コンサルタントって人が一番商売センスがないって話。

 コンサルタントの竹内です。どうのこうの言いながら16年ぐらいこの仕事をやってます。同業の中だったら長い方だと思います。
 さて、今回はコンサルタントがコンサルタント業をあんまりお勧めしない理由について少し書かせて頂きます。ここで言うコンサルタントというのはフリーのコンサルタントです。資格もなければ大手コンサルタント会社に勤めたことのない、いわゆる“野良犬コンサル”のことを指します。「俺、コンサルタントに向いているかも」「人に商売を教えるってステキなことだよね」「コンサルタントって楽勝じゃね?」と思っている皆様に、「お前ら目を覚ませよ」という意味合いも込めて、現役のコンサルタントがコンサルタントって仕事はオワコンだよねって話をさせて頂きます。

利益率があんまりよくない

 まず、「コンサルタントは儲かる」と思っている人がとても多いんですが、言うほど儲からない職業だったりします。まず、利益率があんまりよくない。「商品を仕入れていないから全て利益でしょ?」と思われるかもしれませんが、僕らは情報という商品を仕入れなければ商売が成り立ちません。本や情報商材、勉強会やセミナーはもちろん、売れている会社に訪問したり、ノウハウを持っている人に会いに行ったりしなければ儲かるネタが枯渇してしまいます。時には情報を聞き出すためにその会社の商品を購入したりしなくてはいけませんから、結局のところ、お金になる情報を得るためには、たくさんの出費が必要となります。だから利益率は悪いほうではないですが、めちゃくちゃ良い方でもないというのが、いろいろな商売と見比べて私が思っているところだったりします。

 あと、「セミナーで話をするだけでお金がもらえるっていいよね」っていうのもよく言われるんですが、それもちょっと違います。そのセミナー用のレジュメを制作したり、そのセミナーで話すネタを集めるたりしなければいけないので、1本のセミナーのレジュメを制作するのに何日もの時間と膨大な手間を費やします。さらにセミナーの場合、移動時間が長いのも悩みの種です。例えば大阪で2時間のセミナーをするのであれば、移動時間は往復で軽く6時間は吹っ飛びます。さらに昼飯を一緒に食べようとか、懇親会に参加してくださいとかになってくると、20時間ぐらい拘束されることもざらにありますので、時給換算にしたらあんまり儲からない仕事になっていきます。ここに主催者から「帰りも遅いのでホテルをご用意しました」ってことになると、1泊2日の仕事になるので、さらに日当が半分になります。ええ、ここまできたらただの派遣社員と変わりません。でっかいフリーターって感じです。このように情報仕入れ価格が高いのと、セミナーの資料作りや移動時間が長いことから、みなさんが思っているほど効率の良い仕事ではなかったりします。

 もっと細かいことを言えば、スーツのクリーニング代や昼飯、夕飯代、空港の駐車場代などは自腹になりますし、立ちっぱなしの仕事なので定期的にマッサージに行かなければとてもではないが身体が持ちません。風邪も引けない仕事なので体調管理も含めて病院の定期検診には行かなくてはいけないし、身だしなみのために短期間のスパンで美容室にいったり、見栄え的にそこそこのスーツや時計、靴も揃えなくてはいけないので、その点の出費を考えると「この仕事はダレ得なんだ?」と思えてしまいます。

1年間の電子書籍の印税が804円

 あとよく誤解されるのが本の印税。「本を書くと印税がもらえて凄い儲かるんですよね」と言われるんですが、そんなことはありません。今のご時世、本の増刷がかかるのが希ですし、増刷がかかってもせいぜいもらえるのは本の価格の10%。700円の文庫が1冊売れて70円ですから、2000部増刷がかかっても14万円ぐらい。確かに何もせずに受け取れるお金かもしれませんが、1ヶ月ぐらい他の仕事をほとんどせずに執筆する苦労とリスクを考えると、出版社に対してもう少し印税をちょうだいなという気にもなります。「電子書籍があるじゃないか」と思われるかもしれませんが、これがもっと悲惨な状況です。売れた実数しか報酬としてもらえないのと、電子書籍でビジネス書はあんまり読まれないので、びっくりするほどお金になりません。先日も某大手出版社から電子書籍の印税が振り込まれましたが、1年間の合計の電子書籍の印税が804円でした。売れる本を書けない自分の責任なんですけどね。でも、こんな報酬だと請求書を出すだけで赤字ですよ。
 雑誌や新聞、WEB媒体の原稿料も普通のライターと変わらない料金ですし、取材を受けた謝礼金も1万円もらえれば良い方です。コンサルタントを目指している方の夢を壊すわけではありませんが、16年コンサルをやって、本を50冊以上書いて、新聞に連載を持って、全国でセミナーを抱えていても、まぁこんなもんですわ。

 コンサルタントは事業が拡大できないのも問題といえます。コンサルタントはホステスと同じでご指名でくる仕事なわけですから、他の人に任せることができません。よく「竹内さんも弟子を作って仕事をさせればいいじゃん」って気安く言う人もいますが、そもそも商売のセンスがある人なら、コンサルタントなんていう儲からない仕事を選択するはずがないので、「コンサルタントになりたいっす!」と言って近づいてきた時点で、たぶん、その人は商売のセンスがない人なので、弟子にするようなバカな真似は絶対にしません。そもそもコンサルタントが人を雇ってうまくいったケースをあんまり身近で見ていないので、たぶん、この仕事はそもそもの組織化が無理なんだと思っています。だから、コンサルタントは個人で抱えられる仕事がめいいっぱいであって、他人に仕事を振ることができない商売なので、仕事がある程度のキャパまでいったらそれでおしまいなんだと思います。売上が個人事業主レベルまでしかいかないのはそのためです。ただでさえクライアントのことを四六時中考えなきゃいけない仕事なんだから、自分の会社の従業員にまで気を配るなんてできませんよ。少なくともそんな器用な真似は自分にはできない。

「儲かっている」とウソを言わなきゃいけない商売

「俺の知り合いでボロ儲けしているコンサルタントがいるよ」と言う人もいるかもしれませんが、そりゃあ、やろうと思えばこの仕事はバカみたいに儲かることができると思います。ただ、そうするためには、ある程度、クライアントを金づるだと思う割り切りが必要だと思いますし、古いネタを使い回して舐めたセミナーやってるようなクソみたいな同業者だったら、まぁ儲かるとは思います。よく良心が許せるなぁとは思いますけど。
 仮に莫大なコンサルタントフィーを支払ってコンサルタントを雇う経営者がいるとしたら、そいつは費用対効果が良く分からない社長さんなわけであって頭もそんなに良くないから、騙す側と騙される側で相思相愛でよろしいのではないでしょうか。少し投げやりな言い方ですが。冷静に考えて売上アップのノウハウに毎月50万円とか100万円とかコンサルタントに払うのなら、もっと別のことに使えよって感じです。強いて言うのなら、コンサルタント業+ページ制作、コンサルタント業+広告運用って感じで、他のサービスとくっつけているコンサルタントはそこそこ稼げるとは思います。ただ、そのためには人を雇わなくてはいけないので、やっぱり儲からないですよね。クライアントに気を遣いながら、なおかつ従業員に気を使うなんて地獄絵図ですから。
 あと、コンサルタントは常に「儲かっている」と嘘を言い続けなければいけない仕事だということも理解しなくてはいけません。「儲かっていない」と正直に言ってしまえば、自分自身が儲からないコンサルタントに仕事を頼む人なんかいませんから。見栄もあるし、自慢したいのもあるし、儲かっている感を出すことが好きな人が多いのが、このコンサルタントというドロっとした世界なんだと思います。

 想像しているよりもパイの小さなマーケットの仕事だということも理解する必要があります。コンサルタントなんて儲かっている人は頼まないし、儲かっていない人は頼めないしで、そもそも存在することが不可能な商売なんですね。儲かってしまったらコンサルタントなんて不要になりますから、契約はビシバシ切られていきます。だからビジネスモデル的にコンサルタントは常に新規で新しいクライアントを見つけることがとても重要になるんですが、先述したようにコンサルタントにお金を払う人のほうがレアですから、そう簡単に新規顧客を見つけることもできないのが現状だったりします。
 だから、コンサルタントは本を書いたり、ブログやメルマガを書いたり、雑誌や新聞、WEB媒体に連載を持ったりして、常に自分の知名度とブランディングを高めて、新規顧客を獲得するための営業活動を行っていかなくてはいけません。そして、とっておきの金儲けの話をしなければ存在価値がなくなる商売なので、365日24時間ずっと情報やノウハウへの入手に投資をし続けなければいけません。でも、そうなると新規顧客と優良顧客の回転率はキープできるようになるんですが、情報の仕入れ価格がべらぼうに上がり、原稿を書くための労働時間も長くなり、行き着くところ「俺はいつになったら楽できるんだ?」という商売を続けることになってしまうわけです。

やりたい仕事と儲かる仕事は別

 さて、話を整理しましょう。
 コンサルタントというのは①利益率が悪い。②事業の拡張ができない。③新規顧客と顧客の囲い込みにコストと手間がかかる。という儲からない事情が3拍子そろっているので、実のところ儲かることを教えるコンサルタントでありながら、最も儲からないビジネスモデルをやっているというカオスな状況になったりするわけです。もちろん、儲からないといっても一般的な自営業者としてはそこそこ稼げる部類に入るかもしれませんが、経営者で成功しているといわれる年収の3000万円とか5000万円とか1億とか、そこらへんの数字をコンスタントに稼げるビジネスモデルにはならないのが現状です。極論を言えばコンサルタントという職業は金儲けのセンスがない人が行き着く最後の商売でもあり、儲からなくなった社長が行き着くなれの果ての商売だったりするので、あんまり人生のゴールとしては美しくはなかったりします。会社経営の傍らでコンサルタントの真似ごとをやっている人の会社が、実はあんまり儲かっていないというのは、そういう事情があったりします。そもそも商売のセンスがない人がやりたがる仕事ですから。
「コンサルタントがコンサルタントをディスってどうすんだよ」と言われるかもしれませんが、そもそもコンサルタントは職業柄、儲かるビジネスモデルが大好きで、儲からないビジネスモデルはヘドが出るぐらい嫌いです。そういう意味では、コンサルタントという仕事は、仕事の内容としては好きですが、ビジネスモデルとしてはあんまり好きではないというのが私の本音だったりします。もちろん、人に教えたり、困っている人を助けたり、やりがいのある仕事として良い面もあります。そこそこチヤホヤされますし、注目を集める仕事としては自己満足度は非常に高い仕事でもあります。でも、儲かるビジネスなのかどうかでいえば話は別。そこは割り切って考えなくてはいけません。
 というわけで、これからコンサルタントを目指そうとしている優秀な皆さん。これ以上、同業が増えると面倒なので、どうかこの文章を読んで諦めてもらえませんかね。


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竹内謙礼

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