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人生100年時代。これからの社会保障はどうなるの?自民党公式ドキュメントを読んでみた。

・消費税10%
・2019年3月の実質賃金-2.5%
・年金受給開始70歳以上?
・TOYOTA社長「終身雇用の維持はもう無理」
・2024年には人口の50%以上が50歳以上に

最近見聞きしたニュースの中で印象的な「日本やばいな」リストです。
いよいよ戦後日本を支えてきた社会制度が持続不可能な状態になってきていて、根本的な制度改革、個人レベルでの意識改革が必要になるんだな、とヒシヒシ感じる今日この頃。

消費税10%なんて小手先の事やっても景気が悪くなるだけで社会保障制度が安定するとは到底思えないし、政治はなんで根本的な問題について話をしないんだろう?と疑問に思っていたところ
自民人生100年本部、「勤労者皆保険」を了承」 
なんて記事を読んだので、勤労社皆保険制度ってなんだろうと気になって調べてみました。まだだいぶ漠然とした感じはありますが、さすがに政治家も「このママじゃやべーな」という事を理解はしているんだな、という事は分かったので、自分のメモも兼ねて内容を整理してみたいと思います。

まずは結論から

・60歳以降は年金でのんびり、なんて未来は日本にはありません
・終身雇用もありません
・国は「老人」の定義を変える事で、社会保障費削減を目指しています
・「学ぶ習慣」「自分をアップデートする習慣」を身につけないと、新しい時代では厳しい立場に置かれる筈です


では、ここから実際に自民党のドキュメントを読んで内容を整理していきます。

「2024年問題」:人生100年時代を生きる将来世代の未来を見据えて - 「選択する社会保障」 -

今回目を通したドキュメントは全て自民党の公式サイトのものです。
まず「2024年問題」って何なの?からスタートなんですが、これは日本の歴史上(世界初か?)初めて50歳以上が人口の50%を越える年の事を指しています。人口の半分以上が50歳以上。いや、えぐいですね。超高齢化。



ひとめ見ただけで現在の年金制度(若者がお年寄りを支える仕組み)が成り立たない事が分かりますね。もちろん、支給額を減らしまくって、受給開始年齢を上げ続ければ制度を維持する事はできますが、80歳になって「年金3万円です」とか言われても当然生きていけないし、自分達より数の多い年寄りを「お前たちが支えろ!」と若者に言うのも無茶苦茶な訳で、明らかに根本的な制度設計の変更が必要な事が分かります。皆知ってるけど改めて「若者が老人を支えるという現行の社会保障制度はもう限界よ!」という話ですね。

「若者が高齢者を支える」のではなく、高齢者も含めて「皆で困っている人を支える」へのパラダイムシフト

この文言はこちらの資料から。
各資料を読んで分かるのは、人生が80年だった時代(子供20年、大人40年、老人20年)を前提にした社会保障制度は、人生100年時代(子供20年、大人40年?老人40年?)には適さないよ、という当たり前の話。ただでさえ少子化で子供が減ってる中、皆が100年生きる時代になったらそりゃあ制度を変えないと成り立たないですよね。

そして、この一連の流れで自民党がやろうとしているのが「老人の定義を変えよう」という試み。つまり、60歳以上を高齢者と定義したら、超高齢化社会の日本は社会保障費で破綻する!となるけど、例えば高齢者の定義を80歳以上と変えてしまえば、あら、不思議。日本高齢化社会じゃないのでは?というちょっと詐欺みたいな話。

同時に、高齢者像も大きく変化している。関係の学会は、「最新の科学データでは、高齢者の身体機能や知的能力は年々若返る傾向にあり、現在の高齢者は10年前に比べて5~10歳は若返っていると想定される」としている。

こんな一文が先ほどの資料に記載されていますが、これって本当なんですかね?

「今の高齢者は昔に比べると元気!お年寄りなんて呼ばれて隠居生活なんて勿体ない!皆まだまだ元気なんだからバリバリ働きましょう!働いている間は年金貰わない方がそのあとの支給額が増えてお得ですよ~!」

というのが自民党の言い分ですが、こうやって改めて文書にすると詐欺師みたいですね。お年寄りって本当に70歳過ぎても働きたいと思ってるのかな?体力・知力共に仕事をこなせるレベルの人がどれ位いるのかな?と疑問に思います。とりあえず私は70歳と言わずに、50歳くらいでのんびりしたいですよ。皆さんはどうですか?

勤労者皆社会保険制度について

この制度は正社員、派遣社員、契約社員、アルバイトなどの雇用形態によって異なる社会保障制度を、雇用形態に関わらず誰もが同じ制度に加入できるようにして、多様化する生き方、働き方に合った制度にしましょう、みたいな話の様です。
分からなくはないですが、そもそも正社員とか派遣社員とかそういう身分制度があるのが諸悪の根源なのでは?と思いますがどうなんでしょう。現在の日本は正社員だけがやたらと保護されていて、その分のわりをくってるのが非正規の人たち、という構図になってしまっているので、そのあたりの歪みを解消して欲しいのですが、その事については触れていないですね。

医療保険制度について

医療費の個人負担は75歳以上1割負担、70~74歳が2割負担、70歳未満が3割負担となっているのが現行の仕組みですが、これを「現在70歳未満の人は70歳を超えて75歳以上になっても死ぬまで3割負担のママ」にして、最終的には全員が3割負担にするというお話し。これはなかなか不公平感が強いですね。制度がこれ以上成り立たないのは分かりますが、自分たちのすぐ上の世代が1割負担で、自分達の代から3割負担固定になったら結構不満が出そうです。

他にもいろいろ書いてありますが、社会保障制度についてはこんなところですかね。全体的に納得できる部分もありつつ「う~~ん…?」と思う部分も多いです。

なぜ政治は間違いを認めて謝罪をし、その上で協力を得ようとしないのか?

これが資料を読んでいて一番強く思う事です。

現在の「若者がお年寄りを支える」という社会保障制度が成り立たないのは良く分かりました。現実的に無理です。でも、それってもっとずっと前から分かっていましたよね?

なんでその兆候が出てきた時にきちんと将来を見据えた議論をして対策を講じてなかったんでしょうか?いろんな事を先送りにし続けて、もうこれ以上引き延ばせないというギリギリ(もうアウトなのかもしれませんが)になってやっと改革案を出してくる。

対策が後手後手過ぎない?というのと、そもそも政策が上手く機能していない時に、きちんと振り返りをして「何が原因で上手く行っていないのか?いつ、どのタイミングで、どんな施策を打つべきだったのか?それが出来なかったのは何故か?じゃあ何を変えたら今後はそれができるようになるのか?」がセットになって出ないと、最終的な「これをやります!」に説得力が無さ過ぎて納得できません。

ちょっと話は変わるのですが、ゆとり教育の撤回についても同じようなことを考えていました。自分たちは望んでいないのに勝手にゆとり教育を施され、その上、その政策を決めた大人たちから「ゆとり世代だから…」なんて中傷されるって意味分からないですよね。そういった振り返りが無いなかでしれっと「やっぱりゆとり教育止めますね。」っておいおいおい。

止めるにしても、何を目的にゆとり教育を始めて、それがどういう理由で上手く行かなかったのか原因を明らかにし、重大な部分で間違った判断をした人たちは謝罪をし、そして新しい方針はどうして前回と違って上手く行くのか?今度は何を目指すのか?をきちんと伝えるくらいやってくれよ。

普通の社会人なら何か失敗があったらまず謝罪して、その原因と再発防止策を考えますよね。「失敗とは絶対認めない!」という行政側の文化があるのかと思いますが、それが国民の政治離れを引き起こしてると思わないのかな?と不思議に思います。

令和に生きる私たちに必要なこと

こちらOECD加盟国のリカレント教育のデータです。

リカレント教育とは、義務教育や基礎教育を終えて労働に従事するようになってからも、個人が必要とすれば教育機関に戻って学ぶことができる教育システムを指します。 スウェーデンの経済学者であるレーンが初めに提唱し、1970年代に経済協力開発機構(OECD)で取り上げられ、国際的に知られるようになった 生涯教育構想 です。

日本の2%が際立って低い。
大人になってから全然勉強しない日本人。

日本の社会人の勉強時間が1日平均7分なんて書いているブログを読みましたが、日本人の勉強しなさは深刻です。

自民党のドキュメントを読んで分かる通り、国や会社が一生の面倒を見てくれる時代は終わりました。こういった社会の仕組みは戦後の人口増加と経済成長がもたらした奇跡みたいなもので、「老後の面倒は会社と国でみまっせ!」なんて時代は昭和から平成にかけた一時しかなく、この数十年が超ラッキータイムだっただけです。

じゃあその超ラッキータイムに入れなかった私たちがどどうしたら良いのか?

答えはシンプルで、時代のニーズに合わせて必要とされるスキルを身につけ磨き続ける、つまり生涯を通して勉強し続ける事が必要になります。そして、生涯を通して勉強するには「日常生活の中に学ぶ時間を設ける習慣を身につける」必要があります。その習慣さえ身に付ける事ができれば、年齢に関係なく、生涯自分の好奇心に沿って新しい知識を身に着けて変わり続ける人間になれるのかなと。

学び続ける事。変化する事を恐れない事。

そんな姿勢が新しい時代に求められているのだと思います。


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