ポップな表現の背後にある起源


note(ノート)の方では、できるだけproactiveなことを書きたいと思っている。


『脳と仮想』に書いたことだけれども、フーディーニが脱出マジックを思いついたのは、病院の閉鎖病棟を訪れて患者さんを見たことがきっかけだったという。

治療といった目的があるにせよ、自由を奪われているその現状にフーディーニはショックを受けたに違いない。

それで時が流れて、私は子どものとき、「引田天功」さんの脱出マジックを熱心に見ていた。

今でも覚えているのは箱があってそこに閉じ込められて、燃え盛るジェットコースターがくる、みたいな大掛かりなトリックで、そこからいつの間にか引田天功さんが脱出していたのだった。

ハラハラ・ドキドキ。

それはポップな表現で、まさかその背後に、閉鎖病棟があるなどと思っていなかった。

このようなことはよくあることで、起源においてはとても深刻な社会問題があるのだけれども、それをポップに昇華するのがアーティストなのである。

そして、ポップに昇華された表現を楽しんでいる人たちは、その起源を知らない。
それで良い。

ただ、きっとその表現が人々をとらえて話さないのは、きっと根っこに人々の心に刺さる何かがあるからで、そこには巧みに隠蔽された起源があるのあろうと思う。

ポップな表現というものを、私はそのように見ている。

とりあえずこうやってメモしておきます。

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茂木健一郎

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コメント3件

脱出というテーマが潜在的に有している意味がよく納得できました。
閉鎖病棟を見た時に、囚われているという意味で一般的な外の社会との共通性を感じた事もショックの一因な気がしました。
おもしろ
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