで無料で公開されていますね!

浅草の街に繰り出す前に先生から説明のあった、エスノグラフィをする際のポイントがこちら。

1, 無心で観察する(自分が考えた仮説を検証しない)
→例えば、スマートフォンではなく一眼レフを使う人は40代以降の男性が多く、基本的には建造物や自然といった景観を撮ろうとしている筈だ。
みたいな先入観、仮説を持って見ちゃうとそこに自然と「焦点化」しちゃうからダメよ、という事ですね。無心で、ただ見る事に徹する事。
2, ユーザーを見る(人を見る)
→エスノグラフィの成り立ちからも分かりますが、あくまでも人とその行為を見る事。その上で、共通項を探りながら文化的背景を考察していくのがエスノグラフィ(私はそう理解しました)なので、見るのは人。
3, 気になった行動をとった人には「なぜそういう行動をとったの?」とインタビューしてOK
→これは自分が若いころにやっていたクレジットカード勧誘バイトで培ったスキルが生かされるところ!通り行く人、全てに声かけをして邪見にされながらも、一日数件の契約を獲得するのに必死だった若かりし頃を思い出します。

さぁ、初めてのエスノグラフィ調査へ!

形から入るタイプの私は、当日は歩きやすいスニーカー、短パン、アウトドアハット、水筒にリュックと、自分が思う「これがフィールドワーカーやろ!」スタイルで行ったのですが、意外とクラスの皆さんはそんな感じでは無かったですね。「皆コスプレ願望はないのか?」とちょっと気負い過ぎた自分が恥ずかしい感じがありました。。

浅草寺の雷門前。皆撮ってますねぇ。
当たり前の様な事ですが、スマホが普及して自撮りがめっちゃ増えましたよね。「自分含めての観光地を撮る」というスタイルが増えたのはスマホのおかげ。一眼レフみたいな形のカメラで自撮りしないですもんね。


日本人かな?と思って声をかけると中国人の女性2人組。もう二組位こんな感じで「なぜその場所でそんなに何度もポーズを変えながらモデル写真みたいなのを撮るの?」という中国人女性がいました。ポーズの仕草とかも日本人女性の「私可愛いでしょ~(キラキラ)」とはちょっと違って、「物語の中の主人公である私、愁いを帯びた表情」みたいなのを作っている感じがありました。

友達に「いいね!」される「可愛いさ」とか「綺麗」の基準が文化によって異なるのかな?なんて事を思いながら観察。


インスタ映えスポットなんでしょうか?沢山の若者が国籍に関係なくここで自撮り。メロンパンの被り物を近くのお店で貸し出ししているようで、それを被った女子がチラホラ。こういうところに欧米人っていないですよね。ここにも文化の違いがある気がします。


日本人、中国人、ベトナム人(たしか)の女性たちが並んで代わる代わる撮影するスポット。お互いに写真を撮り合ったりもしていて、「写真映えスポット」が国際交流の橋渡しをしている現場を目撃してなんだか不思議な気持ちに。ばえる写真を撮りたい気持ちは国境を越えるのか?

とまぁ、こんな感じで約1時間半観察&インタビューをして学校に戻り次回迄の宿題の説明を聞いて今回の授業は終わり。なんか「観察」って面白いですね。日常生活でももっと「観察→考察」をやってみたくなりました。

次回はこの観察結果をKAカード(KAカードの事が良く分ってないのできちんと理解したら後述します)にまとめつつ、ユーザーの行動心理を想像しながら考察していきます。

さいごに、焦点化について

今回の授業を通して一番興味深いなと思ったのは「焦点化」です。人間が持っている機能として、いろいろな情報が目の前に広がる中で、自然とその中の一部にフォーカス(焦点化)して情報を得る事。

実際、沢山の観光客でごったがえす浅草でも、ざーっと人を見ていると「おっ」と、ある特定の場所、人間に意識がフォーカスされるのが分かります。普段何気なくこの焦点化の機能を使っていますが、改めて意識するととても便利な機能である事に驚かされます。

そして、焦点化は何もこういった観察に伴う視覚情報だけにとどまりません。普段何気なく耳にしている聴覚情報でも焦点化は行われますし、匂いなどもありそうです。その中でも最近特に意識しているのが「意識・行動」の部分。自分が何かに興味を持って行動するようになると、自然とそれに関連する情報が焦点化されて自分に集まって来る様な感覚があります。(これいわゆる「引き寄せの法則」のことですね。)

例えば、今個人的に進めている本屋さんプロジェクトで暫く会っていなかった友人に会って話をすると、その会話の中で、ちょうど今自分が通勤リュックに著書を入れて読んでいる松岡正剛さんのことが話題に出てきて驚いた!という様な事がありました。意識とか行動が焦点化されると、それに関連する情報、人が集まってくるので、なんとなく「こんな感じでやりたいな~。」と考えているだけの時と「実際に行動した後」の情報量の差を強く感じています。

行動を通して自分に必要な情報、機会を焦点化していく、そんなことが大事なのかな?なんてことを少し考えているこの頃です。


自分用授業メモ/備忘録 03
・トライアンギュレーション
→ABCの真ん中にある共通項を探る
・見る、体験する事が大事
・小泉八雲「Japan an attempt at interpretation」
・クロード・レヴィ=ストロース/ブリコラージュ
→私たちはある種の「予感」を持ってXデザイン学校に通っている
・暴走族のエスノグラフィ
・データドリブンで商品開発をするようになると未知のものは生まれない
・今稼いでるものが元気なうちに新しいものを作っていく
・「概念の模索」
→事実の関係性を探り背景を推測する
・UX王子
・ラポール
→アンケートに答えるだけで「協力関係」が発生してくる

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