オンラインサロンが個人的にどうしても好きになれないので、note(ノート)を始めます。

というわけで、初めてのnote(ノート)を書いている。

決め手になったのは、ファウンダーの加藤貞顕さんの「本の原稿を書いていく場所にしたり、ファンクラブ的に使ったり、いろいろあると思います!」というツイートで、さすが、なかなかうまいところを衝いてくるというか、確かに本の原稿を書き溜めていく場所は欲しいと思っていたし、「ファンクラブ的に使う」ってどういうことだろうと関心がわいてしまった。

ぼくの本は、最近は自分で書くよりも向こうから企画が持ち込まれることが多く、それで話し合いでテーマとか方向を決めていくけれども、自分のほんとうに書きたいことを少しずつ書いていくのもいいなと思っていた。

一方、「ファンクラブ的」ということだけれども、別に自分のファンクラブとかを作りたいとか思う気持ちは全くないのだけれども、なにかゆるいコミュニティみたいなものの作り方についてはずっと関心があった。

ずっと昔、ぼくは「クオリア」というミーティングをやっていたことがあって、意識の科学に興味を持つ人たちで集まっていろいろ議論していた。
あれは、楽しかった。

また、東京藝術大学で授業をしていた頃、終了後に上野公園で飲んでいたときもとてもおもしろくて、いろいろな出会いや、忘れられない「事件」があった(笑)。実際には数年だったけれども、『東京藝大物語』では一年に濃縮してフィクションにしている。

それで、確かにそういうコミュニティは必要だと思うのだけれども、しばらく前から流行っているオンラインの「サロン」というものには、どうしても身体が動かなかった。

知り合いはサロンをやっている人が多く、それなりに楽しそうなのだけれど、ぼくはなにか直感的にサロンというものに抵抗があるのである。あくまでも個人の感覚なのだけれども。

ぼくは、大学のあり方についてずっと批判的な立場だということは比較的知られていると思うけれども、一番抵抗を感じるのが、大学が「メンバー」が固定された「閉じた」クラブだという点にある。

人のつながりというのはもっとゆるくていいと思っている。

たとえば、誰かの弟子になりたかったら、その人に直接頼めばいいのに、なぜわざわざ大学を「受験」して、その人のゼミ生にならなくてはならないのか、そのような形式主義というか面倒な手続きが個人的にとても嫌いだ。

メンバーとそれ以外がはっきりと区別されているのも、ぼくの好みに合わない。

昔の紙芝居屋さんが、水飴を買った子だけに紙芝居を見せるのだけれども、お金がなくて買えない子にも、電信柱の陰からそっとのぞくのをおめこぼしするような、そんな風景が素敵だと思う。

とにかくぼくは閉じた世界が好きではなく、以前、井之上達矢さんに誘われて『夜間飛行』でメルマガをさせていただいたことがあるけれども、自分の書いた文章がメルマガ購読者にしか届かないというシステムがどうしても直観に反していて、途中でつらくなってやめてしまった。

サロンも同じで、せっかくサロン内で発信しても、その情報がサロンのメンバーにしか届かない(届く可能性がない)というシステムがどうしても直観に反していて、これまで、身体が動かなかった。(何回かお誘いは受けたのだけれども)

それで、加藤貞顕さんの「本の原稿を書いていく場所にしたり、ファンクラブ的に使ったり、いろいろあると思います!」の後半の部分が一体どういうことなのだろうと、少し関心がある。

システムというのは使ってみないとわからないので、なにかおもしろいコミュニティビルディングができたらいいなあ、と思って、note(ノート)を始めます。

それと、他の媒体では書けない文章を少しずつ書いていくというような試みもするかもしれません。

というわけで、きわめてゆるい(笑)最初のエントリーとなりましたが、何卒よろしくお願いいたします。

茂木健一郎拝


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